自動車に乗っていて具合が悪くなったことはありませんか? 新しいデパートや公共の建物に入った時に目がチカチカしたり、息苦しくなったことはありませんか? 新聞や雑誌を読んでいて、気分が悪くなったことはありませんか? 殺虫剤を噴霧した後やトイレの芳香剤や消臭剤で具合が悪くなったことはありませんか? タンスの中に仕舞っておいた衣類や衣替えで出した洋服を着て具合が悪くなったことはありませんか? このような経験をされたことのある方は“化学物質過敏症”が疑われます。
この病気は、一度に大量の化学物質に接したり、少しずつでも長期に特定の化学物質に晒されていた場合に、ある時からその化学物質に過剰に反応するようになってしまうのが特徴です。そして、更に、他の物質にも反応してしまう例も少なくありません。最近、話題にもなっておりますシックハウス(ビル)症候群やシックスクール症候群も、この“化学物質過敏症”の仲間の1つです。
この病気の大変なことは、「化学物質が原因で起こる」という点では中毒やアレルギーと似ていますが、“中毒”はmg※1、“アレルギー”はμg※1の単位で発症しますが、“化学物質過敏症”の場合はそれより更に低いng※1やpg※1といった、ほんの微量の化学物質にまで反応して様々な症状を起こしてしまうことです。私達の身の回りには、私達が気付かないうちに様々な化学物質に取り囲まれた中での生活を強いられております。ですから、誰にでもこの病気になる危険性があるのです。
重量の単位 | 読み方 | 説明 | 濃度の単位 | 読み方 | 説明 |
---|---|---|---|---|---|
mg | ミリグラム | 103分の1g=1000分の1g | |||
μg | マイクログラム | 106分の1g=100万分の1g | ppm | ピーピーエム | 1m3の水に1ccの物質を溶かしたもの |
ng | ナノグラム | 109分の1g=10億分の1g | ppb | ピーピービー | 10m3の水に1ccの物質を溶かしたもの |
pg | ピコグラム | 1012分の1g=1兆分の1g | ppt | ピーピーティー | 100m3の水に1ccの物質を溶かしたもの |
sick(=病気)、house(=家)、building(=ビルディング)、school(=学校)、syndrome(=様々な症状が現れること)
=家やビルディングが原因で色々な症状が現れる病気のこと
1−1−1 歴史
シックビルディング症候群から始まった=“微生物”が原因だった
アメリカで起きた在郷軍人病−1976年フィラデルフィアのホテルで開かれた在郷軍人大会に参加した人。
高熱、咳、下痢、腹痛などの症状が現れた225人のうち34人が死亡。
空調用の冷却塔の冷却水にレジオネラ菌が繁殖していたため、空調により拡散。
1979年 デンマークのファンガー博士が「シックビル症候群」という言葉を初めて使った。
1982年 WHOワークショップによって専門用語として作り出されたとして記録されている。
我が国では、ビルよりも一般家庭の室内中の化学物質が、呼吸器を通して体内に入り、何らかの影響を与えているので、
「シックハウス症候群」と呼ばれている。
但し、ダニ・カビ・ハウスダストなどによるものは、アトピーなどアレルギーに含まれるものとする。
1−1−2 増えてきた原因
化学物質が住宅自体に、あるいは道具、消費財のあらゆるところに使われるようになってきたこと
海外に比べ新築住宅が多いこと−プラスティックや塗料、接着剤などを用いた新築材料が多く使用
−人手不足で、工法が化学物質依存型になっている
住宅の高気密・高断熱化−機密性が湿度を上げ、クーラーや空気清浄機の使用を促し、より換気の悪化につながった
WHO(世界保健機関)がシックビルディング(シックビル)症候群を次のように定義している
@目、特に眼球結膜、鼻粘膜、及び、喉の粘膜への刺激。
A唇などの粘膜が乾燥する。
B皮膚の紅斑、蕁麻疹、湿疹が出る。
C疲労を感じやすい。
D頭痛、気道の病気に感染しやすい。
E息が詰まる感じや気道がゼイゼイ音を出す。
F非特異的な過敏症になる。
Gめまい、吐き気、嘔吐を繰り返す。
このような症状を単独あるいは複合して示す後天的な病気。
季節や、ストレスなどの影響を受け、化学物質に接すると再発を繰り返す。
しかも、ppm(106分の1)からppb(109分の1)という低い濃度で影響が出る。
神経系・免疫系・内分泌系・消化器系など、沢山の臓器や皮膚に症状が現れる場合が多く、簡単に診断できない。
化学物質は元素から出来ている。そして、それらはガスといわれる“気体”、細かい粒となって浮いている“固体”、又は、
霧のような“液体”の状態に、様々な条件(温度や圧力など)の変化により姿を変えることが出来る。
固体にガスや液体の状態でくっついていたり、液体の中に固体の状態で溶け込んでいるものもある。
例 住宅地で(1気圧)、摂氏0℃の場合、水は氷(固体)になり、100℃で沸騰して水蒸気(気体)になる。
名称 | 略称 | 主な化学物質 | 沸点の範囲(℃) |
---|---|---|---|
超揮発性有機化合物 | VVOC | ホルムアルデヒド※、アセトン、クロロホルムなど | 0〜50-100 |
揮発性有機化合物 | VOC | ベンゼン、キシレン、トルエン、スチレン、テトラクロロエチレンなど | 50-100〜240-260 |
半揮発性有機化合物 | SVOC | DEHP(可塑剤)、有機リン系農薬など | 240-260〜380-400 |
粒子状物質 | POM | リン酸トリクレシル(可塑剤)、ホキシム、クロルピリホス、フェンチオン(有機リン系農薬)など | 380以上 |
全揮発性有機化合物 | TVOC | 50-100〜300 |
※ホルムアルデヒドの沸点は0℃より低い。 −出典:WHO Indoor Air Quality、1987−より
※最近、住宅メーカーのCMを見ますと、殆どのものが「VOC対策」を謳っております。しかし、そんな住宅の中に入ると体調を崩した方がいました。「VOC対策」だけではホルムアルデヒドなどの「VVOC対策」が不十分であることが予想されます。
1−5−1 住宅で発生する化学物質
@建築材料から発生する化学物質の例 | ||
建築構造 | 集成材 | 有機溶剤(トルエン、酢酸エチル、キシレン、メタノール、ジエチルベンゼン) |
断熱材 | 残留物(スチレン、ベンゼン、エビクロロヒドリン、フタル酸ジブチル、ウレタン) | |
合板 | 接着剤(フェノール、アクリルモノマー、トルエン、酢酸ビニルモノマー) 可塑剤((フタル酸2エチルヘキシル、フタル酸ジシクロヘキシル) |
|
内装・造作 | 木材保存剤 | 有機リン系農薬(フェニトロチオン、クロルピリホス、ダイアジノン、パラチオン) |
建具 | 防蟻剤 | ビレスロイド系農薬(アレスリン、ペルメトリン、フタルスリン) |
フローリング | 塩化ビニル(可塑剤・難燃剤:リン酸トリス※2、リン酸トリクレシル、フタル酸ジメチル) | |
間仕切り | エボキシコーティング(リン酸トリス※2)、エボキシ樹脂系接着剤、アクリル塗装剤 |
A建築物中に排出される化学物質 | ||
暖房・エアコン | 燃料の燃焼 | 二酸化炭素、一酸化炭素、硫黄酸化物、窒素酸化物 |
排ガス | メタン、ベンゾビレン | |
車庫 | 燃料の揮発 | 鉛、ニッケル、プラチナ |
排ガス | 一酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物、ベンゼン、塩化ビニル、ベンゾビレン | |
燃焼器具 | 排ガス | 一酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物、二酸化炭素、プロパン、ブタン、ベンゾビレン、アセトアルデヒド、アクロレイン |
B家庭内で使用する製品から発生する化学物質 | ||
洗浄剤 | 洗濯用洗剤 | トルエン、エトラクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエチレン |
家の洗浄剤 | アルコール、アセトン、ホルムアルデヒド、アルキルフェノールエトキシレート | |
塗料・スプレー | 塗料成分、溶剤 | トルエン、ヘキサン、塩化メチレン |
農薬 | ヘプタクロル、パラジクロロベンゼン、ピレスロイド系殺虫剤 | |
粘着、接着剤 | 成分、溶剤 | ヘキサン、ヘプタン、有機ハロゲン化合物、アルコール、アセトン、酢酸ビニル |
芳香剤 消臭剤 |
成分、溶剤 | プロピレングリコール、エチルアルコール、アセトン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、エチルエーテル、 メチルエーテル |
家具 布製品・革製品 |
難燃剤、塗料 | スチレン、臭素化芳香族炭化水素、塩化ビニル、フタル酸ジ2エチルヘキシル |
接着剤 | ホルムアルデヒド、エチレングリコール |
C人の人生に伴って発生する化学物質 | ||
炊事等の燃焼 | 燃料・燃焼ガス | 一酸化炭素、二酸化炭素、硫黄酸化物、窒素酸化物 |
調理材料の変化 | ベンゾ(a)ピレン、メタン、トルエン、アセトアルデヒド | |
飲料水の使用 | 殺菌剤生成物 | トリハロメタン、1,1,1-トリクロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン |
喫煙※3 |
主流煙 | 無機ガス |
副流煙 | 金属類、ベンゾ(a)ビレン、 | |
人及び動物由来 | 無機ガス、揮発性ガス、(代謝物、病原性生物、ペット、食品、植物) |
1−5−2 ホルムアルデヒドの場合
生産量、使用料ともに多く、我が国では年間130万t(37%水溶液のホルマリンとして)の需要がある。
省エネルギー対策として使われた断熱材の発砲樹脂にも含まれている。
※4ホルムアルデヒドの物理化学的性質 |
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化学式 HCHO 分子量 30.03 沸点 −19.5℃ 液体の密度 0.815g/cm3(-20℃) 蒸気比重 1.067 水、アルコール、エーテルに溶ける |
@ホルムアルデヒドの性質と用途
ホルムアルデヒドは常温では気体の物質※4。
主な用途は合板用接着剤、ユリアメラニン接着剤、ポリアセタール樹脂、
フェノール樹脂、尿素樹脂用接着剤、多価アルコールの原料。
A人への影響
ホルムアルデヒドは、皮膚や粘膜に対する刺激作用が強く、
呼吸器の障害を起こす(基準値以下の0.04ppm以上と
以下で比べても増加の傾向が見られます)
中枢神経の障害の原因になる。
発ガン性も認められています。
具体的な症状としては、粘膜や皮膚が腫れる(むくむ)、目がチカチカする、目が充血する
鼻の痛みや痒みやツンとした臭い、鼻粘膜が腫れて鼻閉・鼻水・くしゃみ・鼻血を起こす
吸い込んで、咳、痰、ゼーゼーした呼吸、呼吸困難
全身的には、頭痛、めまい、疲れやすいなど
ホルムアルデヒドの短期的な影響※5としては
※5短期的暴露後のホルムアルデヒドの人体への影響 | ||
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影 響 | ホルムアルデヒド濃度(ppm) | |
推定中央値 | 報告値 | |
におい検地閾値 目への刺激閾値 喉への炎症閾値 鼻・目への刺激 催涙(30分間なら耐えられる) 強度の催涙(1時間続く) 生命への危険、浮腫、炎症、肺炎 死亡 |
0.08 0.40 0.50 2.60 4.60 15.00 31.00 104.00 |
0.05-1.00 0.08-1.60 0.08-2.60 2.00-3.00 4.00-5.00 10.00-20.00 31.00-50.00 50.00-104.00 |
B家の中での濃度変化
拡散はまず、合板などに使用された接着剤が加水分解し、
次に縮合反応が起き、ホルムアルデヒドが分離される。
このホルムアルデヒドは木材の表面に移動し、蓄積し、
最終的に木材表面から拡散される※6。
WHOの基準にまで下がるのに2年以上かかった例※7もある。
※6ホルムアルデヒドの放散量(mg/m2/日) |
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合板 32-36 パーティクルボード 20-28 ベニア合板 43 通常合板 19.9 特殊加工化粧板 7.7 天井材 0.7 |
※7住宅の築年数とホルムアルデヒド濃度
1−5−3 家庭内で使われている農薬
「アレルギーやアトピー・喘息の原因はダニだから……」と、畳の中のダニ用の殺虫剤のテレビCMがよく流れています。
ダニを殺しても、その死骸やフンが影響していること、その殺虫剤自体が身体に悪い影響を及ぼすことを理解されていれば、
こんなCMに騙されることはないと思うのですが、実際にこのCMを真に受け、使われた方も大勢いらっしゃるようですので、これ
に関係する資料を載せておきます。
左が「殺虫スプレー使用後の濃度の変化」で右が「ダニ散布剤濃度の時間変化」です。
エアゾール噴射式のスプレーから発生するミスト(霧状の液体)は、空気中に浮遊した後に落下します。スミチオンという農薬成分は蒸発しにくく、壁などの家財道具にも吸着します。そのため、室内に長く成分が残留し、汚染します。窓を開ければ一時的に濃度は低くなりますが、閉めれば又濃度は上がります。安易な殺虫剤の使用は、室内の空気を長時間汚染し続けることになります。
ダニ駆除剤は、畳に直接注入して使用します。農薬成分が多量に残留しますので室内空気中の濃度は全く減少しない状態が継続してしまいます。サリチル酸フェニルの濃度が高くフェノトリンが低いのは、農薬の揮発性の順番に従っています。フェノトリンは犬のノミ取り粉にも使われています。
今(=夏)の時期には、蚊や虫刺されによる湿疹の悪化やひどく腫れあがることから「蚊取り線香」についてのお問い合わせが多くあります。蚊取り線香や「○○リキッド」や「○○マット」と呼ばれているものの主成分は“ピレスロイド系”の農薬で、これは除虫菊の花の中に含まれている成分なのですが、昆虫などに強い殺虫効果があります。これを乾燥させて粉状にし、ノミ取り粉や蚊取り線香などに使います。昆虫がこの物質に触れますと神経が麻痺してしまい、呼吸が出来なくなります。「無臭」のものであっても成分は同じか同様のものですので、これを多分に吸うか触れていれば人間にも影響が出ることは予想されます。そのために、昔ながらの蚊帳(出来るだけ“生成り”のもので、薬品処理していないもの)を使うか、蚊の嫌がる超音波の出る器械(すべての蚊や虫に効果がある訳ではないが)を身に付けることが無難な対処法だと思っています。「蚊は柑橘系のにおいが嫌い」とも言われていますので、柑橘類が大丈夫であるならば柑橘系のオイルを肌の出ている部分に塗ることも一方法だと思っています。但し、アトピーの子達は柑橘系には合わない子が多いので、当店の関係では試した子はいません。
1−6−1 室内の汚染空気の状態
東京大学生産技術研究所、村上周三教授のグループの研究で、室内での空気の流れを研究する計算流体力学を利用して説明している。体の周りの空気の流れは右図のように、人の周辺で上昇気流が発生し、人が実際に吸引する空気に大きな影響を与えている。人は自分の口から周辺の空気を吸引しているが、空気の約3分の1が口の周辺から、残りの約3分の2がしたから運ばれてくる空気だそうだ。化学物質の汚染は床付近で発生することが多いので、これは非常に重要な要素と言える。
村上教授の研究で、今までは換気については、室内空気が完全にかき回されて均一になることを仮定していたので、換気の回数で換気の効果を表していたものを、実際には窓を開けたり、換気扇を回したりしただけでは室内の空気は十分に換気されないため、扇風機でかき混ぜ、室内空気の流れや温度分布を均一にする必要性を指摘している。
今まで書いてきましたシックハウス症候群も「微量の化学物質の影響によって起こる」という点では似ているのですが、シックハウス症候群は「基本的には呼吸器から入る室内空気中の化学物質により起こる」という点に絞られているようです。アメリカやカナダでは10人に1人が“化学物質過敏症”と言われています。
化学物質過敏症の原因となる化学物質には、シックハウス症候群を起こす原因物質(1−6参照)と重なるものが殆どですが、室内で発生するもの以外のものとして工場やゴミ焼却場からの煤煙、車(の中も化学物質だらけです)の排気ガスなどがあげられます。
壁・天井 | 可塑剤や抗菌剤、難燃剤(燃えにくくする物質)を使用したビニールクロス ホルムアルデヒドを使用した合板やパーティクルボード(木材チップを接着剤で固めたもの) |
畳 | ダニが発生しないように、有機リン系の殺虫剤を含んだ防虫加工紙入り |
床下 | シロアリ駆除のために、有機リン系やカーバメイト系・ピレスロイド系の殺虫剤が散布されている |
庭 | 雑草駆除のための除草剤 |
調理器具 | ガスコンロからの燃焼ガス |
暖房器具 | 石油ストーブからの燃焼ガス |
家具 | ホルムアルデヒドを使用した合板やパーティクルボード(木材チップを接着剤で固めたもの) |
電気製品他 | プラスチック 、掃除機の紙パックから殺菌剤・殺虫剤 |
インテリア | カーテンや絨毯などの防虫剤、殺菌剤、難燃剤 |
観葉植物 | 花粉、カビ、胞子、農薬 |
塗料 | 有機溶剤 |
化学薬品 | 殺虫剤・消臭剤・芳香剤など |
化粧品・合成洗剤 | 香料、防腐剤、酸化防止剤、抗菌剤、有機リン系農薬、有機化合物(トルエン・フタル酸エステルなど)など |
衣類 | 漂白剤、発色剤、防虫剤、抗菌剤、防臭剤、クリーニング後の有機洗浄剤他 |
カバン・バック | 有機溶剤 |
印刷物 | 紙の製造・加工時、インク(有機溶剤) |
タバコの煙 | 発ガン物質、その他の有害物質多数 |
食品 | 調理中、食品添加物(着色料・甘味料・保存料・防カビ剤・成熟剤他)、香料、包装材料 |
車・車の排気ガス | プラスチック、有機溶剤、窒素酸化物 |
工場やゴミ処理場からの煤煙 | ダイオキシン |
2−2−1 個人で出来ること
@部屋の空気の状態を知る:化学物質の検査などで濃度を測定してもらう
Aベークアウト:部屋の温度を上げて化学物質を十分揮発させ、除去する
B適切な換気:部屋の中の空気の流れをよく観察し、よどんでいるところがあったら扇風機などで十分かき混ぜて換気する
Cどんなものに化学物質が含まれ、どのように発生させているかの知識を得、それらから極力避ける
●冷房器具から発生するカビ、調理器具や暖房器具から発生する窒素酸化物や炭素のチリにも注意!
D身体を守る防御反応を強くする
●規則正しい生活と十分な睡眠
●適温・自然温の中での生活を(過度の冷房や暖房は避ける)
●適度の運動
●食事の時間を守り、バランスの良い食事をとる
●ストレスを避ける
E五感を磨いて有害物質の存在を早目に察知できるようにする
2−2−2 行政がすること
1996年7月に当時の建設省と厚生省、通産省、林野庁の四省庁で「健康住宅研究会」を発足させた。
目的:@汚染が発生するメカニズムや汚染防止の手段と技術の確立
A健康に被害が出ないようにする生活の方法についての情報の提供
決定:「ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン」「木材保存剤、可塑剤、防蟻材」の3物質3薬剤について優先して取り組む
提案:化学物質による健康への影響を小さくする住宅=建材、施行、通風、換気など
厚生省(現厚生労働省)は独自に「快適で健康的な住宅に関する検討会議」を設置
目的:安全で快適な生活を送るために必要な住宅衛星の知識を広める
活動:化学物質、給排水、ダニ、カビ、騒音、振動、照明などの生活衛星指針作成を推進してきた
厚生省(現厚生労働省)では、北里大学の石川哲教授が中心となり、「長期慢性疾患総合研究事業アレルギー研究班」で
化学物質過敏症の研究が続けられている
各国・機関 | 基準値・ガイドライン値 |
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ノルウェー | <0.05ppm |
WHO | <0.08ppm |
日本・厚生労働省 | <0.08ppm |
オーストリア | <0.08ppm |
カナダ | <0.1ppm(当面) |
<0.05ppm(目標) | |
オーストラリア | <0.1ppm |
ドイツ | <0.1ppm |
アメリカ | <0.1ppm(EPA) |
<0.4ppm(連邦政府) | |
イタリア | <0.1ppm |
オランダ | <0.1ppm |
スウェーデン | <0.11ppm(50%相対温度時) |
<0.17ppm(最低許容レベル) | |
デンマーク | <0.13ppm |
フィンランド | <0.13ppm(1981年以降の建物) |
<0.25ppm(1981年より古い建物) | |
スイス | <0.2ppm |
スペイン | <0.4ppm |
出典:田辺新一『室内汚染』講談社現代新書、1998