アレルギーっ子の生活

<08-10      2002年01月13日(日)公開>

【ホルムアルデヒドと気管支喘息】

 こんな子がいました。(当時)1歳5ヶ月女の子です。この子は室内のホルムアルデヒドで気管支喘息発作を繰り返していたのです。

 家族にはお母さんがダニアレルギーでアトピー性皮膚炎や気管支喘息があります。この子はすぐに咳が出やすく、1歳の時に急性肺炎で入院。その後生活環境や食事に注意していました。

 96年6月改築した自宅に父方の親と同居を開始しました。その後から、ぜーぜーや咳がひどくなって続いていました。ゼーゼーはさらにひどくなり、9月、10月と症状は悪化。11月になって牛乳のリンパ球刺激試験(かくれ型アレルギー)が281%で陽性とわかり、食事療法を継続。しかし、症状は一進一退で良くなりませんでした。
 97年4月、病院内の保育所から私立の保育所へ入所。そこは古い家屋を合板で補修してあり、ゼーゼーは強くなり、呼吸困難が強くなり、通い続けることができなくなってしまいました。そこで、我が家で日中預かることになりました。飲み薬や、吸入等では良くなりませんでした。朝、連れてきた直後に診察すると、肺の雑音は激しく聞こえました。しばらく預かって毎日診察し続けると、症状の強さに変化があることがわかりました。休みがあり、自宅に長時間いた後は症状が強くなります。雨が降ると症状は悪化。そこで、自宅での環境に何か問題があると思われました。着替えに持ってきている服からは有機溶剤の臭いがするため、化学物質による症状を疑いました。自宅から、洗って乾燥してから1日以上たった服をポリエチレンの袋に密封して持ってきてもらい、97年6月19日、ホルムアルデヒド濃度を測定してみました。結果、2.88ppmとかなりの高い値でした。改築時には、ホルムアルデヒドの揮発する合板を避け、スギのムク材を使ったのですが、ムク材にもホルムアルデヒドが防腐剤として使われていた可能性があります。結果を説明し、換気を十分に行なうようにしました。今までどうしても取れなかったがんこな肺雑音は急激に良くなり、8月には吸入、飲み薬などは必要なくなりました。
 97年7月5日の測定ではホルムアルデヒド濃度は0.0ppmと検出されなくなっていました。もちろん他の有機溶剤などでも起こるかも知れませんが、あのしつこい喘息はホルムアルデヒドが原因だった可能性が濃厚です。

 その後、自宅内や患者さん宅の色々な場所を測ってみました。長女の合板の机(3.0ppm)や合板の本棚の引き出し(2.5ppm)、せっかく新入学で買ってあげた新品の机の引き出しからは、ホルムアルデヒドが高濃度で検出されました。知り合いから使い古しの昔のムク材でできた机を譲り受けて、天然塗料などで修理した方が良いでしょう。合板を使った食器棚やタンス、ホルムアルデヒドの揮発がある合成樹脂製の衣装ケースなどから高濃度のホルムアルデヒドが検出されています。トップは長女の机の引き出しでした。

 自動車の通りの多いところでは、排気ガス中に含まれるホルムアルデヒドが付着し、屋外に干したタオルで濃度が高く出ました。

 ホルムアルデヒドをはじめとして様々な化学物質が病気を起こしています。何も考えないで化学物質を使うことほど恐いものはないことを感じました。

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