<08-17 2002年01月26日(土)公開>
アレルギーっ子たちの病気と付き合う時に一番大切にして欲しいことは、実際に起こっている現実をよくみるということです。本や教科書にこう書いてあるから、と実際に起こっていることを無理矢理否定してはいけません。
食物アレルギーのことを例にしてみると、食物アレルギーを知らないまたは信じない人やお医者さんにとって、これほど理解不明なものはないかもしれません。
昔、私の娘がアトピー性皮膚炎になり、妻が「母親が食べた乳製品が母乳中に出てそれを飲んだ赤ちゃんが食物アレルギーを起こす」と保母さんから聞いてきた時は、「そんなことがあって、たまるか」と論争になりました。私は、医学部で習ったこと、教科書に載っていることを振りかざして反論したのです。実際にそれが本当かどうか試してみようということになり、妻が乳製品を止めるとアトピー性皮膚炎が落ち着き、食べると悪くなることを目の前でみた時は驚きでした。私の教科書主義はガラガラと音をたてて崩れ去りました。病気は教科書だけでは治せないのです。実際の患者さんをよく診て考えることが大切だとわかったのです。
同じことは、子育てでも言えます。あなたのお子さんをよく見て下さい。病気の症状の出方も一人ひとりで違うのです。あなたのお子さんの病気を診て欲しいのです。あなたのお子さんを本に載っている病気に無理矢理当てはめないで下さい。周りから必要な知識や情報は得たとしても、あなたのこの世にたった一人しかいないお子さんをよく見て、あなたなりのやり方で病気に立ち向かい、あなたなりのやり方で十分に愛してあげて下さい。
まだ、お医者さんの中には、頭ごなしに「食物アレルギー」を否定する方もまだいます。患者さんの体に現実に起こっていることをもう少しよく見て欲しいと願っています。