アレルギーっ子の生活

<08-05      2002年01月05日(土)公開>

【大雨で床上浸水した地域からの気管支喘息】

 1985年、宮城県を襲った大雨は鹿島台や松山町の家屋の多くに床下〜床上浸水を起こしました。その秋、同じ地域から気管支喘息の子が多数来院しました。湿った床下が室内の湿度を上げた可能性がありました。そのため、しまってあった寝具にはダニやカビが大発生し、秋口、急に寒くなった時に出した寝具で発作を起こしたのです。寝具に掃除機をかけることの威力を確認したのはその時です。寝具に掃除機をかけ始めた家庭では気管支喘息の発作は激減しました。翌年の秋にも、しまってあった寝具を使う前に掃除機をかけるか洗ってもらうことで、気管支喘息のひどい発作は起きませんでした。反対に、寝具に掃除機をかけなかった家庭では気管支喘息発作は続き、軽くなりませんでした。その後、同じことが浸水しなかった他の家庭でも起こっていることを確認。寝具への掃除機がけ、特に秋口の衣替えの時に寝具に注意を払うことで、この時期のアレルギー発病や悪化軽減に、かなりの効果を挙げています。

 1999年の夏は例年になく、高温多湿の状態が続きました。湿度が高いと寝具も湿っているため、ホコリは飛びにくく、気管支喘息発作は減少し小児科外来は患者さんが激減しました。1998年の夏、冷夏で夏の間も気管支喘息の受診者が常時来院していた状況とは大きな違いがありました。しかし、高温多湿の家の中でダニは確実にその勢力を伸ばしていたようです。9月の末、台風や熱帯低気圧が過ぎた後、急に気温と湿度が下がりました。ダニ対策をしていなかった家、夏の間、調子があまりに良かったので対策の手を抜いていた家の子供たちが、重症な気管支喘息発作で点滴、入院する事態となりました。夏の状態から見て重症者が多いだろうとは予測していましたが、その通りになってしまいました。寝具の掃除機がけが週2回以下の家庭、すべての寝具に掃除機をかけなかった家庭、しまってあった衣類や寝具を出してそのままで使用した家庭はアレルギー症状が悪化。今年の気管支喘息の特徴は、症状が重いこと、数年以上発作がなかった子ども、思春期に入った子どもたちが多数来院していることです。2日に1回以上すべての寝具に掃除機をかけていた家庭、使う予定の衣類や寝具を事前に洗ったり掃除機をかけて用意していた家庭では、どんなにアレルギー体質が強くても症状は軽くすんでいます。環境整備の差が明らかに現れた秋でした。特に、高温多湿の状態から低温乾燥の状態になった時、急激に寝具から飛び散り始めるホコリを短い間隔で吸いとってしまうことが大切のように思えました。

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