<06-19 2001年08月05日(日)公開>
アレルギーっ子達は、環境中の体に合わない物質、体を傷つけ体の働きをおかしくさせる物質を敏感に見つけ出します。まるで、高性能のセンサーを持っているようです。
アレルギーっ子本人または周囲の人達がそのことを理解できると、アレルギーの原因となる物は比較的簡単に生活の中で見つけ出せるようになります。例えば、卵のアレルギーのある子がいました。その子は舌の上に食べようとする物を少量のせると、その中に卵の成分が入っているかどうかがわかってしまうのです。臭いや、舌に感じる何かで判断しているようです。
アレルギーっ子達はそれが理解されていないと、好き嫌いの多いだめな子として見られていることがあります。しかし、実際は、だめな食物を知らないうちに避けている場合が多いのです。極端に嫌いな物は、アレルギーを起こしていることがあります。
こんな相談を受けたことがあります。14才になるその男の子の家ではソバが好きで家族でよくソバを食べました。ところがその子はある時から突然ソバを食べなくなってしまいました。お母さんは、偏食と考えソバを無理に食べさせようといろいろと手を尽くしましたが食べません。ある時、無理矢理食べさせてしまったのです。その子は具合が悪くなって吐きだし、苦しみました。その後、病院を受診しました。ソバはIgE検査で強陽性でした。ソバアレルギーが強いこと、この子が食べられないのは好き嫌いではないことを、その子とお母さんにお話しすると、その子は泣き出してしまいました。きっと今までわかってもらえなくて苦しんだのでしょう。やっと、わかってもらえたのです。こんな例もあります。その2才の子は卵が嫌いでした。お母さんは栄養をつけようと食べない卵を食べさせる方法を考え出しました。牛乳と砂糖、卵を混ぜたミルクセーキにするとその子は卵を口にしたのです。もちろん、アトピー性皮膚炎はどんどん悪くなっていきました。その子は卵のアレルギーでした。せっかく、本人は止めていたのに…。
反対に、大好きで毎日のように食べているもの、触っているもの、吸い込んでいるもので、この物質が体に合わない物を含んでいる場合は徐々にアレルギーを起こす準備が進められ、ある時突然に発症します。例えば、牛乳のアレルギーは牛乳が体に良いと信じて毎日のように飲み、ある時突然に牛乳を受けつけなくなります。それでも、栄養があるという知識に振り回されて飲み飲み続けるとアトピー性皮膚炎や気管支喘息、じんましんなどの病気を引き起こしてしまいます。この場合やっかいなことがあります。大量に毎日続けた牛乳を止めると、2〜3日後に禁断症状が出ることがあります。むしょうに牛乳を飲みたくなり、少量飲むと症状が消え、気持ちが良くなります。しかし、大抵は飲みすぎてしまい、アレルギー症状を起こしてしまいます。牛乳以外にも同様なことがあります。他のアレルギーや感染症などで具合が悪い時に限って、アレルギーのあるものを食べてしまい悪循環におちいってしまうことがあります。例えば、こんな子がいました。10才の男の子は気管支喘息でした。発作を起こし、点滴になるとなぜか発作がひどくなり、決まって入院になってしまうのです。何回かそんなことを繰り返した後ついに原因がわかりました。気管支喘息発作が始まると、その子はパンが食べたくなり、点滴中に必ずパンを食べていたのでした。ところが、小麦のアレルギーがあったので食べたパンのために発作がひどくなっていたのでした。パンを止め、おにぎりにしてからは、点滴すると必ず入院になってしまう悪いパターンはなくなりました。
農薬や化学薬品、ディーゼル車の排気ガス、過酸化物などヒトの体を傷つけ正常な働きが保てなくなるようにさせる化学物質が含まれる物、つまり、活性酸素を増加させるようなものや状態は、アレルギー・アナフィラキシーを起こしやすくさせるようです。それらには、アレルギーの警告が無視され続けると癌や成人病(生活習慣病)を起こす可能性があるものが含まれます。これらの化学物質が含まれない自然の状態のものはアレルギーを起こしにくくなっています。
牛乳・油脂(卵・肉の脂身・魚の脂・植物性油)の過剰摂取・砂糖の過剰摂取などヒトの食性に合わない物・合わない食べ方はアレルギーを起こしやすいのです。食性にあった穀物(特に米)や野菜などは多く食べても強いアレルギーを起こしにくく、もしアレルギーになっても軽く早く改善します。日本人は日本人の土地と風土に合った食べ方・暮らし方が大切なのです。
消化されず大きな分子のままで体内に入ってしまうとアレルギーを起こしてしまいます。反対に、充分消化されたものはアレルギーを起こしにくくなります。例えば、アレルギー用のミルクは牛乳から作られますが、牛乳蛋白を充分消化した状態にしてあるのでアレルギーを起こしにくいのです。加熱していない生の状態ではアレルギーを起こしやすく、よく煮込んだりして充分熱を加えたもの、よく噛みくだいて食べたもの、充分発酵させたものはアレルギーを起こしにくいのです。
大量に長期間にわたって接触すれば、どこかで体は対応しきれずアレルギーを起こし始めます。日をおいて食べる食べ方(回転食)、または季節の旬の物を食べる食べ方(日本の昔からの食べ方)では、アレルギーを起こしにくいのです。
例えば、腸管粘膜では、ジクロフェナックナトリウムやアスピリンなどの非ステロイド系の消炎解熱鎮痛剤や、合成洗剤・乳化剤、卵レシチンなどには腸管の粘膜の吸収を促進させる働きがあります。皮膚では合成洗剤(家庭用・農薬に含まれるもの)がそうです。これらの物質は粘膜や皮膚から未消化の状態で異物の吸収を高めてしまう可能性があります。大きな分子数のままで吸収されれば異物と認識し、体はアレルギーを起こし攻撃します。
下痢をしている時、熱が出ている時、アレルギーを起こした後、疲れがたまっている時、精神的にまいっている時、寝不足の時、暴飲暴食をした時などはアレルギーが軽くても、ひどい症状を起こすことがあります。「今までは何でもなかったのに…」と思うような物が原因となります。
運動をすると、運動なしではアレルギー症状が起こらないような軽いアレルギーでも急に悪くなることがあります。例えば、カモガヤなどのイネ科花粉症の季節に屋外で激しい運動中に花粉を吸い込み、鼻水といっしょに飲み込んでじんましんや気管支喘息、アナフィラキシーなどを起こす事があります。小麦のアレルギーがあり、食べるだけでは症状がでないけれど食べた後に運動をするとアナフィラキシーなどを起こすことがあります(運動誘発性食物依存性アナフィラキシー)。入浴後に全身に赤い発疹が出ることがあります。軽いアレルギーを起こしていて入浴前は目立たなかったものが入浴で体が温まり目立つようになります。時間が経って体が冷えると発疹はきえてしまいます。
花粉やダニ、食物など他のアレルギーを起こした後は粘膜や体内の状態が悪く、そこにアレルギーを起こすと急激で激しい症状の起こることがあります。カモガヤ花粉症の時に小麦を食べると起こる運動誘発性アナフィラキシー、夏の間は食べても大丈夫だった卵が秋口になりダニの季節が始まってからでは食べるとじんましんになってしまうなどです。それぞれのアレルギーの重なりを避けることが大切です。
リノール酸が多量に含まれる食品を多く食べているとアレルギーを起こした時に症状が激しくなります。リノール酸の含まれる食品(卵・植物性油脂・肉の脂身・バター・チーズなど)は食べ過ぎ・アレルギーに注意します。
腸内にカビや病原性細菌などが増え腸粘膜の損傷・毒素の生産があるとアレルギーのあるものが急激に多量に吸収されて体内に侵入し激しい症状を起こします。腸内の状態を健康に保つことがアレルギー予防には大切です。
@の場合を漫画でみてみましょう。アレルギーが起こる原因はまだよく分かっていませんが、こんな風に考えることができます。