<08-18 2002年01月27日(日)公開>
様々な病気で入院してくる子供たちの多くは食欲がなく、嘔吐や吐き気を伴っているため、食べられません。なんとかエネルギーを補給してもらおうとお粥をだします。すると翌日、お母さんはこう言います「うちの子はお粥食べられないんです」。そこで、ご飯を出します。すると、ご飯を噛まないで、お茶や水、味噌汁の汁、ひどい場合はジュースや牛乳と一緒に飲み込んでしまうのです。お母さんに聞くと、離乳食の時にお粥を食べさせなかった、離乳食では食べたが、その後は今まで食べたことがないなど様々。お粥は塩や梅干し、しょうゆ等で少し塩味をつけてやれば食べられるのに、そのまま無理矢理食べさせようとするお母さん、食べないからと売店でパンやおにぎりを買ってきて食べさせ吐かれてしまい困っているお母さんなど様々です。
病気の時に野菜を煮た汁(味噌汁や澄まし汁の汁、野菜スープ)とお粥がなんとか食べられれば、点滴しなくても済むことが多々あります。入院せずに外来でなんとか乗り切ることができる子供たちは、お粥と汁を摂ることができます。普段から、時々は家族みんなでお粥を楽しむことも必要ではないでしょうか。
追伸。点滴をしなくてはいけなくなる子供たちの多くが、塩、つまりナトリウムの血中濃度がかなり低くなっています。塩味をつけた野菜を煮た汁(野菜スープや味噌汁、澄まし汁など)を飲めれば、ナトリウムが欠乏することは少なくなるでしょう。ところが、お母さん達は、子供が具合が悪くなると、ジュースやアイスクリーム、ゼリー、プリン、よくてウーロン茶・お茶などを一生懸命飲ませます。これでは水分・糖分はなんとか摂れますが“塩”が足りなくなってしまいます。そのため、低ナトリウム血症となり具合がどんどん悪くなっていきます。塩味のついた野菜の汁とお粥が必要なのです。「塩の摂り過ぎは病気になる」という一面的な指導が行き過ぎているのかもしれません。上手な塩の摂り方が必要なのです。
ポカリスウェットなどのスポーツドリンクには塩・水・糖分は含まれますがビタミンが取れません。野菜の汁の中にはビタミンも多量に含まれています。ビタミンCは煮ると半減しますが、多く野菜の汁を飲めば他のビタミン・ミネラルと同時に補充されます。
お粥と味噌汁を摂ることは点滴することと同じなのです。いや、点滴よりもっと大切なことなのです。