<02-06 2000年05月22日公開>
“アレルギー症状”は何かを食べたり、触ったり、吸い込んだり、注射された時に起こります。もし、“アレルギー症状”がどんな原因で起きてしまったのかが分かれば、事前に避けることができ、症状を起こさないように、または軽くすることができます。又、症状が起こってしまっても早く適切に処理することができます。原因を見つける時に一番安全で確実な方法は、起きた症状と食べたもの・行った場所・その時やっていたことを詳しく調べて、関連づけることです。ただし、“アレルギー”の起こり方は大きく分けて2通りあります。
食べたり、触ったり、吸い込んだり、注射された後、数十分後から始まり、数時間で終わってしまう反応は『即時型(はっきり型)』と言われています。この場合は、食べたものや吸い込んだもの、触った物との関連がよく分かるため、症状がどのように起こったのかを詳しく聞くと、検査をするまでもなく“アレルギー反応”を起こす原因物質が分かります。離乳食で初めて卵をあげて“じんましん”になった場合、犬や猫を触って目が腫れ、くしゃみ・鼻水が止まらなくなった場合、仕舞ってあったダニ・カビだらけの寝具を出して使い“喘息発作”や“じんましん”、“アトピー性皮膚炎”の悪化等を起こした場合、予防注射をして中に含まれるゼラチンで“じんましん”を起こした場合等が『即時型』の反応です。この反応が起こった場合、するどいお母さんでは「うちの子は卵を食べるとおかしくなるので、卵の“アレルギー”でしょうか?」と診断をつけて来院されます。『即時型』の反応は血液検査で分かる場合があります。保険で認められている“アレルギー”の原因精査のための検査、IgE(アイジーイー)の値が高くなります。また、血液中の好塩基球の数で反応の起こりやすさを予想できます。好塩基球から放出されたヒスタミンを測定するヒスタミン遊離試験もあります。皮膚に“アレルギー原因物質”を滴下して針で傷をつけて反応をみる皮膚試験や皮内反応を使って原因を診断する場合もあります。
『即時型』に続いて数時間後に始まる『遅発型(かくれ型、細胞性免疫)』“アレルギー反応”は、血液中の好酸球の多さで反応が予想できます。
『即時型』に対して、『遅延型』の反応は、時間がたってから症状が出るため、原因物質との関係がはっきりしない場合が殆どです。牛乳の“アレルギー”はその代表で、飲んでから6時間以上たってから鼻水等の風邪様の症状が始まり、1日から2日たってから症状の最悪時を迎え、むくみや赤みがひどくなったり、“喘息”が激しくなり、熱も出て“喘息発作”と肺炎の合併と診断されることもあります。全経過約1週間をかけて良くなっていきます。症状は、長く続くため、点滴や入院なども必要となることが多く、重症です。IgE検査だけでは、この『遅延型』は分かりません。IgEの検査結果をみて、牛乳が陰性だから牛乳は“アレルギー”がないとは言えない訳です。血液中のリンパ球を採血し、そのリンパ球に食物抗原のエキスや薬品を反応させて反応するリンパ球の増加率をみるリンパ球刺激試験等の詳しい検査が必要となります。しかし、お話しを詳しく聞いたり、実際食べているものを書いてきてもらうことである程度の予測は立ち、それらを生活環境の中から取り除く(環境整備、除去食試験)ことや、取り除いて良くなった時点で試してみる (負荷試験)ことではっきりすることもできます。ただし、その他の体の状況、他の“アレルギー”を起こしているか、お腹の状況、他の感染症があるかどうか、寝不足や疲労状態、精神的な状況などで症状が起こったり、起こらなかったり、強くなったり、弱くなったりしますので、いつも同じように“アレルギー症状”が起きるとは限りません。そんなことから、負荷試験の判定には難しいものがあります。少し食べても大丈夫だからと言って、どんなにいっぱい食べても良い、という訳ではなく、体の状態を考えて判断することが必要です。
『即時型』や『遅延型』が単独の場合もありますが、同時に起こることもあり、そんな場合には、“アレルギー”の症状の出現は2つの山を作ります。まずは『即時型』が数十分後に始まり、数時間で治まってきます。その後『遅発型』が始まり、数時間で治まってきます。半日ほどで『遅延型』が始まり、徐々に強くなっていき、24〜48時間でピークとなり、その後3〜4日で徐々に様々な症状を起こしながら良くなっていきます。この流れが分かっていると、無理をして病気を悪化させることはなくなります。『即時型』の反応が起きた後は、『遅延型』が続いて起こることを予測して無理な生活はせず安静にしておくことが大切です。
アレルギー反応の型 | はっきり型(即時型) および遅発型 |
かくれ型(遅延型) |
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症状が出始める時間原因物質 |
早い場合は5〜15分頃から |
数時間〜2日後から |
<食物・食品添加物・薬剤が原因の場合> 原因となる食物を食べると ●接触性のアレルギー アトピー性皮膚炎の場合、原因となる食べ物を触って症状がでる ●吸入性のアレルギー 小麦粉、そばがら、落花生の殻の粉等を吸い込んで症状がでる |
舌やのどの痛み・かゆみ 口のまわりからじんましんが出始める、 くちびる・まぶた・目の下がはれる、目の充血 鼻づまり・鼻水、 咳・痰・ゼーゼー・喘息・息苦しい・呼吸困難、 吐き気・嘔吐・下痢・腹痛・顔色が悪くなる 全身が腫れ上がり赤くなる・頭痛・めまい・血圧低下・意識がなくなる等、 アナフィラキシー、アナフィラキシーショック |
湿疹・アトピー性皮膚炎の悪化、 続く咳・痰・息苦しさ・気管支喘息発作の持続・吐き気・嘔吐・腹痛、全身のだるさ・微熱〜高熱・目の下のクマ・やる気のなさ・気分がふさぐ・イライラする 頭痛・胸痛・しんしゅつ性中耳炎・へんとう腺肥大・アレルギー性紫斑病・仮性クループ等 かくれ型のアナフィラキシー |
<ダニ・カビが原因の場合> フトン・座布団・ジュータン・タタミ・布製ソファーなどの上であばれたり、飛びはねたりした後 フトンで寝た後等 (9月末から11月秋、春の衣替えのころに症状が出やすい) |
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<ペット(犬・猫・うさぎ等)の毛や唾液、フケが原因の場合> ペットに触ったり、抱いた後 犬や猫を飼っている家の人との接触・赤ちゃんの場合は抱っこをされると 家の周辺にいる野良猫や犬の毛が風で飛んできて (春や秋の毛のぬける時期に症状がでやすい) |
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<そばがらが原因の場合> そばがらまくらを使って寝ると そばがらまくらを投げると |
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<花粉が原因の場合> 季節に原因となる花粉を吸い込んだり、触ったりすると スギ 2〜4月 ヒノキ 4〜6月 イネ科 4〜7月、9月 カモガヤ 5〜6月 キク科 春〜秋 タンポポ 春〜秋 フランスギク 5〜6月 ブタクサ 8月末〜10月 ヨモギ 9〜10月 人工栽培は年中 |