アレルギーっ子の生活

<04-45      2001年09月22日(土)公開>

【接触性の食物アレルギー】

 食物アレルギーでは、アレルギーのあるものを食べれば症状が出ますが、触っても症状が起こります。例えば、お父さんが卵を食べた後はお父さんの服に卵の成分が飛び散っています。お父さんが、かわいいわが子を抱っこすると赤ちゃんは顔を服にこすりつけ、卵にアレルギーがある赤ちゃんは顔、特に、ほっぺたやおでこがジクジクマッカッカとなるわけです。また、食べた後しばらくは口の中に食物が微量残っているため、しゃべるたびに唾液とともに飛び散り、赤ちゃんの顔や頭の皮膚はアレルギーを起こしてしまいます。お母さんがお父さんのお弁当に入れる卵焼きを作って、その油が飛び散ったエプロンのまま赤ちゃんを抱っこしても同じことが起こりますし、卵を触って卵で汚れた手で赤ちゃんを触れば、湿疹になります。お姉ちゃんが食べた卵の入ったカステラのカスは床に落ちています。そこに赤ちゃんが寝転がると、カステラのカスは赤ちゃんの肌について湿疹を起こします。つまり、赤ちゃんが強くアレルギーを起こすものを自宅には置かないようにした方が良いのです。特に、家の中ではお父さんが問題です。子供は一生懸命食べ物に気をつけているのに、お父さんは「普通の食事」をしているため、お母さんがアレルギーのある卵や牛乳でお父さんの料理を作っているという状況ではなかなか良くなりません。

 食物アレルギーは触っても起こる  赤ちゃんのほっぺは、家族の人・保育者が食べた食べ物に触って赤く腫れる  周囲の人が食べる、又は、調理する→服や手に付着、又は、床に食べ残しが落ちる、又は、調理して煙や湯気が出る→アレルギーを持つ子どもに接触→アレルギー反応(痒み、赤み、むくみ、じんましん、アトピー性皮膚炎悪化など)  対策:@アレルギーのある食品は周囲の人も極力食べない、又、周囲で調理しない、A食べてしまったら着替え、歯を磨いてから子どもに接触する、B床はきれいに掃除する多くの赤ちゃんは顔からアトピーが始まります。そこから胸に広がり、その後手や足、ふくらはぎの外側とお母さんやお父さんたちと触れるところがアトピーになっていきます。背中も湿疹になっていきます。ところが、紙おむつの中はきれいな赤ちゃんが多く、明らかに外からの刺激で皮膚は悪くなっていきます。ペット、特に猫を飼っている家庭に生まれた赤ちゃんがすぐに猫のアレルギーになる例が目立ってきていますが、この場合も接触性皮膚炎を起こし、顔から始めるひどい湿疹になります。もちろんダニやカビが原因の場合もあります。しかし、明らかに食べ物に触ってアトピー性皮膚炎は悪化しています。(参照→アレルギーの起こり方−赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の場合

 2歳の女の子がいました。牛乳や卵、小麦、ダニ・カビなどにアレルギーが強くありました。食事療法をしていましたがなかなかよくなりません。顔と手足の露出部位がひどいのです。そこでお母さんの食事も食物日誌に書いてきてもらいました。その日誌を見ると、お母さんは毎日朝はパンとチーズを食べ牛乳を飲んでいたのです。子供にはきちんとご飯と野菜たっぷりのスープを作っていたのに……。パンやチーズ・牛乳を触り、その手で子供に触り、牛乳のエキスが入った唾液のしぶきをしゃべるたびにアトピー性皮膚炎の我が子にふりかけていたのです。これを改めてもらったところアトピー性皮膚炎は軽くなりました。

 1歳の女の子はこんな目に会いました。自宅でおばあちゃんが卵油を作ろうと多量の卵の黄身をフライパンで炒めていました。その子が、卵の煙で充満している家に帰った途端、顔が真っ赤になり、あわてて病院へ駆けつけ入院してしまいました。卵のアレルギーは強陽性でした。

 食物アレルギーがある場合、その子だけが食べないようにするのでなく、その家庭全体が止めるようにしなければいけないようです。お子さんが食物アレルギーを起こしていると診断された場合、親は子供から家庭全体の食生活を見なすように警告を受けたと考えていただきたいのです。

小麦粘土による接触性皮膚炎

 保育園や幼稚園にいくと接触することが多くなるものに小麦粘土があります。小麦粘土は小麦アレルギーのある子が触ると手が荒れてしまうことがあります。そんな場合は小麦粘土をやめてサゴヤシ粉から作った粘土で代用できます。サゴヤシ粉に少しずつ熱湯を注ぎ込みよく練って硬さを調節します。白いきれいな粘土が出来上がります。防腐剤が入っていないので、粘土として使用した後は、冷蔵庫にしまっておきます。再び使用するときは、少量のお湯を練り込み、柔らかくしてから使ってください。(サゴヤシによる粘土の代用品はグリーンファミリーの倭美登里さんより教えていただきました。)

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