アレルギーっ子の生活

<06-18      2001年08月04日(土)公開>

【アナフィラキシーの原因を見つける(病院で)】

 何が原因でアナフィラキシーを起こしてしまったのか?見つけ出すことはお医者さんでもなかなか難しいことが多いのです。薬剤や昆虫による虫刺症で起きたアナフィラキシーはすぐ分かります。問題は、その他の食物や、化学物質の場合です。悪化因子としての環境アレルギーを見つけ出すことはさらに大変です。腸内の状況にいたってはきちんと検査のできる施設がなければ診断がつけられません。しかし、なんといっても一番大切なことはアナフィラキシーに至った経過を詳しく思い出し、そこから原因を推測することです。

問診

 発症1日前、できれば2〜3日前までさかのぼって詳しく経過をみることが原因を見つけ出すときに一番大切です。何回か繰り返している場合は、毎回のアナフィラキシーに共通することを見つけ出します。
 ・食べたものは何か(アレルギーを起こしやすいもの、農薬・食品添加物など)
 ・触ったものは何か(一緒にいた人が食べたものも思い出して下さい)
 ・吸い込んだものは無いか(ダニ、花粉、動物の毛、カビ、小麦などの粉状食品など)
 ・何かに刺されたりしなかったか(ハチ、蚊、アブ、ブヨ、クモなど)
 ・どこで起こしたのか?
 ・何をしている時か?
 ・他のアレルギーが無いか?
 ・他の病気を起こしていないか?(特に、お腹の病気)
 ・疲労・寝不足がたまっていなかったか?
 ・合成洗剤を多用していないか?
 ・一緒に飲んだ薬は無いか?(特に、解熱鎮痛剤)
 ・アレルギー対策の程度(各アレルギーの原因対策がうまく行なわれているかどうか)

診察

 全身の状態を見ます。じんましんの出ている場所が、体全体か? 衣服で覆われた場所か? 露出した場所か? 目や鼻は腫れていないか? のどが腫れていないか? 呼吸が苦しくなっていないか? 肛門の周りが赤くなったりただれたりしていないか? などを見ます。

検査

IgE検査

 即時型(はっきり型)の検査です。アレルギーの原因となる物質が体の中に侵入するとその物質だけに反応する特別なIgEという蛋白質ができます。2回目に同じ物質が体内に入ってくるとそのIgEがアレルギー原因物質とくっつき、アレルギー反応を引き起こします。IgEの値が高いと(IgEスコアー3以上)はっきり型のアナフィラキシー(数分から数時間以内に起こりはじめるタイプ)は起こしやすくなります。ただし、この値が低いからといってアナフィラキシーを起こさないとは言えません。陰性でもアナフィラキシーは起こります。

リンパ球刺激試験

 かくれ型の検査です。血液中からリンパ球を取り出し、原因と思われる物質からエキスをとりだしてリンパ球にふりかけ、その物質に反応して増殖するリンパ球があるかどうかを見ます。保険が利かないため、1項目で数千かかります。食べたそのものを、血液と一緒に出せば検査できます。当院ではSRLに依頼しています。

皮膚テスト

 スクラッチ・プリック、皮内注射、皮下注射などがあり、原因と思われる物質のエキスを皮膚にたらして引っかいたり(スクラッチ)、軽く刺したり(プリック)皮内や皮下に注射して、発赤や腫脹がでないかどうかを検査します。皮膚に原因となる物質のエキスを注入するため、反応しやすい場合はこの検査だけでもアナフィラキシーを起こすことがありますので、充分な監視・救急体制下で行わなければいけません。

血液中細胞の検査

 血液中好酸球、好塩基球、単核球などのアレルギーの症状を引き起こす化学物質を放出する白血球数を調べ、アレルギー状態をみます。

肝機能検査

 肝臓の働きが悪いとアレルギーを起こしやすくなるため、必ず検査します。

栄養状態の検査

 血中の蛋白質・脂肪・貧血などの検査をします。特に、脂肪の検査で血中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を調べておくと、アレルギーの反応の強さを一定推測できることがあります。LDLコレステロールの高い人は症状が強く起こる場合があります。

感染症(溶血連鎖球菌、黄色ブドウ状球菌、マイコプラズマ、単純ヘルペス感染など)

 溶血連鎖球菌や黄色ブドウ状球菌・マイコプラズマなどの感染は細菌の作った毒素のために激しい症状の出ることがあります。単純ヘルペス感染も同様です。

腸内の細菌の状態(カンジダや病原性腸内細菌の状態)

 便の培養はできる限り行ないます。病原性腸内細菌やカンジダの異常な増殖は、作りだされる毒素のために腸内の消化吸収が正常に保てなくなり、急激なアナフィラキシー症状を引き起こしやすくさせます。

咽頭の培養

 咽頭の培養や溶血連鎖球菌の定性反応で毒素を作る細菌の感染状態を調べます。必要があれば皮膚の感染症の状態(細菌、カビ、単純ヘルペス感染など)を調べます。

肺機能検査

 肺の働きを調べ喘息の状態を評価します。

心電図・胸部レントゲン

 不整脈・他の心臓の疾患を調べます。

その他

 HRT(ヒスタミン遊離試験)などがあります。

 これらを総合して原因を見つけ出すことになります。検査は病院で受けなければなりませんので、かかりつけのお医者さんか、専門の病院で調べてもらう必要があります。原因を見つけ出すためには経験と食品・化学物質について一定の知識が必要です。

アレルギーっ子の生活 04-26 に戻る

「アレルギーっ子の生活」最新ページ戻る       第6章『アナフィラキシー』のindexページに戻る       前ページ(No.06-17)に戻る       次ページ(No.06-19)に進む