<06-08 2001年07月14日(土)公開>
アナフィラキシーを起こした季節を注意深くみていると、その方にとって危険な季節があるように思えます。花粉症のある人はその季節になると体調を崩し、突然大きな病気を起こします。つい先日まではなんでもなかったのに急に具合が悪くなるのです。ダニの季節になると今までは食べても何でもなかった物を食べても症状が出るようになってしまいます。そこで、環境アレルギーがアナフィラキシー発症に影響するかどうかを見てみました。
IgE検査で陽性になった花粉やダニなどの飛散期にアナフィラキシーを発症した人の割合を各年令層で調べてみました。1才以上になると、低年齢ではダニアレルギ−の季節に、高年齢では花粉アレルギ−の季節にアナフィラキシ−を起こす例が多くみられました。スギ花粉は12才以上の各年令層で20数%の人が花粉飛散と発症が同じでした。イネ科花粉ではさらに著明で、12才から20才のところでは実に43.5%の人が花粉飛散期に発症しました。キク科花粉では高年齢層に多くなりました。
次に、横軸に月を、縦軸に発症件数をとって発症月とダニアレルゲン飛散・花粉飛散との関係を見てみました。
ダニIgE陽性者の場合はダニが増殖し始める5月頃から7月にアナフィラキシー発症者が多くなります。ダニ症状期である9−11月にも小さな山ができます。この傾向は12才以上になるとさらにはっきりしてきます。
スギ花粉IgE陽性の場合はスギ花粉飛散期には発症が増えますが、それに続く5−7月にも多いのですが図に見るように同時にイネ科花粉IgE陽性者が多く、イネ科花粉の影響を受けているようでした。
イネ科IgE陽性者では明らかに花粉飛散期にアナフィラキシー発症が増える傾向がみられました。特に、12−20才代ではさらにこの傾向がはっきりします。
キク科花粉IgE陽性者でも同様の傾向がみられますが、特に風媒花であるヨモギやブタクサが飛ぶ初秋には21才以上の例で発症が多くなります。
東北地方特に宮城県ではイネ科花粉は水田周囲、道路脇などに多数群生しており、この花粉の影響は多大なものがあります。花粉症を起こす植物は各地方で違い・特色が見られるため、当地での状況がそのまま当てはめられるとは思いませんが、あなたの身の回りの植物による花粉症の季節にはアナフィラキシーの発症に十分な注意と花粉症対策が必要になるでしょう。
以上を簡単にまとめてみますと、アナフィラキシー発症を予防するためには、環境中のアレルギーにも注意が必要です。1才から11才頃まではダニの季節、12才から20才まではイネ科花粉、21才以上ではイネ科とキク科花粉症に注意を払い対策をとる必要があると思われます。
最後に、猫を飼っている実家(隣りにある)に毎日通い続け、猫と一緒に寝て生活しているうちに猫アレルギーを起こしてしまい、そんな状況下で人工ミルクを飲んでアナフィラキシーを起こした3ヶ月男児もいました。