<03-14 2000年11月06日公開>
甲状腺ホルモンは、正常な作用を発揮するまでの、さまざまな段階でダイオキシンやPCBの影響を受けます。甲状腺ホルモンはサイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)の二種類がありますが、ダイオキシンやPCBの影響を受けるのはT4です。
甲状腺ホルモンは、その構造がベンゼン環2つからなり、ダイオキシンやPCBによく似ているため、甲状腺ホルモンの受容体(レセプター)に結合し、内分泌のかく乱が生じると考えられています。甲状腺から分泌された甲状腺ホルモンは、甲状腺ホルモン結合蛋白に結合して目的臓器まで運ばれ、まずT4に結合するトランスサイレチンにダイオキシン・PCBが結合してしまい、T4を運べなくなります。T4は胎盤を通過して胎児の脳内に入り、胎児脳内でT4からT3に変換されてから脳の発達に作用します。ダイオキシン・PCBは胎児体内でT4の脳内への移行を妨げ、胎児脳内のT4濃度を下げてしまいます。最終的には、胎児脳内のT3が減少し、胎児脳の発達を障害するといわれています。
ダイオキシンやPCBは甲状腺ホルモンのグルクロン酸抱合活性を高め、体外排泄を亢進させます。