<08-13 2002年01月19日(土)公開>
我が家の子供たちのアレルギーを振り返ると、魚や貝のアレルギーの歴史があります。
まずは、次女。1歳過ぎの時のアカウオによるアナフィラキシー、3歳の時のイクラによるアナフィラキシーが始まりでした。その後、サンマなどにアレルギーを起こし食べることを拒否しました。3人目に生まれた長男は、急な反応はしなかったものの、魚や貝はなぜか一切食べないのです。今思えば、汚れた魚を見分けていたのかも知れません。4人目の3女はやはり母親が魚を食べると痒みが表れ、魚がアレルギーになり、5人目の次男もやはり魚はアレルギー。最初に生まれた長女だけはあまり強い魚アレルギーはありません。
子供たちを見ていてこんなことが分かりました。魚の種類に関係なく、1つの魚がアレルギーになると、ほとんどの魚にアレルギーを起こします。そして、反応の強さは魚の脂の多さと新鮮さに関係しているようでした。脂の多い養殖された魚はダメ。汚い海や川で育った魚貝はダメ。生きのいい若くて小さな魚(シラスなど)は比較的大丈夫のようでした。
当院の北西部には北上川があり、岩手県から宮城県を通り太平洋に流れ込む長い川です。その下流地域は水田が広がり農薬の空中散布が行われ、除草剤(以前の除草剤剤にはダイオキシンが不純物として混入していました。現在、多量に使用されている含リンアミノ酸系除草剤は神経障害を起こすことが指摘されています。)も使われます。河口には製紙工場などが立ち並ぶ工場地帯があります。この地域から病院を受診されるアレルギーっ子たちはアレルギーがひどく、特に魚のアレルギーが多いため、水や大気、食品が汚れているのかもしれないと考えていました。母親はその地域で生まれ、小さい頃から魚を食べることが多く、父親である私は静岡県駿河湾に面する漁港で生まれ、製紙工場からの廃液で汚染された魚を食べて育ってきました。我が家の子供たちは汚染された海にある漁港育ちの両親から生まれたのです。
1998年1月7日、環境庁が「平成8年度非意図的生成化学物質汚染実態追跡調査」が発表され、北上川下流の飯野橋で採れたウグイのダイオキシン(ダイオキシン+ダイベンゾフラン)濃度は4.5pg-TEQ/gで日本全国35検体中最高濃度であることが分かりました。我が家の子供たちも、外来で診るアレルギーっ子たちも汚染された魚貝類にアレルギーを起こし食べることを避けているように見えます。ダイオキシン類による汚染は1970年代にピークを迎え、現在まで続いていると言われます。外来で魚のアレルギーが目立つようになってきて10年ほど経ちます。我が家で次女がアカウオでアナフィラキシーを起こしたのが11年前のことです。アナフィラキシーの症例も1970年代以降生まれた人たちが起こしやすくなっています。環境の汚染が進み、魚の汚染を介して、アレルギーを増加させている可能性が考えられます。