アレルギーっ子の生活

<03-10       2000年10月09日公開>

【アレルギーの起こり方−体の内と外】

 私たちの体は、どんな時でも一定の状態で体内の様々な働きができるように、身体の内と外をうまく分けています。どんなに外気温が下がっても、体内の温度は一定に保たれます。体外に“毒性”のある物質があっても、体内に入らないように防御します。
             
  外と内を隔てる臓器は主に3つあります。
  「皮膚」は外気と体内を隔てる隔壁です。
  「鼻の粘膜や気管・気管支粘膜(気道粘膜)」は吸い込んだ空気と体内の間を隔てています。
  「腸の粘膜」は食べ物が通る腸の中(体の外です)と体内を隔てています。

皮膚はからだ全体をおおい、外の環境と体内とを隔離している   気道粘膜が空気の通る外と体の内を隔てている   腸の粘膜が体の外と内を隔てている

  多くの“アレルギー性疾患”はこの外と内を隔てる臓器の病気です。皮膚ではアトピー性皮膚炎やじんましん、目ではアレルギー性結膜炎、気道粘膜ではアレルギー性鼻炎や気管支喘息、腸粘膜では食物アレルギーや腸管アレルギーが起こります。

  外と内を隔てる臓器がしっかりとしていて、外の環境にかかわらず、体内のすべての働きが正常に営まれているとき、その人は“健康”ということができます。しかし、現代の日本での生活はこの隔壁を傷つけ痛めつける物質があふれ、正常な働きを維持することができなくなっています。

アレルギーを起こす過程

@皮膚・気道粘膜・腸粘膜を傷つけられるとアレルギーを起こす原因物質(アレルゲン)が体内に侵入します。
A体内に侵入したアレルギーの原因物質は異物として認識され、アレルギーを起こす状態を作りあげます(感作)。
Bアレルギー原因物質が再び体内に侵入したとき、アレルギー反応を起こし体外へ排除しようとします。
C体調が悪く排泄機構がうまく働かないとアレルギー反応は暴走し、アレルギーの病気として発病してしまいます。




 漫画で見てみましょう。

アレルギーを起こすまでの物語

登場人物は次の方々 アレルギーくん、バイ菌くん、カビくん、異物くん
“健康”な状態の時
ある時、体は多数の“異物”たちの攻撃を受けてしまい、体を守っている“壁”が壊れてしまいました。
壊れて抵抗力が落ちた“壁”にはバイキンやカビがつき、それらの出す“毒素”で腫れて赤くただれ、ますます“壁”は壊れていきます。
壊れた“壁”から体の中に“異物”が入ってくるようになりました。この“異物”は体を傷つけます。アレルギーくんは“異物”の人相を覚え、今度入ってきたらやっつけようと身構えます。
(アレルギー反応)“異物”が再び入ってきました。もうこれ以上我慢できません。アレルギーくんは“異物”を体の外に追い出す行動に出ました。同時に痒みや痛みの信号を出して、体に“危険”が迫っていることを体の持ち主に伝えようとします。うまく伝わるでしょうか?
体の持ち主にうまく伝わりませんでした。“異物”たちが壊れた“壁”からどんどん入ってきます。今までは体を壊さないように頑張ってきましたがもうそんなことは言っていられません。無我夢中で戦いました。激しく戦い過ぎたその結果、守らなければいけない体まで傷つけてしまいました。アレルギーがひどくなりやすい体質の人のアレルギーくんは一度暴れ始めると自分では中々止められない性格を持っています。誰か、助けて〜!
やっと信号が伝わりました。“異物”たちの量が減りました、。環境を改善し、良い食べ方に変えたに違いありません“壁”も壊れたところが治り始めました。しかし、この状態はアレルギーが治った訳ではありません。アレルギーの病気を克服した状態です。手を抜けば、また、戦いが始まってしまいます。。

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