アレルギーっ子の生活

<08-09      2002年01月12日(土)公開>

【湯上がりタオルとカビアレルギー(皮膚のカビ)】

 私は一年中暖かい静岡県の出身、妻は寒い宮城県の出身。一緒に生活をしていると日常生活での様々な違いが見えてきます。静岡は年中暖かいので入浴後のタオルは毎日替えないとすぐに臭くなり使えません。したがって、入浴時はバスルーム内で使うタオルと湯上がりのタオル2枚を毎日交換していました。ところが妻の方は(後で患者さんたちに聞いてみてわかったことですが、宮城県をはじめとして寒い地域の人たちはタオルを交換する回数が少ないようです)数日に1回。子どもたちは、母親の方法でタオル交換をしていました。

 子供たちがアトピー性皮膚炎になり、調べていくと皮膚からいろいろなカビが多量に検出されました。カビに対してもアレルギーを起こしています。そこで、風呂場、寝室、居間、子ども部屋、タオル、寝具等のカビをカビ培養用の培地を使って調べてみました。室内の空気はペニシリウム、クラドスポリウム、アスペルギルス、リゾプスなどのカビ(糸状菌)やロドトルーラなどの酵母の仲間が見つかりました。これらは、量の問題がありますが、ふつうでもいるカビ、つまり人と共存して暮らしているカビです。カビが多量に見つかった場所は、風呂場の床や浴槽のふたや浴槽内、洗い桶の内側、そして、使って1日以上たったバスタオルでした。つまり、一度使ったタオルを暖かい室内に干しておき、翌日湯上がりに使うと、せっかくきれいに洗った体に再び前日に体から落としたカビをなすりつけていることがわかりました。カビだけでなく、様々な細菌、およびそれらが作り出した毒素も皮膚になすりつけ、アレルギーを起こしている可能性が考えられ、タオルを毎日新しいものに替えることでアトピー性皮膚炎は軽くなりました

 患者さんは入浴後のタオルを毎日新しいものに代えて使っていると医療関係者は思っています。毎日入浴して体をきれいにし、皮膚を消毒しても、なかなか皮膚のカビの感染や細菌感染が減らないアトピー性皮膚炎の患者さんがいます。この事がわかってから聞いてみると、やはり湯上がりタオルは週に1回しか取り替えない、ひどい場合は月1回という人がいました。「湯上がりに毎日洗いたての新しいタオルを使うように」とは、どのアトピー性皮膚炎の本をみても書いてありません。タオルを替えるだけでかなりの人のアトピー性皮膚炎が、少しよくなります。タオルを替える回数は地域によって、家庭によって差があるようです。

 寝具のカビも調べましたが、寝具に掃除機をかけても酵母の仲間は減らすことができませんでした。酵母は寝具(特に皮膚に密着する部分。シーツやフトンカバー、枕カバー。)を定期的に洗濯することで減らすことができます。

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