アレルギーっ子の生活

<07-04      2001年11月22日(木)公開>

【気管支喘息の治療】

 気管支喘息とは、なんらかの原因で気管支が収縮したり気管支の粘膜が腫れるため、空気の通り道が狭くなる病気です。そのため、ゼーゼー、ヒューヒューし息苦しく、呼吸困難を起こします。咳や痰もひどくなることがあります。他のアレルギー症状(くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、目の充血、じんましん、皮膚のかゆみ、吐き気、腹痛、下痢、お腹がゴロゴロするなど)を伴います。かぜ(鼻水や咳などの症状のある状態をいいます)をひくとゼーゼーすると感じている親の方も多いことでしょう。

 アトピー性皮膚炎が良くなってきた2〜3歳頃や、妹や弟が生まれ家族の人数が増えてにぎやかになった頃に発病します。最近では生後数ヵ月で気管支喘息と診断する例も増えています。思春期になって急に発病する例も目立ちます。もちろん、その他どんな時期にも発病します。季節は、秋の衣替えの時期にはじめての喘息発作を起こす場合が目立ちます。

 気管支喘息はアトピー性皮膚炎と違って、病状が軽いうちは親の目に見えません。病気が進行しかなりひどくなって初めて、ゼーゼーするという状態になります。そのため、病気を起こしてしまった時はかなりひどく、慌てることになります。目に見える状態の時、つまり赤ちゃんでアトピー性皮膚炎を起こしている時に、食べ物や、ダニ・カビなどの対策などを覚えて実行しておくことがぜひとも必要です。

 気管支喘息の治療は(l)発作時の治療と(2)発作を予防し軽くするための治療に分かれます。ここでは(2)について話します。発作時の治療は病気の時の対処法を見て下さい。

 気管支喘息の治療は次の3本の柱に支えられています。
  1)原因療法(アレルギーを起こしている原因を取り除く)
  2)身体や皮膚の鍛練療法(自律神経の働きを正常に保ちアレルギーを起こしにくい身体をつくる)
  3)病院での治療(薬や減感作療法など)

1)と2)を家庭で努力し、3)は最小限に留めたいものです。

l)原因療法

  アレルギーを起こしている原因が分かれば、それを避けることにより症状は軽減されます。乳児期から幼児期にかけては乳製品、卵製品、小麦、魚、ピーナッツ、大豆製品などが原因として目立ちます。食べ物は、食べてアレルギーを起こす場合と、食品の乾燥した粉を吸い込んでアレルギーを起こす場合があります。1歳を超えると、ダ二やカビ、そぱがら、ペットの毛、花粉などの吸い込むものに対するアレルギーが増えてきます。環境中のアレルギー原因物質は環境中に飛散する季節があります。その季節を知って、悪くなる季節を事前に予想し対策を取っておくと症状は出にくくなります。アレルギーを起こすはずの季節に症状が出なくなるとアレルギー性疾患は軽くなっていきます。

 解熱鎮痛剤(アスピリンやジクロフェナックNaなど)の薬剤や食品添加物も原因となることがあります。これらの原因を、問診や血液検査、食物日誌などから探し出し、生活の中から取り除けるように対策を考えます。また、これから先にアレルギーを起こす可能性のある物にも対策を考え、実行します

2)身体や皮膚の鍛練療法

  身体や皮膚を毎日鍛え、軽いアレルギーならば吹き飛ばしてしまうようなバランスのとれた自律神経の働きを身につけます。普段から薄着(汗をかかない程度。大人より1枚少な目が目安)にし、良い環境があればなるべく戸外で遊ぶようにします。友達と身体を使って避ぶことで体力や忍耐力が養われます。兄弟の少ない家族では遊べる友達をつくりましよう。運動子供たちのやる気を大切にし、長期間、できれば毎日続けられるものを選びましょう。水泳は発作を起こすことが少なく、皮膚も寒冷刺激で鍛えられて良いと言われています。しかし、通うプールの状況(水がきれいか、塩素の濃度は濃くないか、脱衣所がカビで汚染されていないかなど)や子供の好みなどを考慮し、実際に通ってみて楽しく続けられるかどうかを判断して下さい。運動はそれなりの注意をすれば水泳以外でもかまいません。その子の状況に合った物を選びます。ただし、発作がひどい時には運動を控えます。小さなお子さんの場合は朝早起きして散歩することや遊びを充分することをお奨めします。乾布まさつ(湿疹のひどいところは避けて下さい)や冷水浴で皮膚を刺激し、自律神経の働きを高める方法もあります。着替えの時に服を暖めたりせず、冷たい服で着替えることも大切です。

3)病院での治療

 1)2)だけでは、症状が軽くならない場合や1)2)を充分行うことができない場合は薬(抗アレルギー剤や漢方薬、気管支拡張剤などや減感作療法)が必要となります。かかりつけの先生とよく相談して、その子に合った治療法を行なって下さい。

<一般的な注意点>

1)気管・気管支の刺激になるものは避ける

化学物質は気管や気管支の粘膜を傷つけ気管支喘息発作を起こさせます。新建材や接着剤から揮発するホルムアルデヒド、たばこ・花火・線香などの煙、石油ストープ・ガスコンロ・自動車などの排気ガス(特にディーゼル車の排気ガス)・焼却灰、ヘアースプレー・化粧品の香・殺虫剤・農薬などは吸い込まないようにします。家族の方は(時どき本人が吸っている場合もあります)たばこは止めて下さい。少なくとも家の中では厳禁。家の外で吸うようにします。(→室内の汚染、煙草の項を参照)

食べたものが気管支に入ってしまうとむせて咳込み、ひどい発作を起こすことがあります吸い込んでしまった食べ物で肺炎を起こすこともあります食べ物が口に入っている時にふざけたり、あおむけに寝かせたりすることは止めましょう。特に、ピ一ナッツ(落花生)は気管に吸い込み窒息したり、かけらが気管支に入ってしまい治りにくい肺炎を起こす事故が多いので、小学校高学年以上になるまで食べさせないようにします。もちろん、アレルギーを起こしやすいので注意です。

●赤ちゃんの場合(特に、哺乳びんを使っている場合)は母乳やミルクでむせたり、吐いたミルクを吸い込まないように注意します。必ず抱いて哺乳し、ゲップは必す出させます。寝かせている時におっぱいを吐いてしまった場合は、身体と顔を横にむけ、吸い込まないようにします。噛まないとおっぱいが出てこないヌークの乳首がお奨めです。

2)子供らしい生活リズム

 夜早く寝て、ぐっすり眠り、朝早く起き、朝ご飯をきちんと食べ、排便をすませ、日中は外で思い切り遊ぶ。お腹を空かせて夕食に向かい、眠るこんな子供らしさが胃腸や気管支の状態を良好に保ちアレルギー克服のカになります大人の時間に子供を合わせたりせず、子供の時間に大人が合わせるように努力しましょう

3)取り組む時の心構え

焦らずに、じっくりと明るい気持ちで取り組みましょう気管支喘息の発作を心配するだけでは何も変わりません。できるところから着実に、あまり焦らず、じっくりと取り組みましょう。せっかく、気管支喘息のお子さんを持ったのですから、他の人にはできない、私たちだけの子育てを楽しみながらアレルギーを起こしにくい食・住環境を作り上げましょうアレルギーっ子を持ったこと、または、アレルギー体質を持ったことで色々な勉強ができることを子供に感謝するくらいの気持ちが必要です(し、そう思えた時に結果が出てきます−いっぽの追記)。色々なことを実現しいく過程で好ましい親子関係ができあがっていきます。相談できる方を友達につくり、情報交換することをお奨めします。例えば、親の会など交流できる集まりに参加することを奨めています。

原因となる物質に対する対処(環境整備)がうまくできるようになると、他の人が発作を起こす季節(秋口や春など)になっても、発作が起きにくくなります。また、本人が発作を起きそうな状態、場所を分かってくると、徐々に気管支喘息は軽くなっていきます

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