アレルギーっ子の生活

＜��06-06　　　　　　2001年07月10日（火）公開＞

【アナフィラキシーを起こす前に罹ったアレルギーの病気】

　いったいどんなアレルギーの病気に罹っている人がアナフィラキシーを起こしやすいのでしょうか？　最初にアナフィラキシーで受診した時、過去にどんな病気を起こしていたのか、調べてみました。結果は表の如くでした。
　０才児ではアトピー性皮膚炎（軽症の例がほとんど）になっている子が圧倒的に多く、ついで、今までは何のアレルギー疾患もなかったけれど、アナフィラキシーで発病してしまった例も多くみられます。１才から11才ではアトピー性皮膚炎、気管支喘息、ジンマシンと続きます。12才から20才ではそれに加えてアレルギー性鼻炎の既往が増えてきます。21才以上ではジンマシンやアレルギー性鼻炎になっていた人がほとんどです。注意して欲しいことは、過去に罹っていたアトピー性皮膚炎や気管支喘息が改善し、もう治ってしまったのだろうと安心しているところにアナフィラキシーを発症している例が１才過ぎから多くなり、12才から20才までの例で増えることです。これらの例は運動誘発性アナフィラキシーのことが多く、重症です。

アナフィラキシー症例初回受診時の既往歴（１９８６−１９９７・５）

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　単位：人　　　●：運動誘発性アナフィラキシーを起こした人

初回アナフィラキシー発症時の食事療法の実施状況

　既往歴にすでにアトピー性皮膚炎や気管支喘息などのアレルギー性疾患のある人が多いということは、その人達はいったいどんな食べ方をしていたのだろうか？原因となった物質にアレルギーを起こしていることを知っていたのだろうか？という疑問がわいてきます。そこで、初回受診時に食事療法をしていたか、アナフィラキシーを予想していたかどうかを調べてみました。食事療法をしていて、アレルギーがあることはわかっていたが間違って食べてしまった場合を「過失」、その食べ物にアレルギーがあるとは思わなかった場合を「アナフィラキシーを起こすことを予想できなかった」、明らかにアレルギーがあることをわかっていた場合を「アレルギーがあることをわかっていて食べた」としました。

　表をみるとわかるように、圧倒的多数（85人中56人）は、食事療法は知識も実施もなく、アレルギーがあることを知らなくて食べた場合でした。食事療法をうまくできない群「指導されているが実施できず」のなかで「アレルギーがあることをわかっていてたべた」人も８名ほどいます。この人達は食事に気をつけていればアナフィラキシーの発症が避けられた可能性があります。

　負荷試験でアナフィラキシーを起こした子が１名いますが、その後負荷試験を実施していませんので、この子以後は症例がありません。

　過失例は食事療法実施中の３人で、祖母に飲んでも大丈夫と勧められた「飲むヨーグルト」を飲んでしまった牛乳アレルギーの４才女児、預かってもらった友人宅の子供が食べのこした笹かまぼこを食べてしまった卵とタラアレルギーの５才女児、父と姉と一緒に実家に帰り、姉に食べてみろと言われてピーナッツを食べてしまったピーナッツアレルギーの７才男児です。

　食事療法を実施していたけれどもともとの病気が良くなってきたため、徐々に食事療法が緩んでしまい、食べる回数・量が増えていきついにアナフィラキシーを起こしてしまった例が４例いました（チョコレートドーナッツの３才男児、ヨーグルト・ドーナッツ・ソフトクリームの３才女児、母が忙しく食事を作れず買ってきたお惣菜のラパス貝の煮付けの７才女児、トンカツ・卵焼き・ソーセージの８才）。

　食事療法を実施している人達の中にもアナフィラキシーを起こしてしまった方はいますが、はるかに頻度は低くなります。

初回アナフィラキシー発症時の状況（１９８６−１９９７・５）単位：人