<05-21 2001年11月06日(火)公開>
子供たちのキラキラ輝く目、笑い顔、興味あるものに突進していく素直さ。時には怒られ、時には泣き、そんなことが毎日繰り返されて、大きくたくましくなっていく。子供らしい生活を送るためには、子供たちがヒト(哺乳類という動物)として生きていくためのしっかりとした土台が必要です。ところが今、この土台は崩れつつあります。
日本人は古来、日本で生きていくために必要な生活の知恵を持っていました。もちろん、貧しく物があまりないために、質素なものもありましたが、健康を維持するために大切なことを長い時間をかけて身体で覚え、親から子に伝えていました。戦後、この伝達はプッツンと切れてしまいました。ヨーロッパやアメリカなど、日本とは風土や気候の違う国の栄養学や生活様式が持ち込まれ、日本人の生活は何かおかしくなってしまったのです。乾燥した地方で使用されていたジュウタンが部屋に持ち込まれ、アルミサッシの使用と重なって、部屋の機密性が高くなり、室内はダニが異常に増加してしまいました。さらにはアルミサッシで密閉された部屋の中での煙草、石油ストーブやガスコンロの排気、殺虫剤、防菌剤、合成樹脂の添加剤、難燃剤などによる化学物質の汚染。牛乳製品・卵製品・油脂製品・肉・魚・小麦の多食、環境汚染化学物質による食品の汚染、農薬漬けの輸入食品の多食、食品添加物の大量摂取、合成洗剤の多用、砂糖漬け・甘い物漬けの生活など。ところが、病院に来るアレルギーのひどい子供たちの親は戦後のおかしな生活の中にどっぷりとつかって大人になった人達です。子供の時は勉強さえしていれば食事作りや掃除はしなくてもすんでしまい、大学では朝食は抜いて適当に加工品や外食で切り抜け、子供ができてアレルギーだとわかり、初めて食事の事や掃除の事を真面目に考える場面に立たされた人。牛乳や卵は栄養があるから必ず毎日食べなくちゃいけないと教えられ、真面目に食べて子供が牛乳や卵のアレルギーになってしまった人。テレビドラマや映画にでてくるトーストとコーヒー・牛乳の朝食にあこがれ、毎朝トーストを食べて子供が小麦のアレルギーになった人、など。
子供たちはアレルギー症状を通して訴えています。もう、今までの生活では、身体が耐えられません。もっと私たちの身体にあった生活をして下さい・・・と。
子供がアレルギーになった時、子供が病気になった時、自分がアレルギーになった時。そんな時が、今までの生活を振り返って、見直す良いチャンスなのです。こんな生活の仕方が良いんだよなどとは、どこでも教えてくれません。食べ方も、ヨーロッパから入ってきた西洋の食べ方は学校で教えられても、日本人の食べ方は教えてもらえませんでした。テレビで宣伝しているものが良いと思って、大量に買って食べれば健康を害してしまいます。
そこで、まず、居直ります。「戦後2代目の世代は昔の日本の生活や食べ方の知恵を伝えてもらえなかった。だから、知らないのがあたりまえ。でも、どうもそこを変えないとアレルギーは治せない。子供にアレルギーがあるのなら子供と一緒になって、どんな生活が良いのか考えて実行しよう」と前向きに考えてみませんか?
何を食べようか?と考えた時、まずは、日本人が昔から食べてきた米を選びます。少しは小麦もと考えた時は、パンは選ばず、うどんを選びます。次は野菜。なるべく、旬のものを(何が旬かは本で勉強します)……。生でマヨネーズやオイルドレッシングをかけて食べる野菜は選ばず(もし食べる時は塩かノンオイルドレッシングで)、煮た野菜を選びます。ダシは、化学調味料は選ばず、野菜・昆布を基本にかつおぶし・にぼし・あご(とびうお)などのダシを選びます。みそはきちんと醸造して作ったみそを選びます。油は、大豆から石油を使って無理やり抽出した大豆油やコーン油は使わず、なたねなどを自然に搾り取った良質の油を選びます。タンパク源は農薬の汚染が少なく遺伝子組換えではない大豆や、汚染の少ない餌を食べて育てられた豚・地鶏・牛、汚染の少ない海や川で育った新鮮な魚・食物連鎖のはじめにいる若い魚などを選びます。そして、なるべく農薬の少ない国産のものを選びます。調理方法は、揚げ物や炒め物は選ばず、煮物や蒸しものを選びます。少しずつ勉強しながらやっていけば良いでしょう。
生活でも、ダニに糞や死骸のかけら、ディーゼル車の排気微粒子をキャッチできる細かい目のフィルターの付いた掃除機(国産のもの軽くて使いやすい)を選び、紙パックは殺菌剤や殺虫剤のついていないものを選び、寝具に掃除機をかけて、ダニの糞や死骸・カビ・食べ物のカス・ヒトのフケ、ディーゼル車の排気微粒子、土ボコリなどを吸い取ってしまいます(昔はすきま風といっしょに外に出ていたはずですが)。季節の変わり目に、しまってあった衣類や寝具を出して使う前には必ず一度洗うか、良く掃除機をかけてから使います(ダニやカビがついています)。これも、昔は衣類の陰干しとして行なわれていたことです。
家の中に子供と一緒にこもり、早期英才教育の教材を前にして子供とにらめっこしたり、あれが食べたい・これが食べたいと言う子供のいうがままにお菓子を食べさせ、ジュースやアイスクリーム漬けにする・・は選ばずに、外に飛びだして近くの子供たちと子供を遊ばせ、子育てのことを相談できる友達をひとりで良いから作ることを選びます。うちの子はアトピーで牛乳も卵も食べず普通の食事(現在の子供たちの普通の食べ方の方が非常におかしいと思いますが・・)が食べらえないなんて、なんてかわいそうな私、などと悲劇の主人公になって、慰められるのを待っていることは止めて、一歩一歩子供と一緒になって進み、いつかきっと良くなる日がくるからあまり沈み込まないで今日も頑張ろうと一日をしっかり暮らすことを選んで下さい。牛乳、卵や加工品をやめることをストレスに感じてイライラすることより、子供にとって良いものを選んで食べ、良い遊びを見つけ、良い親子の接触を作ることに楽しみを見つけて欲しいのです。
栄養がどうのこうの、牛乳を飲まないから発達がどうのこうのいう外野の人たちには心配していただいたことは感謝しつつ、ちょっと聞き流して、子供の状態をきちんとみつめて、取り組んで頂きたいのです。
アレルギーを予防する生活は、様々病気を予防する生活につながります。家族にアレルギーの子が一人いたら、その子が良くなる生活をすることで家族全体が健康になる、そんなことがすべての家庭でできたらすてきです。
生き生きした目をもち、人間のことも、地球に生きるすべての生き物たちのことも考えられるすてきな子供になってほしいと思います。
いじいじしないで、ドーンと頑張っていきましょう!