アレルギーっ子の生活

<04-36      2001年09月06日(木)公開>

【果物・野菜の過敏症】

 最近は果物や野菜の過敏症が目立ってきています。果物・野菜を食べると、くちびるや舌、のどの奥がかゆくなったり腫れたりします(口腔粘膜症候群)。じんましんが出たり、気管支喘息の発作を起こしたり、最悪の場合はアナフィラキシーを起こし救急車で病院に駆け込む場合もあります。

果物・野菜過敏症を起こす食物 バラ科(リンゴ、イチゴ、ナシ、モモ、スモモ、プラム、サクランボ、アーモンド、ウメ) ウリ科(メロン、スイカ、カボチャ、キュウリ) ミカン科(オレンジ、レモン、グレープフルーツ) バショウ科(バナナ) マタタビ科(キウイフルーツ) ユリ科(ニンニク) ナス科(トマト、ジャガイモ、ナス、ピーマン、トウガラシ、シシトウ、クコの実) その他なんでも可能性があります 原因となる果物・野菜はリンゴやイチゴを中心にバラ科の果物、メロン、カボチャなどウリ科の植物、キウイ、バナナ、トマト、ジャガイモなどが目立ちます。

 バナナは洗わなくてもきれいな感じがするし、皮をむくのにナイフはいらないし、安くておいしくて、なんて食べやすい果物なんでしょう! でも、農薬漬けの果物です。アトピー性皮膚炎で来院した子供たちでバナナを毎日のように食べている子の多くが、血液検査ではすでにアレルギーを起こしています。毎日のようにリンゴジュースを飲んでいる子供たちの多くがリンゴアレルギーを起こしています。キウイフルーツはアレルギーになるとアナフィラキシーなど、激しい症状を起こすことで有名です。グレープフルーツを毎日のように1年間食べ続けてアレルギーを起こしてしまい、食べた後に胸が痛くなる中学生の女の子もいました。

 同じ科に属する果物や野菜はアレルギーを起こしやすくなります。しかし、科が違っても共通抗原を持っている場合があります。例えば、モモ、イチゴ、オレンジとバナナのグループはそのうちの1つにアレルギーを起こすと他の果物にもアレルギーを起こす可能性があります。他にも、ニンジン・セロリ・キュウリ・スイカのグループ、キウイフルーツ・ゴマ・ケシ・ライムギ・ヘーゼルナッツのグループがあります。

共通抗原を持つグループ
●モモ(バラ科)・イチゴ(バラ科)・オレンジ(ミカン科)・バナナ(バショウ科)
●ニンジン(セリ科)・セロリ(セリ科)・キュウリ(ウリ科)・スイカ(ウリ科)
●キウイフルーツ(マタタビ科)・ゴマ(ゴマ科)・ケシ(ケシ科)・ライムギ(イネ科)・ヘーゼルナッツ(カバノキ科)

 リンゴなど果物とシラカバ(シラカンバ)などのカバノキ科の花粉とは交差抗原性(アレルギーの原因となる物質が共通して含まれていること)があり、シラカバの花粉症の人は果物過敏症を起こしやすいことがわかってきました。シラカバは北海道に多く、アレルギーを起こす人が増えてきています。西日本ではヤシャブシ(カバノキ科)の花粉症との関係が指摘されています。その他にも表のように、花粉症と果物や野菜との関係を指摘されているものがあります。

花粉 シラカバ イネ科 ヨモギ ブタクサ
果物や野菜 リンゴ・モモ
サクランボ
ナシ・スモモ
キウイ
ナッツ類
ジャガイモ
オレンジ
メロン・スイカ
ニンジン・セロリ
リンゴ
メロン・スイカ
バナナ

 果物のアレルギーがある場合、ゴム(ラテックス)にもアレルギーを起こしている場合のあることが報告されています。そのため、ゴムのアレルギーを起こしている場合には、表のような食品・花粉にアレルギーを起こしやすくなる可能性があります。

 また、桜の花見に行くと気管支喘息の発作を起こすリンゴのアレルギーの子を経験したことがあります。リンゴとサクラは同じバラ科の植物です。サクラの花粉で気管支喘息発作を起こしたと考えられました。

ゴムと共通抗原のあるもの
バナナ、キウイ、クリ、アボガド、クルミ、トマト、パパイヤ、グレープフルーツ、ジャガイモ、メロン、イチジク、ピーナッツ

 ポストハーベストされた輸入果物や国産でも農薬が多量に残留している果物や野菜は、付着した農薬に過敏症を起こす事があります。また、これらの化学薬品は果物過敏症を起こしやすくさせている可能性があります。なるべく食べないように心がけましょう。(参照→次回の「アレルギーっ子と残留農薬」)

 甘い果物を多量に食べることで腸内細菌が乱れ、アレルギーを悪化させます。反対に、腸内細菌が乱れてカビや病原性細菌が腸内に異常に増えている人ほど果物や野菜に過敏症を起こしていることが多いのです。

 野菜を食べないからと果物でビタミンを補おうと必死になっていたり、考えもせず多量に果物を食べ、ジュースを飲んでいると、果物のアレルギーを起こしてしまいます。農薬の少ない国産の果物を、季節に合わせて少量、味わいながら食べるようにしましょう。ビタミン類は農薬の少ない野菜を充分に熱を加えて調理し、特に野菜の汁物(味噌汁やすまし汁やスープ)からきちんと摂るようにしましょう。

 果物は熱を加えるとアレルギーが起こりにくくなります。

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