アレルギーっ子の生活

<02-07        2000年05月29日公開>

【アレルギーの起こり方−赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の場合】

お母さんのおなかの中で赤ちゃんは?

  妊娠中、お母さんの食べたものは一部が消化不十分な状態(この未消化の蛋白質が“アレルギー”を起こすもとになります)で腸管の粘膜から吸収されます。もし、お母さんに“アレルギー”があったり、腸の中にカビや病原性の細菌がいて、腸の粘膜が荒れているような状況があると、さらに未消化のまま吸収される蛋白質の量が増えます。吸収された蛋白質はリンパや血液の流れにのり、胎盤まで行き、赤ちゃんの血液と接触して赤ちゃんに“アレルギー”を起こさせます
  生まれてきた赤ちゃんはまず母乳を飲みます。お母さんの体内に入った未消化の蛋白質は母乳中にも入り込みます。その母乳を飲んだ
赤ちゃんは“アレルギー”を起こす物質を嫌い、体内に入らないように拒否します。「おなかが空いているのに母乳を飲まない」、やっと飲んでくれたと思ったら「すぐ寝てしまう」、「吐き出してしまう」、「もともと柔らかい母乳便がもっと水っぽくなってしまう」、「鼻水やよだれが多い」、「咳き込む」。こんな症状は、体に不都合な物質を体外に排泄するためのものです。生後2〜3ヵ月になると、ついには顔の皮膚に小さなプツプツが出始め、体に広がっていきます。皮膚が赤く腫れ、かゆみの強い“アトピー性皮膚炎”を起こしてしまいます。卵や牛乳、小麦等の“アレルギー”を起こす物質が入った母乳は赤ちゃんに嫌われます。そのため、つい人工ミルクになってしまいます。ところが、人工ミルクには牛乳や大豆油が入っているため、これらで“アレルギー症状”を起こしてしまいます。その他にも、「うんちがついたお尻が赤くただれ」、「鼻がつまって呼吸が苦しくなりおっぱいが飲めない」、「ゼーゼーして呼吸が苦しい」、「おなかが痛くなるためよく泣く」等の症状を起こします。


触って起きる赤ちゃんの顔のアトピー性皮膚炎

アレルギーの赤ちゃんのほっぺは家族の方が食べた食べ物がくっついても真っ赤に腫れあがります。食べる物だけでなく、触るものにも注意しないと治りません。

  お母さんのおなかの中で“アレルギー”を起こし、母乳を介してまたは人工ミルクで“アレルギー”を起こし始めた赤ちゃんが被る受難がもう1つあります。それは“アレルギー”の原因となる食べものによる接触性の“アレルギー”です。
  2〜3ヶ月頃にアトピー性皮膚炎で病院を来院する赤ちゃんたちの多くに見られる特徴があります。「ほっぺたがひどく」、次に「おでこや顎にひどい湿疹がある」のです。時間が経つと「首に、さらに手首や足等衣服から出ている部分が湿疹になり」、「胸、おなかへと湿疹が広がって」いきます。紙おむつをしているお尻は明らかにその上の腰の部分とは違います(ただし、肛門の周囲は“アレルギー”の原因となる物質を含むうんちで赤くただれます)。食べた物がお母さんやお父さんの胸の部分に付着し、赤ちゃんを抱っこした時にほっぺたにこすりつけているため、赤ちゃんのほっぺたがひどくなるようでした。
  卵に“アレルギー”のある6ヶ月の女の子がいました。ある時、両ほほの湿疹が悪化したため外来を受診しました。お話しを聴くと、いつもは自宅には卵はおいてありませんし食べてもいなかったのですが、その日はお父さんが休みでどうしても卵が食べたくなり、近くのコンビニでオムレツを買ってきて食べてしまいました。そして、そのオムレツを食べた口で最愛の娘の両ほほにチュっとしたのです。後は、病院に駆け込むことになりました。こんな例は外来で見ていると多数あります。もし、
赤ちゃんに“食物アレルギー”があって、本人や授乳中のお母さんが除去をしていても、お父さんや兄弟などが食べている場合は“アレルギー”はなかなか良くなりません
  赤ちゃんは“アレルギー”の原因となる食物を母乳を飲むことで、また
は人工ミルクを飲むことで体内に侵入させてしまい、直接触ることでも“アレルギー”を起こして“アトピー性皮膚炎”となり、抵抗力が落ちた皮膚に細菌やウイルス、カビ等の感染を起こし、真っ赤でぐちゃぐちゃなお顔で外来を訪れることになります。

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