<06-07 2001年07月12日(木)公開>
アナフィラキシーを起こす時は食べたものが腸の粘膜や口の粘膜などから急速に吸収されないと起こりません。アナフィラキシーを起こす時の患者さんたちのお腹の中の状態はどうなっているのでしょうか? 一般の市中病院では詳しく検査することもできません。そこで考えたことが、大便の中の微生物を調べることでした。アナフィラキシーになった時(何人かは起こす直前に検査できています)の便でカンジダ(酵母菌:常在菌ですが体調が悪い時には異常に増えてしまいます)や病原性の腸内細菌(腸管病原性大腸菌、腸管毒素性大腸菌、腸管侵襲性大腸菌など)の有無を選択培地と診断用血清を使って調べました(54件)。その結果、多くの症例で大便からカンジダの増殖や、病原性腸内細菌がみつかりました。これらのカンジダや病原性腸内菌の存在はアナフィラキシー発症に腸内の状態の悪さが関係していること、疲労や感染・アレルギ−などによる免疫力低下の状態を反映している可能性のあることが考えられました。アナフィラキシーを起こす人はお腹の状態が悪い様なのです。
ただし、この状態はアナフィラキシーの患者さんに限らず、他のアレルギー性疾患全般にいえることです。参考として1993年、94年のじんましん症例36例の結果を示しますが、75%でカンジダまたは病原性腸内細菌が検出され、同様の傾向でした。