<04-26 2001年08月19日(日)公開>
まず、除去することと同時に、基本的な食べ方の考え方を覚えておくことが大切です。油脂を少なく、食べる場合は汚染されていない良質の油脂を食べることです。
当院ではアレルギー用のナタネ油やブドウ油、オリーブ油などを使っています。どの油も使いすぎは厳禁です。特に、ナタネ油は使い過ぎないようにします。砂糖や果物などの甘いものは避け、煮た野菜から食物繊維を十分にとり、野菜スープや味噌汁・すまし汁などをきちんと摂ること。肉はきちんとした飼料で健康に育てられた豚や地鶏の肉などを脂身を避けて過量にならないように食べること。魚は汚染されたものは避けて新鮮で、食物連鎖の始まりの方のものを食べること。その他、化学物質で汚染された物は避けることなどが基本になります。これらに気を配らずに除去をするだけでは、他のアレルギーの発症を予防していくことができません。
問診(→膨大な量の問診表を書いてもらっています)や診察、さまざまな検査結果(参照→アナフィラキシーの原因を見つける)などを、医師と患者さんの共有の情報とし、原因となる食品を探しだします。そして、検査結果を手に、当院で発行しているパンフレット「アレルギーっ子の生活」などの資料から知識を仕入れて、除去食療法を実行します。
食べている内容を日誌に書き出してきてもらい、それを見ながら相談し、考え直してまた実行、診察のやり取りが繰り返されて、だんだんその人のその家庭の食べ方・食生活の基本ができ上がっていきます。でき上がった食生活は、その人その家庭で違うものです。したがって、その内容をこの紙面でお話しすることはできません。あなたの食べ方と暮らし方は、あなたの主治医の先生とあなたが相談して作り上げるものだからです。
一例を見てみましょう。3歳の女の子は9月の中旬になりひどい気管支喘息の発作を起こしてしまいました。ダニと卵、牛乳のアレルギーがあることがわかりました。間違って食べた食物で気管支喘息を起こしてしまいました。そのため、食事療法をすることになりました。油はアレルギー用のナタネ油を使うようにしました。右の食物日誌は、食事療法を開始する前のものです。卵や牛乳の入った食品をかなり食べています。
次の表は開始後、数ヶ月後の日誌です。夕食のお母さんが食べた串カツは注意しましたが、他はこの子にとっては良い状況に変わってきました。もちろん、ダニの対策も充分取られています。この繰り返しが、その子にあった食生活を作り出していきます。この食べ方は、その子とお母さん・家族の人たちが作り上げた世界でただ1つの食べ方なのです。