<05-22 2001年11月08日(木)公開>
哺乳類の繁栄はその雑多性・多様性にあるといわれます。地球全体からみると、食べ物と住むところが種によって違うことが、哺乳類を地球上に繁栄させました。草食の動物は木の高いところ、低いところ、その中間を食べるものと別れ、食べ物が取り合いにならないように分化しています。同じ種の中でも、個性があり、それぞれの役割や行動が違うことも最近の研究でわかってきました。同じヒトの中でも、食べ方、成長の進み具合、体の大きさ、能力、考え方など様々な個体の個性があることで、集団が成り立っています。そして同じ種の中で多様性があることが環境の変化に適応し、その種の生命存続に有利に働くことがわかっています。今の人たちは「同じようにする」ことが集団であるかのような幻想を持っています。この発想は少しでも違うものを攻撃するということにつながり、いじめを生み出します。みんなと違うことをすることでいじめられるという恐怖がその人の自由な考えと行動を規制してしまいます。反対に、人はみんな違う、良いところもあれば悪いところもある、でもそれだから、集団ができあがるという発想からは、お互いを認めあい、助けあう行動が生まれてきます。
動物の個体はすべて違いがある(個性の雑多性)と認め合うことが集団となる必要条件となります。違うことが大切にされなければいけません。他の子とは違う良いところが認められて伸ばされなければいけません。「出るクギは打たれる」では、子供たちの伸びやかな成長はありえません。
親は、自分の子をまわりの子と比較し、無理矢理同じにしてはいけません。その子自身のその子なりの成長をみつめて、その子なりのヒトとしての成熟を願わなければいけません。「あの子」のまねをさせたり、親の要求を無理に押し付けてはいけません。その子の伸びる芽を見つけ、自分で考え行動できる立派な人としての、その子なりの成長を願って欲しいのです。