<05-20 2001年11月04日(日)公開>
アレルギーを軽くするために生活の改善を進めていくと、何がその子のために良いことなのか、何が大切なのかを判断する事態にぶつかります。この時に指導する医療側と親との間にズレの生じることがあります。現代の大人たちの価値基準は、見かけの皮膚のきれいさ、体格、体重、学校や塾に行くことなどの“目に見えるもの”がその子の善し悪しを決める尺度となっていることが多いように思われます。そのため、湿疹が良くなりすべすべの肌になること、体重や身長が毎日毎日増えていくことそれがすなわち健康と勘違いしているようです。また、他の子と同じものを食べ、同じように遊び、同じような服を着て、同じものを持っていることが良いという錯覚を持っています。
でも、本当は見かけの良さではなく、体内の状態が健康かどうかがその子にとって大切なのです。体重が増えたかどうかは体重計を使えばわかりますが、その子の内面はその目でよく見ないとわかりません。色々なものに興味を示しているか、元気に遊ぶか、よく笑うか、よく寝るか、きちんとその子に合った発達をしているかなどよく見て下さい。子供の持っている他の子とは違う特質は何なのか、何が伸びる芽となるのか、何が得意なのか、何を自分で考え一生懸命やろうとしているのか、何になりたいか、何を生きがいにしていこうとしているのかなど、目に見えない部分を周りの大人たちが見つけ出してあげる必要があります。
アレルギーの体質を持っていると、環境が悪くなればアレルギー症状を起こします。この状態は一生続きます。目に見えるアトピー性皮膚炎が治ると、それまで覚えた食べ方や掃除の方法をたちまち捨ててしまい、目に見えにくい気管支喘息やアレルギー性鼻炎・腸のアレルギー・精神的なアレルギー症状などを起こし始める人がいますが、これは考えものです。覚えた生活法は一生使うことになるでしょう。忘れないように、親がその子に教えてあげることが親の勤めでしょう。その子の持つその子のすばらしい能力をその子なりに充分に発揮するためには、その子なりの健康をしっかりつかんでおく必要があります。
今アレルギーっ子たちが必要なことは、体格や腕力ではなく、生活する力、生活術です。