アレルギーっ子の生活

<04-25      2001年06月30日(土)公開>

【みどりの美しい地球を守る食べかた】

 森林伐採による地球の緑の減少、フロンガスによるオゾン層の破壊、二酸化炭素やメタンガスなどによる温暖化、大気の汚染、河川や海など水の汚染、環境ホルモンによる化学物質汚染、酸性雨など今の地球は地球そのものが病気になりつつあります。地球が病めば、地球上に生存する動物達も、もちろん私達人間も病気になります。そして、地球上で一番地球を汚している生き物は人間です。人間は生存するために森林を伐採し、農地を開拓して、食べ物を手に入れてきました。そして、そのために地球の緑はどんどん減っています。どうしたら、地球を救うことができるでしょうか? アレルギーっ子達が病気にならない食べ方や暮し方を色々な面から考えてきました。そして、それはアレルギーっ子達が体を張って教えてくれています。どうも、この食べ方と暮らし方は地球を救う唯一の方法(次世代の新しい生き方)のようなのです。

 食肉(獣肉や卵)を生産するためには大量の飼料用の穀物が必要です。牛や鶏などが餌にするトウモロコシや小麦、大麦などです。牛肉1kgをつくるためには約8kg豚肉1kgをつくるためには5kg,その他鶏肉1kgをつくるために2kgなど平均して食肉1kgを産み出すためには約6kgの穀物が必要です。アメリカでは年間一人あたり112kgの食肉をたべます。ドイツやフランスでは100kgイタリア70kg、それに反してアジアではタイやインドネシアで10kg以下中国では年々増加して28kg、今は急増しています。日本は44kgとなっています(1992年)。現在(1998年)の世界の穀物生産量は約18.8億トンそのうち5割が人の食べ物に、5割は家畜の飼料にまわっていますもし、アメリカ人並みに食肉を食べると現在の地球上では約52億人しか生きられません。現在の地球人口は約59億人。肉食が増えれば飢餓から人類が抜け出ることはできないのです。人間一人は1年で約150kgの穀物があれば何とか生き延びられます。すべての人間が肉食をやめると約125億人が生存できます。現在肉食は中国やアジアなどでどんどん増えています。大量の肉食は大量の穀物を必要とします。そして、大量の穀物を確保するためには大量の農地が必要となり、貴重な森林の破壊を招きます。その上、飼育するときに使う石油と水も莫大な量が必要です。

 飼育するときにでる大量の便や尿による川や海の汚染、そこから発生するメタンガスや、暖房などに使われる化石燃料(石油やガスなど)から出る二酸化炭素による地球の温暖化、窒素酸化物による大気汚染や酸性雨の発生、肉の脂や、肉の脂で汚れた食器を洗うために使われた大量の合成洗剤による水の汚染など、動物を大量に飼育することは地球の汚染につながります。

 最近話題になる、牛肉や牛乳による腸管出血性大腸菌0-157感染症、狂牛病(牛の脳がスポンジ状に萎縮し死亡する病気−同じ原因で人は新型クロイツフェルト・ヤコブ病を起こすといわれている)、卵や鶏肉を介して感染するサルモネラ菌による食中毒、鶏肉によるキャンピロバクター菌による感染症、卵や鶏肉のアレルギー、牛乳・牛肉のアレルギー、ゼラチン(牛や豚の骨や皮からつくる)のアレルギーなどは、動物達の工業的な肉生産に対する反抗のようにも思えます。本来牛は草を、豚は木の根っこや人の食べ残した残飯を、鶏は草やミミズをついばみ生きてきています。工業的に大量に穀物を与える飼育方法、特に、草食である牛を早く太らせるために羊の肉など動物性蛋白質を混ぜて食べさせるなどの無茶(これが狂牛病を生み出したと言われている)はやめた方がよさそうです。

 アレルギーっ子達が教えている、肉や卵を少なくして、穀物をしっかり食べる食べ方は、もともとの哺乳動物としてのヒトの食べ方であり、一人のヒトとしての健康を取り戻すと同じに、地球に優しく、地球といっしょにヒトが生き延びていける食べ方です。

 さらに、私達日本人のお米を中心にした食べ方は、小麦を中心にした欧米の食べ方に比べてさらに地球に優しくできます。お米は含まれる豊富な蛋白質とエネルギーのため、野菜と、少しの小魚・少しの肉と組み合わせるだけでヒトに生きていく力を与えます。また、お米を産み出す水田は、農薬の使用を減らし環境との共存を考えることで環境を守ることのできる可能性をもっています。一方、麦・パンを中心にした生活では、蛋白質とエネルギーの少ない麦を補うために、どうしても肉や卵、牛乳、油などを食べなければいけません。肉や脂を大量に食べることは地球の汚染につながります。油脂はダイオキシンなど脂溶性の環境ホルモン物質に汚染されやすい食べ物です。汚染された油脂は食べることで、地球上のあらゆる生き物の生存を危うくさせています。

 アレルギーっ子が教えてくれた日本型の食事と暮し方。豪華に見える肉や卵づけの食べ方や暮らし方とは違い、一見質素に見えますが、地球と共存し、地球上のすべての生物達と仲良くやっていける、21世紀のすばらしい食べ方・暮し方に思えます。

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