<07-05 2001年11月24日(土)公開>
アレルギーを起こして症状がひどくなかなか治らない時は、薬を使って症状を軽くしたり、合併症を起こさないようにしなければいけません。ひどい症状は、次にひどい合併症を起こし、それはまたひどいアレルギー症状を起こすという悪循環に陥っていく可能性があります。どこかで、その悪循環を断ち切ってしまわなくてはいけません。出てしまった症状は薬をうまく使って抑え、新たなアレルギー症状が起きないように生活や食事に気をつけるようにします。
アレルギーっ子たちは、様々なストレス(病原体の感染、アレルギー原因物質、外気や気候の変化、精神的な変化や精神的な疲労等)に対して、神経・内分泌・免疫・アレルギー等の迅速で適切な身体の反応が起こりにくく、いったん反応が始まると過剰に反応してしう場合が多く、様々な病気を起こしてしまいます。うまく反応できない部分を薬によって一時的に補ってあげると、適切な生体反応ができ、良い状態に健康を維持できます。しかし、強い効果のある薬を原因の対処なしに使い続けると、自らが行うべき生体反応を起こすことが出来なくなり、薬なしでは生活できなくなってしまいます。病状に合わせて適切に、かつ、なるべく少量の薬を一時的に使う方法を見つけ出すことが大切です。薬はその有用な作用と同時に、副作用と言われる身体にとって都合の悪い作用も現れることがあります。それぞれの薬の特徴をよく知って使うようになるとあまり薬に頼らずにアレルギーを治せるようになります。
薬の着色はすべて人工着色剤です。小児用シロップのほとんどには保存剤(パラベン類)が入っています。したがってなるべく粉(ドライシロップ)か錠剤が良いでしょう。カプセルはゼラチン(牛の骨から製造)・ラウリル硫酸ナトリウム(シャンプーに使われる界面活性剤)・人工着色剤で作られています。なるべく、カプセルははずして中の粉(薬)だけ飲むようにして下さい。
薬は使う回数が多くなると、薬そのものにアレルギー反応を起こすようになることがあります。薬を使って、かえって症状が悪くなる場合は、処方された病院で相談して下さい。
ただし、病原性のある細菌やカビを殺菌するような薬を使った時、感染症の治りぎわには死んだ病原体の死骸や病原体が持っていた毒素がいっきに放出され、この物質にアレルギーを起こすため、じんましんが出たり、皮膚が赤くなったり、喘息の発作が起きたりすることがあります。この場合は病気が治るための反応ですから、病気治れば治まってきます。溶血連鎖状球菌(溶連菌)感染症菌、マイコプラズマ感染症、腸内のカンジダの抗真菌剤による治療等の時に、よく見られます。もし症状があまり強い時は、お医者さんと相談して一時薬を中止する必要があります。症状が軽い時は、そのまま薬を続けていると良くなってきます。
特に、使用を避けてほしい薬品は解熱鎮痛剤です。
@アスピリン等の解熱鎮痛剤は、使用を繰り返すと過敏症を起こし、発疹やじんましん等だけでなく、気管支喘息、アナフィラキシー等の激しい症状を起こしてしまうこともあります。過敏症になった人たちの多くが年少時から「頭痛があると痛み止め」「熱が出れば解熱剤」「生理痛に鎮痛剤」と安易に解熱鎮痛剤を使っていました。いったん、解熱鎮痛剤に過敏になると、人工香料、合成着色剤、保存剤、コハク酸エステル型のステロイド剤等にも過敏になることがあり、小児期から使用を控えて欲しいと思います。 A解熱鎮痛剤はアラキドン酸代謝経路に作用して、アレルギー反応を劇化させると言われています。 B解熱鎮痛剤は生体内の膜の吸収に影響し、透過性を高めます。したがって、食物アレルギーのある人が原因食品を食べてしまった時に解熱鎮痛剤を同時に服用すると激しい食物アレルギーを起こしてしまうことがあります。 |
これら3点の状態は、小児期には少ないのですが、思春期以降になると増加してきます。小児期に合成着色剤入りの薬(抗生剤等医薬品の着色はすべて合成着色剤が使われている)や保存剤入りのシロップ剤を多用することも、解熱鎮痛剤過敏症の誘発に影響している可能性があります。なるべく、このような薬品を使わない、口にしないことが大切です。
薬品には食物を原料にしている薬があります。耳鼻科で中耳炎の治療のために処方される塩化リゾチームは卵の蛋白質です。下痢止めとして処方されるタンニン酸アルブミンは牛乳アルブミンが原料です。また、整腸剤の多くには、菌の培養に使われた脱脂粉乳や牛肉のエキスの混入があります。これらの薬品を摂取するとアレルギー体質があれば病気を起こしてしまいます。薬を処方される際には、主治医にアレルギーの有無を伝えておく必要があります。
薬の分類 | 薬の効果別分類 | 薬品名 | 使う目的 | 薬の特徴・注意点 |
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軟膏 | 副腎皮質ホルモン剤(ステロイド剤) | ロコイド(弱い)、キンダベート(弱い)等 | 皮膚のアレルギー的炎症の沈静 | アレルギーを起こしにくく長期間使用できる。感染症が悪化することがある。弱いものを希釈してうまく使うこと。 |
非ステロイド系消炎鎮痛剤 | アンダーム等 | 皮膚の炎症の沈静 | 長期間使うとアレルギーを起こすことがある。 | |
痒み止め | オイラックス | 痒みを軽減 | つけるとカーっと熱くなり痛みが多少ありその後痒みが止まる。爪で掻かずに軟膏で掻いて皮膚を傷つけないようにする。長期間使うとアレルギーを起こすことがある。 | |
レスタミン | 痒みを軽減 | 長期間使うとアレルギーを起こすことがある。 | ||
抗生物質 | アクロマイシン ゲンタシン等 |
細菌の殺菌 | 長期間使うとアレルギーを起こすことがある。パラベン等保存剤が入っている。 | |
抗真菌剤 | ピルツシン・アトラント・アスタット・ラミシール等 | 皮膚の真菌・酵母感染の治療 | 使い始めた直後はカビの死骸や毒素で赤くなることがある。 | |
皮膚保護剤 | 白色ワセリン | 皮膚の保護 | 様々な軟膏の基剤。アレルギーを起こすことは少ない。 | |
サトウザルベ・亜鉛華軟膏・チンク油 | 皮膚の保護と殺菌 | 基剤の油によってまれに合わないことがある。サトウザルベは酸化亜鉛・なたね油とさらしミツロウが基剤。古くなると油が酸化して使えない。チンク油は大豆油、非イオン系界面活性剤(合成洗剤の一種)入り。 | ||
保湿剤 | パスタロン | 皮膚の保湿 | 皮膚の角質層を柔らかくする尿素入り。傷があると染みて痛いことがある。 | |
ヒルドイド | 牛の肺臓から取り出した成分からつくられる。牛乳アレルギーの強い人は注意して使うように。保存剤入り。 | |||
ユベラ | ビタミンE、Aの入った軟膏。大量のビタミンAは催奇形性があるため、妊娠初期は使わない。 | |||
アズノール | カミツレ(キク科)からとったアズレンが入っている。 | |||
抗アレルギー剤 | 眠気が出ない薬 | アレギサール・ペミラストン、オノン、リザベン等 | アレルギー症状の予防と緩和 | まれに、膀胱炎等 |
眠けが出る薬 | セルテクト、ザジデン、アゼプチン等 | アレルギー症状の予防と緩和 | 眠気が出る。眠気が出るのでそれを利用して眠れない時等に使用。 イライラしたり怒りっぽくなることがある。催奇形性があり、妊娠不可。 シロップ剤には保存剤(パラベン類)が使われている。 |
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体に吸収されない薬 | インタール | アレルギー症状の予防 | 特に副作用はあまりない。点眼液、点鼻液、ハンドネブライザー(インタールエアゾル)には乳化剤(トリオレイン酸ソルビタン)が使われている。経口剤、吸入液には入っていない。 インタール点眼UDは一回使い切りで保存剤は入っていない。 |
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抗ヒスタミン剤 | ポララミン、テルギンG,ペリアクチン、アタラックスP等 | アレルギー症状の緩和 | 眠気が出る。眠気が出るのでそれを利用して眠れない時等に使用。 イライラしたり怒りっぽくなることがある。催奇形性があり、妊娠不可。 |
薬の分類 | 薬の効果別分類 | 薬品名 | 使う目的 | 薬の特徴・注意点 |
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気管支拡張剤 | テオフィリン製剤 | テオドール、テオロング、フレムフィリン等 | 気管支拡張作用、ゼーゼーの改善 | 眠気が飛び目がさえる、元気になる、興奮、夜泣き、落着きのなさ、尿の回数が増える等の副反応がある。 飲み続けて慣れてくると副反応は出にくくなる。 |
交感神経刺激剤 | ホクナリン、ベロテック、メプチン、ブリカニール等 | 気管支拡張作用、ゼーゼーの改善 | 興奮、夜泣き、手が震える、動悸等の副反応。 飲み続けて慣れてくると副反応は出にくくなる。 |
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漢方薬 | 様々な種類があります | 麻黄が入っているもの(葛根湯、麻黄湯、小青竜湯等 | 気管支拡張作用、鼻閉の緩和 喉頭の浮腫の緩和 様々 |
麻黄には興奮する、眠気が飛ぶ等の作用があります。すぐ効果がでて、効いている時間が短いのでうまく使うと、とても有効。 |
その他 | それぞれ副作用はあるので、よく相談して使用すること。 | |||
麦門冬湯 | 麦門冬湯に含まれるユリ科ジャノヒゲの有効成分オフィオポゴニンは、粘膜において化学物質が起こした神経を介した症状(咳・頭痛等)を軽減します。 | |||
整腸剤 | ミヤBM(ミヤイリ菌) ラックB等(乳酸菌) エンテロノンR(耐性腸球菌) ※「ビオフェルミン」は削除しました (2003.06.06) |
抗生物質使用時に飲みます | 乳酸菌等腸内の正常細菌を増やす ラックB等の乳酸菌製剤は菌の培養時に脱脂粉乳を使用するため乳成分の混入していることがある。 培養時に牛肉エキスを使用するため、混入のあることがある。 注:整腸剤ではないが下痢止めのタンナルビンは牛乳から作るため牛乳アレルギーがある場合は使用を避ける。 |
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ビタミン剤 | パンビタン、ポポンS等 | 不足したビタミンの補充 | 保存剤や酸化防止剤としてブチルヒドロキシルアニソール(環境ホルモン物質の疑いあり)が入っている。天然の食品から天然のビタミンを補充するようにする。妊娠初期に大量のビタミンAは催奇形性が報告されており、使わないこと。 | |
吸入剤 | 機械を使い吸入する薬 | インタール吸入液 | アレルギー症状の予防 | 保存剤は入っていない。 |
メプチン吸入液 | 気管支拡張剤 | 経口剤の交感神経刺激剤と同様、興奮や動悸、手の震えがでることがある。保存剤(塩化ベンザルコニウム)が入っている。 | ||
携帯用ハンドネブライザー | サルタノール・メプチン等エアゾル剤 | 気管支拡張剤 | メプチンエアゾル・アロテックエアゾルには乳化剤(大豆レシチン)が入っている。その他の製品にも、乳化剤(トリレイン酸ソルビタン)が入っている。 | |
ディスクヘラー | フルタイド | 吸入ステロイド剤 | 基剤は乳糖。 | |
点鼻薬 | ステロイド剤 | ベコナーゼ、フルナーゼ、フルタイド等 | 鼻粘膜のアレルギー症状の緩和 | 症状がひどい時に使用。フルナーゼには非イオン系界面活性剤(ポリソルベート120)・保存剤(塩化ベンゼルコニウム)が入っている。ベコナーゼは乳化剤入り。 |
非ステロイド剤 | インタール点鼻・ノスラン | アレルギー症状の予防 | 予防的に使用。保存剤(エデト酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム)が入っている。 |
薬の分類 | 薬の効果別分類 | 薬品名 | 使う目的 | 薬の特徴・注意点 |
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抗生物質 | ペニシリン系 | アモキシリン、ユナシン | 細菌感染の治療 | 飲むと腸内の正常細菌も死んでしまうので、腸内にカビが増えてしまう。薬疹や下痢、腹痛等の出る頻度が高い薬。現在罹患している感染症の治療と副作用をてんびんにかけて使うことが多い。 |
セファム系 | セフゾン、ケフレックス 、ケフラール | セフゾンは鉄とキレートをつくり大便が赤っぽくなるが、血便ではない。 ケフラールは特にじんましんやアナフィラキシーの報告や経験が多く、使用はなるべく避けたい。 |
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マクロライド系 | エリスロシン、クラリシッド、リカマイシン等 | メイアクトには牛乳蛋白であるカゼインが含まれており牛乳アレルギーの場合は使わない。 | ||
テトラサイクリン等 | ミノマイシン | ミノマイシンは永久歯が生える前に使うと永久歯が黄色くなってしまうことがあり、乳幼児ではなるべく使用は避けたい。 ジスロマックにはゼラチン、アラビアゴムが含まれるため、ゼラチンアレルギー、ラテックスアレルギーの場合は注意。 |
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抗真菌剤 | 抗カンジダ剤 | ジフルカン | 真菌(カビ)の感染の治療 | 腸内のカンジダ感染、皮膚の真菌感染(白癬、カンジダ、黒色真菌等)の治療に使用。カビの感染症の最後の手段。 |
抗糸状菌剤 | イトリゾール | |||
抗白癬菌剤 | グリセチンV等 | |||
抗ウイルス剤 | ゾビラックス点滴・眼軟膏・軟膏・経口剤 | 水痘・帯状疱疹ヘルペス、単純ヘルペスの治療 | まれに肝機能を起こすことがあり、注意して使用。 | |
耳鼻科薬 | 塩化リゾチーム | 免疫賦活作用 | 卵から作られるため卵アレルギーの人には使用は避けたい。 | |
消毒・殺菌剤 | イソジン ヒビテン |
皮膚の殺菌消毒 | イソジン、ヒビテンは消毒力は強いが長期使用でアレルギーを起こすことがある。 イソジンはヨードを含むため甲状腺の働きを阻害することがあり、妊娠中は使用を控える。 |
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超酸性水 | 超酸性水はアレルギーを起こすことが少なく、長期間使用できる。効果が短いため、皮膚の損傷が少ない。 | |||
解熱鎮痛剤 | アスピリン(バッファリン)、ボルタレン(ジクロフェナックNa等)市販かぜ薬等 | 解熱・鎮痛。リノール酸(油)から痛み、熱、むくみ等を起こさせる物質ができないようにする | アレルギーっ子には使わないように心がける。過敏症、腸粘膜の吸収亢進等を起こし、アレルギーを悪化させる。過敏症を起こしてしまうと合成香料・着色料・保存剤、コハク酸エステル型ステロイド剤等にも過敏になることがある。 | |
点滴用ステロイド剤 | ソルコーテフ・デカドロン等一部の点滴用ステロイド剤 | 溶解液に保存剤(パラベン類)が入っているため、アレルギーを誘発することがある。コハク酸エステル型のステロイド剤で過敏症を起こすことがある(解熱鎮痛剤に過敏な場合) |