<03-08 2000年09月25日公開>
成人病の予防のために、小児の肥満・高脂肪血症の治療や食事療法も外来で実施しています。食物日誌をじっくりと見ていると、「この子は、ダイオキシン等脂溶性環境汚染化学物質の影響を軽くするために太っているのではないか?」と考えるようになりました。肥満の子の日誌には、油脂の多い食品が朝から夜までズラッと並んで書かれています(油脂の多い汚染された魚介類、油脂の多い肉類、卵や牛乳その加工品、油脂の多い加工食品等)。
アレルギー症状があると、食事と病気との関係がよくわかるため、食べてはいけない食品を家族の人も本人も早く認識する事が多いのですが、肥満の子は食べてもすぐには症状に結びつかないため、なかなか、食事療法がうまくできるようになりません。又、ダイオキシン等の脂溶性環境汚染化学物質は単純拡散で体内に広がるため肥満になり、体脂肪が増えることで体内濃度が薄くなり、体への悪影響を軽くさせている可能性があります。
したがって、肥満は、「ダイオキシンなど脂溶性環境汚染化学物質を含む食品を多量に食べる人がとっている自己防衛反応ではないか?」と考えられます。汚染された油脂の多い食品を食べないようになると、例えば、入院して汚染の少ない食材できちんとした内容の食事を摂るようになると、肥満はすばやく改善します。
肥満の子も食物アレルギー(特に遅延型:かくれ型アレルギーが多い)は多いのですが、表面状に症状は出にくく、出た時は激しい症状になる傾向があります。アレルギーのある食品を食べても、ぎりぎりまでは何事もないように生活をしていますが、ある一線を超えると爆発するようにアレルギー性の病気が始まります。アナフィラキシーを起こす例では、思春期にさしかかり、「ここ数年急激に太ってきた」と思っていたら、突然アナフィラキシーを起こしてしまうという例が目立ちます。