<03-04 2000年08月21日>
平成11年度魚介類中のダイオキシン類の実態調査結果について(水産庁/平成12年10月20日)
平成12年度魚介類中のダイオキシン類の実態調査結果について(水産庁/平成14年02月08日)
平成11年〜14年度魚介類中のダイオキシン類の実態調査結果(中間報告)について※
(※このファイルだけ「.pdf」ですので、開くには「Acrobat Reader」が必要です。)
全国平均では10群魚介類、11群肉・卵類、12群牛乳・乳製品からダイオキシン類の摂取が多いことがわかります。東北地区は1群米・米加工品、2群雑穀・種実・芋類からのCo-PCB(コプラナーPCB)の摂取、11群群肉・卵類からのPCDD(ダイオキシン)+PCDF(ダイベンゾフラン)の摂取の多いことがわかります。
(過去には、PCDD、PCDFをあわせてダイオキシン類と言ってきましたが、最近はPCDD、PCDFにCo-PCBを加えて“ダイオキシン類”と呼ぶようになりました。)
アナフィラキシーの原因食品はダイオキシン類を含む食品が多いのです。
平成9年度厚生省「食品中のダイオキシン類等汚染の実態調査」での東北地方のトータルダイエット(成人一人が一日に食べるコプラナーPCBを含むダイオキシン類量)における各食品群の比率からみると、多い順に魚介類(50.2%)、肉・卵類(33.1%)、米以外の穀物・小麦・種実・芋類(25.1%)、牛乳類(7.7%)と続きます。一方、1986年から1998年までの食物が原因となったアナフィラキシー110例の原因物質の比率は魚介類・アニサキス(28.2%)、肉・卵類(26.1%)、小麦などの米以外の穀物・種実(51.3%)、牛乳製品(35.1%)でした。
(2群の穀類・種実・芋類の中には小麦・ソバ・雑穀芋類・種実が含まれます。)
平成九年度厚生省ダイオキシン類等汚染実態報告結果から、当院で指導しているアレルギー食を実施した場合にどの程度ダイオキシン類の摂取が減るかを計算してみました(単位はpgTEQ/日:TEQはダイオキシン類を一番毒性の強い2,3,7,8四塩化ジベンゾパラジオキシンの毒性に換算した値)。使用した調査は、一日に成人一人が食べる食事内容から計算したトータルダイエット量(一日に成人一人が摂取するダイオキシン量)です。
牛乳・乳製品を除去(12群牛乳・乳製品9.42を0に)、卵製品は除去、肉は脂身を避け汚染度の高い牛肉・ブロイラーは避ける(11群肉類・卵類20.87を3分の1に)。魚は汚染が強いものは避け、食物連鎖の始まりに位置する小魚を食べる(10群魚介類75.28を10分の1に)。植物性油脂はアレルギー用の汚染が少ない品質のいい植物油を少量使う(4群油脂類0.53を2分の1に)。米・野菜・海草は2倍食べる(1群米・米加工品1.18、7群緑黄野菜4.94、8群その他の野菜・茸・海草類1.23を2倍に)。小麦は汚染の少ないものを少しだけ食べる(2群穀物・種実・芋類を2分の1に)。その結果、全国平均のコプラナーPCBを含めたダイオキシン摂取量120.7 pgTEQ/日は、34.37 pgTEQ/日と3分の1以下に減少しました。
WHO(世界保健機関)が提起しているコプラナーPCBも含めたダイオキシン類の摂取基準は1-41pgTEQ/kg/日。日本の厚生省はコプラナーPCBを含めずに10pgTEQ/kg/日、環境庁は5pgTEQ/kg/日としています。体重を60kgとすると現在の日本人の摂取量は2pgTEQ/kg/日と日本の基準では許容量範囲内ですが、WHOの基準では高くなります。アレルギー食を食べると0.57pgTEQ/kg/日に減少し、WHOの基準以下になります。 そして、このような食事をするとアレルギー症状は軽くなります。
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