12.アレルギー(対応)食品を選んでいれば安心?

 「食べものでアレルギーを起こす」と言うこと信じられないお医者様が大半で、“食餌療法(=除去療法)”を唱えるお医者様を異端者扱いしていた時代から、お医者様と共同で研究し、開発してきたメーカーさんには頭の下がる思いです。販路がそんなにある訳でなく、費やした時間と費用が回収出来るかさえ判らない中で取り組んできた先駆者達は、まさにメーカ−としての理念と子ども達への愛情だけで頑張ってきました。

 しかし、最近は“アレルギー用”を謳った食品や商品が氾濫しております。「“アレルギーっ子”も対象にしなければ販路が広がらない」と思っているのか、「『卵・牛乳・大豆(油)は入っておりません』とさえ書いておけば売れる」と判断しているのか、後から後から新規参入メーカーが増えております。食品では「○○は入っておりません」、石けん類では「敏感肌用」、化粧品では「敏感肌用」とか「アレルギー・パッチテスト済み」、掃除機には「ダニアレルギー対応」等々と書かれているのはよくご覧になっていると思います。後発組は先発組の販路を奪うためには“価格”と“種類の多さ”で勝負をしてきます。まさに買う側からすれば「渡りに船」、「一石二鳥」、「一挙両得」ですよね。しかし、それは中身が伴っての話。残念ながら、中々中身が伴わないものも多いのが残念です。

 実際に、“アレルギー対応”を謳った食品を食べても症状が改善されなかった例やひどい症状を起こしてしまった例も数多くあります。それは、メーカーの意識の低さから来る商品の“質”の悪さの問題ばかりではありません。そのメーカーを指導しているお医者様のお考えが原因の場合もあります。「混入くらいは仕方がない」と認めているお医者様もいらっしゃいますので。又、お店の人の勉強不足から来る説明不足が原因で、お客様が間違って選んでしまった場合も多かったように感じています。

 アレルギー用の食品や用品は治療の一環として使われるものです。薬を間違って飲んだら“危険”な場面さえあるように、アレルギー用の食品や用品も間違って食べたり、使ったりしては効果がないばかりではなく、却って悪くなることさえあります。又、一般の食品でも中身をちゃんと確認すれば安全で、使えるものも沢山あります。ですから、大切なのは「“アレルギー用”を使う」ことにあるのではなく、どんな食品や用品であっても、「その商品についての知識を得、品質・効果・役割を理解し、有効に使うこと」にあります。信頼できるメーカーの食品の中にも、「これだけは食べて欲しくないな〜」と思うものがかなりあります。最終的には自分の判断と責任で選ぶようにして下さい。

 この4月から『JAS法』が改正されましたけれど、予定されていた「使用したアレルギーの原因物質の表示」の施行は1年猶予がもたれたことは前にも書きました。「有機生産物」や「遺伝子組み換え食品」の表示も改正されましたので、表示義務のある商品を取り扱っているメーカーの負担を考えましたら、無理からぬことかも知れません。しかし、現実問題として、商品の裏のスペースにどれだけ記載できるでしょうか。先行しました「有機生産物の表示」や「遺伝子組み換え食品の表示」では、もうすでに違反品が発見・回収されていることはご存知だと思います。これらは、「食べたらすぐにどうにかなる」というものではありません(だから、“安全”だと言っているのではありませんのでお間違いのないように)。しかし、「アレルギーの原因物質の表示」は間違って表示されては“生命の危機”にも通じかねないのです。折角、良い方向に動き出したのです。「有名無実」な制度にしないためにも、皆さんの“眼”でしっかり監視し、皆さんの“声”で内容を充実していきましょう。そして、少しでも子ども達に“安全”な環境を引き継いであげましょう。

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