<07-18 2001年12月18日(火)公開>
ピーナッツはその太さが、幼児の気管、声帯の部分の太さにぴったりです。そのため、吸い込むと声帯部分にスポっと入り、窒息してしまいます。もし、ピーナッツを気管に吸い込んでしまった場合は、背部強打法や胸部圧迫法でピーナッツを吐き出させるか、しりもちをつかせて、気管の奥にピーナッツを落とし、右か左の肺の閉塞を取り除き、呼吸ができるようにしてあげなければなりません。窒息してから5分で脳の組識は死んでしまいますから、その場で窒息が改善しなければその後の経過は悲惨なものになります。
ピーナッツはかけらを吸い込む事故も多く経験します。喘息が治らず入院してきた子供のお話を聞いていたら、ピーナッツを食べているときにカミナリが鳴り、びっくりしてピーナッツを吸い込んでしまったらしいことがわかり、気管支鏡でのぞいてみたら、ピーナッツのかけらが入っていたこともありました。なかなか治らない肺炎の子は、おじいさんといつも食べていてピーナッツを吸い込んでいたことがありました。ピーナッツは肺に入ると粘膜に炎症をおこし、粘膜が腫れ上がるため、咳をしても外に出てきません。
最近、保育園や幼稚園、学校で、大豆を使うかわりに、殻付きのピーナッツを鬼に投げて節分を行うところが増えています。殻付きピーナッツは投げたあと、拾って食べることができるという理由のようです。しかし、撒いたピーナッツの殻の粉、落ちたピーナッツを踏みつけて粉々になった殻の粉で、喘息発作を起こしたり、粉が目に入り球結膜(白目の部分)が脹れあがる、食べたピーナッツでじんましんやアナフィラキシーを起こすという事態が起きています。また、床に落ちた殻の粉で豆まきの翌日でもアレルギー鼻炎を起こしたり喘息を起こす場合もあります。また、大人が見ていないところでふざけながらピーナッツを食べること自体が危険です。大豆ならピーナッツのように窒息することはありません。昔ながらの大豆を使った豆まきをしましょう。
撒いた殻付きピーナッツを拾って食べる場合、殻を口で割って食べるので、殻についた土(や埃)を口にすることになります。土の中の細菌(ボツリヌス菌)やカビ、猫・犬などの寄生虫を舐めることになります。撒いたピーナッツを食べることは止めた方が良いでしょう。