<07-19 2001年12月20日(木)公開>
突然、意識がなくなりぐったりとしたまま動かない。突然のできごとが死を予感させパニックが襲ってくる。こんなできごとは経験しなくて済むものなら一生出会いたくないのですが、もし遭遇してしまった場合、5分以内に酸素を送ることができなければ、脳が正常に活動を再開する望みは断たれてしまいます。もし、その場で何とか心臓と呼吸を維持することができれば、再生の望みをつなぐことができます。救急蘇生は子供が身近にいる人には必ず覚えて欲しい手技です。
ABCの順序で覚えておきます。
A:Air Way=呼吸をするための空気の通り道(気道)を確保する。 B:Breathing=呼吸をさせる C:Circulation=循環(心臓の拍動)心臓を動かし頭に血液を送る |
A:片方の手を首の下に入れ、上に引き上げます。同じに、おでこに手を置き首を背中側に曲げます。この動きで鼻からのど、気管までの空気の通り道ができます。
B:頬を倒れている子供の鼻に近づけ、息を感じます。同時に、胸を見て、胸が呼吸のため動いているかどうかを見ます。もし、呼吸をしていないことがわかったら、直ちに人工呼吸を始めます。
Mouth to mouth(口移し呼吸)
鼻をつまみ口の中に大きくゆっくり息を吹き込みます。胸をよく見て、胸が膨らんだら口を放し、自然に胸がしぼんだらまた息を吹き込みます。赤ちゃんの場合は口と鼻同時に口でおおい、息を吹き込みます。
合間に次のCに進み、心臓が動いているかどうかを確認します。
C:まず、脈があるかどうか(心臓が動いているかどうか)を見ます。首(頚動脈)、脇の下(腕頭動脈)、股の付け根(そけい動脈)などが触りやすいのですが、“脈がないこと”をみるので普段の正常な状態を知らないとなかなか判断がつきません。時々正常な脈の状態を触っておきましょう。寝ている時にソーッとと触ってみましょう。起きている時はくすっぐったがり、なかなか触ることができません。
脈が触れない時は、即心マッサージを開始します。押す場所は胸骨を2等分し下1/2の中点です。ここを背骨に向かってまっすぐ下に押します。背骨と胸骨の間に心臓をはさんで押さえつけ、人工的にポンプの働きを作り出します。大人〜年長児の場合は左右の手のひらを重ねて、小児は片手で、幼児は2本指で、新生児は親指2本で心マッサージを行います。
心マッサージ5回・人工呼吸1回の割合で続けます。あいまに大きな声で人を呼び助けをもとめます。救急車が到着し、病院に運ぶまで、または心臓と呼吸が戻るまで、途切れることなく行う必要があります。
子供が溺れる場所で最も多いのは、自宅の風呂場です。特に、入りやすいように浴槽の縁を低くした場合は、小さな子供が風呂場に一人でまたは他の小さな兄弟とだけで入れないようにしなければいけません。お母さんが家事に熱中しているあいだに、風呂場で遊んでいた子供が浴槽に落ち、気づいたときには浴槽中で浮かんでいた…。こんな悲しいできごとは、起きてほしくありません。風呂場の戸に鍵をつけるなどして、入って遊ばないよう常に注意していることが必要です。子供の姿が見えなくなってから、5分(溺れた場合、脳の細胞が死んでしまう限界)以内に気付かなくてはいけません。
溺水が起こる2番目の状況。それは次ぎのような時です。いくつかの家族でまたは子供会などで海や川、池の近くに遊びに行き、「こんなに大人が多いのだから、うちの子は誰かが見ていてくれるだろう」、そんな他人任せな気持ちが溺水を起こさせます。水の近くで遊ぶ場合は絶対に子供から目を離さないようにしましょう。目を離す場合は、子供が安全な場所にいることを数分おきに必ず確認して下さい。