3.“平均寿命”とは?

  我が国は世界有数の“長寿”国であることは皆さんもご承知の通りです。毎年、“平均寿命”が発表されますが、“平均寿命”が延びていると、今、生きている私達の寿命まで延びるような気がしてきます。しかし、それは間違っています。
 “平均寿命”は「今、生まれたばかりの子供が、何も無ければここまで生きられるであろうと予測された年月のこと」です。ですから、私達大人の“平均寿命”はもっともっと短いのです。これは、乳幼児期の死亡率や感染症や戦争、大きな震災等により多数の尊い生命が奪われると途端に短くなります。アフリカやアマゾン等の原住民のように、環境衛生が極端に悪いところでは「10人の子供が生まれても成人まで生きていけるのは約2割」だそうです。その殆どが乳幼児期に感染症等で亡くなってしてしまうそうですが、例えば、その生き残った2人が1人は40歳まで生き、もう1人は80歳まで生きたとしましょう。残りの8人は平均して5歳としておきます。すると、この人達の“平均寿命”は

 
合計年齢÷人数で計算出来ますので、(40歳+80歳+5歳×8人)÷10人=160歳÷10人で16歳

となります。この数字は我が国の“江戸時代”のもの(約30歳代と言われている)よりも低くなってしまいます。又、例えば、10人生まれたうちの1人が15歳、1人が25歳、6人が50歳、2人が60歳まで生きたところでは

 合計年齢(=15歳+25歳+60歳×6人+70歳×2人)÷10人=540歳÷10人=54歳

の“平均寿命”となります。要は、現代の我が国のように医学が進歩し、乳幼児期及び老齢になってからも簡単に死ななくて済むようになったことが飛躍的に“平均寿命”を延ばしている要因なのです。しかし、その中身は全てが「健康のまま(現在では“健康寿命”という言葉も使われるようになってきています)」でないことをご承知おき下さい。失礼な言い方になりますが、ボケでも植物状態でもガンの末期状態の人でも、生きているうちは“平均寿命”の計算対象となり、平均寿命を引き上げている一因になっています。
 私達が望む一生は、只、単に「長生きしたい」のではないはずです。健康で過ごせ、持っている能力を最大限に発揮し、自分の夢を追い求め、「ピンピンコロリ」の言葉のように、気持ちよく寝て、朝になったら静かに眠るように天寿を全うしていたと、いうのが理想のはずです。中身の伴わない“平均寿命”の言葉に一喜一憂せず、中身の充実を早急に図らなければなりません。

長寿村の条件を学ぶことにより、今の私達の生活に何が必要なのかが見えてきます。

“長寿・健康”の条件 “短命・不健康”の条件
@水・空気の質が良い @水・空気の質が悪い
A気候がやや厳しい A気候・住環境が良い
B労働がやや厳しい B労働が0に近いか過剰
Cストレスが少ない Cストレスが0に近いか多い
D大食をしない(摂取カロリーが少ない) D食べ物は飽食状態
E美食をしない(摂取タンパクが少ない) E肉中心の食生活(タンパク質の大量摂取)
F野菜の摂取量が多い(イモ類・海藻類を含む) F野菜の摂取量が少ない

※   短命の条件のBとCの下線部分は服部が加えました。

  具体的に数字で見てみましょう。これは毎年発行されます『食品成分表』の2001年版から抜粋してあります。この本もご家庭に1冊あると便利な本ですので、ぜひお手元において活用して下さい。

日本人の平均寿命の推移<抜粋>
年次
大正10年〜14年 42.06 43.20
昭和22年 50.06 53.96
  26 60.80 64.90
  46 70.17 75.58
  50 71.73 76.89
  60 74.78 80.48
平成元年 75.91 81.77
 2 75.92 81.90
 3 76.11 82.11
 4 76.09 82.22
 5 76.25 82.51
 6 76.57 82.98
 7 76.38 82.85
 8 77.01 83.59
 9 77.19 83.82
 10 77.16 84.01

 平成10年度の“平均寿命”は男性が77.16歳、女性が84.01歳でした。“平均寿命”が70歳を越したのは男性が昭和46年、女性が昭和40年でした。60歳を越したのは男性が昭和26年で、女性が昭和25〜27年でした。大正10年頃は男性が42.06歳、女性が43.20歳でした。江戸時代は30歳代だったと言われています。
 この数字をご覧になってどう思われますか? 「長生き出来るようになって良かったナ〜」と単純に思われますか? それとも「“動物性タンパク質”等の“栄養が摂れるようになったことが私達の寿命を大きく伸ばしたんだ!」と、多くの栄養学の先生方と同じように思われるでしょうか? 
 このことを考える材料として西丸震哉著『41歳寿命説』の中に次のように書かれています。「自然医学者であり、世界中の長寿村の研究者としても名高い森下敬一氏は、日本の見かけ上の“長寿現象”を指して『真正長寿』ではなく『仮性長寿』であると看破している。明治・大正生まれのいわゆる“粗食時代”の驚くべき生命力が統計的な見せかけだけの寿命延長を引き出しており、そこには日本の若い世代が健康で長生きできるようになったという意味合いはまったくないということだ」と。
 世界有数の長寿国日本。その中で皆さんは「何にも努力しなくても健康のままで長生き出来る」とか「自分は平均寿命の年齢までは生きられる!」等と思い込んでいるとしたならば、それは“平均寿命”と言う言葉のマジックに外ならないことはお話しました。
  いつの時代にだってご隠居さんとか長老と呼ばれる年配者の方々がいらっしゃいました。『100歳』近くまで長生きした歴史上の人物も数多くいます。却って“平均寿命”の短かった時代の人の方が金さん・銀さんの双子の姉妹のように、今の年配者達よりもず〜っとしっかりしていて、元気で、年取ってからも仕事を持っていて、天寿を全うされた方も多かったように思います。それなのに、後でも詳しく書きますが、“平均寿命”の長くなった今の時代の方が45代後半からガンをはじめとする三大“生活習慣病”に付きまとわれ、一生を「病気と一緒に送る人」が多くなってしまっているような気がします。又、“平均寿命”の半分の若さで“痴呆”になってしまう人も増えてきてしまっているのです。
  専門家の中には「長生き出来るようになったからこれらの病気が増えたのだ!」とおっしゃる方がいらっしゃいます。「今まではこれらの病気になる前に死んでいたんだ」と。でも、そんな説明では納得がいきません。それは何故か? これらの病気は先進国には顕著に表れていましたが、発展途上国(中でもアフリカなど)では元来はなかった病気だからです。生活習慣(特に“食”生活)の欧米化とともに増えてきた病気だからです。参考までに次の表と次ページの『我が国の年齢別・死因順位』を見ていただければご理解いただけると思います。

各国の平均寿命と死亡総数・死亡順位・死因別死亡率(資料 総務庁統計局 「世界の統計2000年版」)
平均寿命 年次 死亡総数 第1位 第2位 第3位
国名 年次 死因 死亡数 死因 死亡数 死因 死亡数
日本 1998 77.16 84.01 1998 936,484 悪性新生物 226.7 心疾患 114.3 脳血管疾患 110.0
アメリカ合衆国 1996 73.10 79.10 1994 2,278,994 心疾患 271.1 悪性新疾患 205.2 脳血管疾患 58.9
エジプト 1996 65.15 69.00 1987 466,161 老衰 151.4 心疾患 143.1 感染症及び
寄生虫病
98.9
スイス 1995−96 75.70 81.90 1994 61,987 心疾患 257.5 悪性新生物 232.1 脳血管疾患 78.4
タイ 1990−95 66.40 71.40 1994 305,526 心疾患 63.5 不慮の事故 57.9 悪性新生物 49.0
フィリピン       1978 297,034 感染症及び
寄生虫病
146.1 肺炎 100.0 結核 62.4
                                                            (人口10万人対)

 確かに、平成10年度の我が国の平均寿命は男性が77.16歳、女性が84.01歳でした。人口に対する高齢者の割合も多くなり、「超高齢者社会の到来!」だの「近い将来、保険が破綻する!」だの言われ、益々真実味を帯びて来ているように見えます。しかし、私は「そんな超高齢者社会なんてものは来ない!」と考えております。それは、今の私達を始めこれからの子ども達の健康に不安を感じているからです。今の、そして、これからの子ども達が、今のままの生活を続けていたとしたら40歳まで生きられるでしょうか。以前、“成人病”と呼ばれていた“生活習慣病”は、その名のとおり成人の病気でした。しかし、“小児成人病”という言葉も使われたように、その病気が子ども達にも広がっています。当店にいらっしゃるお子さんの中にも3歳にもならないのに“高脂血症”と言われたお子さんが結構いらっしゃいます。多分、“アレルギー”を研究し、“アレルギー”と真正面から向き合っている専門家の先生方の中にも同じようにお考えになっていらっしゃる方が大勢いらっしゃると思います。
 又、アレルギー以外の面からでも『身土不二を考える』『食べることに自信を無くした日本人』(島田彰夫著)、『41歳寿命説』(西丸震哉著)、『今の食生活では早死にする』(今村光一訳)、『今の食事ではきれる子になる』(鈴木雅子著)『その食事では悪くなる』(大沢博著)『身体によい食事 ダメな食事』(幕内秀夫著)、『胃腸は語る』(新谷弘実著)等々のように「今の食生活を続けていればこれからの子ども達の健康には相当な危険が迫っている」と警告する著書は多数あります。

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