<06-17 2001年08月02日(木)公開>
アナフィラキシーの症状の経過は2相性に現れます。1つ目は、はっきり型(即時型)。体内にアレルゲンが入り込んだ後10数分〜30分で始まり、2〜3時間ほど続きます。2つ目はかくれ型(遅延型)と言われ、6時間後ぐらいから始まり1〜3日後に症状が一番ひどくなり約1週間ほど続きます。はっきり型だけのことも、かくれ型だけのこともありますが、両方が続けてでる場合もあります。
<食物・食品添加物・薬剤が原因の場合> 原因となる食物をたべると ●接触性のアレルギー アトピー性皮膚炎の場合、原因となる食べ物を触っても症状がでる ●吸入性のアレルギー 小麦粉やそばがら、落花生の殻の粉などを吸い込んでも症状がでる |
→ | 即時型 (早い場合は5〜15分頃から) |
→ | かくれ型(遅延型) (数時間〜2日後から) |
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舌やのどの痛み・かゆみ、口のまわりからじんましんが出始める・くちびるやまぶた、目の下がはれる・目の充血 鼻づまり・鼻水・咳・痰・ゼーゼー・息苦しい・呼吸困難、喉頭浮腫・クループ 吐き気・嘔吐・下痢・腹痛・顔色が悪くなる・血便 全身が腫れ上がり赤くなる・頭痛・めまい・血圧低下・意識がなくなるなど、 アナフィラキシー アナフィラキシーショック |
湿疹・アトピー性皮膚炎の悪化、じんましんの持続、 続く咳・痰・息苦しさ・気管支喘息発作の持続・吐き気・嘔吐・腹痛 全身のだるさ・微熱〜高熱・目の下のクマ・やる気のなさ・気分がふさぐ・イライラする 頭痛・胸痛・しんしゅつ性中耳炎・へんとう腺肥大・クループなど、血圧低下、アナフィラキシー アナフィラキシーショックの持続 |
牛乳でアナフィラキシーを起こした場合、かくれ型(遅延型)が中心のアナフィラキシーとなることがあります。
中学校1年生、12才男子。52kg。母方祖母は花粉症、祖父はじんましんがあります。弟はアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎があり、本人も10才からアレルギー性鼻炎がありました。1996年4月入学して1週間目のことです。昼は給食でチキンカレー、エビアーモンド、キューリ、コーンを食べ、牛乳を飲みました。剣道部の見学の帰り、午後5時20分ころよりじんましんが出現。近医でセレスタミン®とプレドニン®(副腎皮質ホルモン剤)を処方してもらい飲みましたが改善しませんでした。全身の紅潮がひどく体全体がはれてきて胸が苦しく、当院へ紹介入院されました。副腎皮質ホルモン剤を使用しましたが、吐き気・嘔吐、下痢、全身の紅潮・むくみはどんどん悪化し、4月22日に最悪となり、以後1週間かけて徐々によくなってきました。検査ではIgEはすべて陰性ではっきり型のアレルギーはわかりませんでしたが、牛乳のリンパ球刺激試験は482%と強陽性でした。牛乳の遅延型(かくれ型)アレルギーによるアナフィラキシーと思われました。この子は牛乳など乳製品が大好きで牛乳は1日400ml以上を飲み続けていました。牛乳のかくれ型アレルギーに入学の疲れなどが重なり発症したものと思われます。かくれ型によるアナフィラキシーは強い症状が数日に渡って続くため、患者さんも看護する家族の人も、医療従事も大変です。この例は、この直後に出血性十二指腸潰瘍を起こし、大量の下血のため強度の貧血になって、再入院しました。ヘリコバクターピロリは腸粘膜からは陰性、血液中の抗体検査も陰性でした。牛乳のアレルギーのためか、または、副腎皮質ホルモン剤によるかとも思われましたが原因は不明でした。