アレルギーっ子の生活

<07-21      2001年12月23日(日)公開>

【代表的な感染症】

突発性発疹症

 ヒトヘルペスウイルス6型または同7型による病気です。潜伏期不明。2〜3日間の発熱の後、熱が下がると、顔からはじまる赤い発疹がでます。熱のある間は比較的元気ですが、下痢気味です。発疹がでると機嫌が悪くなり3〜4日で発疹が薄くなって元気になっていきます。発疹が消えて元気がよければ生活を平常にもどします。赤ちゃんが生まれて初めて出した熱はこの病気のことが多いのです。

麻疹

 麻疹ウイルスによる病気です。潜伏期9〜12日。子供時代に経験する重症な感染症です。大切な子供を麻疹にだけはさせたくありません。鼻水・くしゃみ・咳とともに熱が上がり、3〜4日後顔から始まる発疹が現れ、徐々に足の方に広がっていきます。このころから咳が激しくなり、食べたり飲んだりができなくなり脱水・塩分の不足を起こし、肺炎等を合併します。足まで発疹がでると1〜2日後に熱が下がります。ぐったりして、2〜3日の間寝てばかりいます。体温が下がりすぎ36℃ぐらいにまでなってしまうことがありますが、このときは体を暖めて体温が37℃ぐらいになるようにします。麻疹は感染症の中では最重症です。死亡する率は感染症の中で最高です。解熱した後も1〜2週間は安静が必要です。1歳になったらすぐに予防接種をおこないましょう。全経過1ヶ月ぐらいは、療養が必要です。麻疹は感染力が強烈です。麻疹の子が少し前にいた部屋に入っただけで感染します。予防接種をする前に麻疹の子と接触してしまった場合は、すぐにガンマグロブリンという血液製剤を注射すると発症を予防または発症しても軽くすることができます。お医者さんと相談してください。

水痘

水痘・帯状ヘルペスウイルスによる病気です。潜伏期14〜21日。2〜3ミリメートルほどの大きさの痛痒い、赤いぷつぷつができ、先端に水泡ができます。全身どこにでもできるのが特徴です。口の中、髪の毛の間、顔、体、手足などどこにでもできます。2〜3日間の発熱がみられます。生後6ヶ月未満の赤ちゃんでもかかります。約1週間で黒くなってかさぶたができ、元気がでてきたら、生活を平常の状態にもどします。抵抗力が落ちたときの2回目の感染は帯状疱疹といいます。

インフルエンザ

 インフルエンザウイルス(A,B,Cの型があります)による感染症です。潜伏期1〜4日。突然の発熱、頭痛、筋肉痛などを起こし、症状が強く、いろいろな合併症を起こします。インフルエンザは常に変化しているため、免疫がつきにくく、前にインフルエンザに感染していても、何回でも感染します。初めて感染する場合、熱は2峰性(一回下がってからまた上がる)になり、5〜6日間続きますが、同じような型のインフルエンザに罹ったことがある場合は、最初の熱だけで、2〜4日で解熱します。インフルエンザのときに無理に熱を下げようと熱さましを多用すると、ライ症候群(けいれん・意識障害・肝不全・脳浮腫を起こす)という死亡率の高い悪性の病気を併発することがあり、注意が必要です。熱が出始めて3〜4日ぐらいたつと免疫力が落ちてくるため他の細菌感染症を起こすことがあります。その場合は抗生物質などが必要になくことがあります。熱が下がっても、心筋炎や肺炎・中耳炎などを起こす場合があり、解熱後2〜3日以上の安静が必要です。熱が下がると36℃ほどの低体温になることがあります。低体温の状態では免疫力が落ちて他の感染症を起こしてしまうことがあるため、37℃ぐらいになるように体を温めてあげことが必要です。

嘔吐下痢症

 冬のロタウイルス(潜伏期2〜3日)、夏のアデノウイルスによる嘔吐下痢症などがあります。嘔吐、発熱、下痢と続き、対応が悪いと脱水を起こします。人工ミルクを飲んでいる乳児は重症になる傾向があります。けいれんを起こすこともあり、水分・塩分の補給などしっかりと対応しなければいけません。症状がおさまり、きちんと食べられるようになるまで安静を続けます。

食中毒

 サルモネラ、キャンピロバクター、病原性大腸菌、腸炎ビブリオ、黄色ブドウ状球菌(菌が作り出した毒素で病気を起こす)などの病原性細菌による感染症です。

 腹痛、吐き気、嘔吐、下痢、発熱、頭痛、倦怠感などを起こす病原性細菌による病気です。最近では、病原性出血性大腸菌O−157による集団食中毒が世間を騒がせています。サルモネラは卵や食肉(とくに鶏肉)、キャンピロバクター(特に鶏肉)・病原性大腸菌は食肉、特にO−157は牛肉、腸炎ビブリオは夏の魚、黄色ブドウ状球菌はようかんやあんこなど甘いお菓子類からの感染に注意します。(参考→吐き気・嘔吐・下痢のとき対処法)

 嘔吐下痢症と同様に、症状がおさまり、きちんと食べられるようになるまで安静を続けます。

細気管支炎

 RSウイルスやパラインフルエンザウイルス、インフルエンザウイルス等で起こる病気で、発熱し咳がひどく、ゼーゼーして呼吸が苦しくなります。6ヶ月ほどの赤ちゃんに多く、2歳頃までにかかります。ひどいと入院となることが多いひどい病気です。冬、寒さがきつくなり、氷が張るようになると患者さんが増えます。きちんと治るまでは充分安静にしましょう。

百日咳

 百日咳菌による細菌感染症。潜伏期7〜21日。鼻水・咳に始まり、咳が激しいくなり、それが回復していく3つの時期の経過が100日かかるためこの名前がつけられました。夜間やお昼ねのときに突然起き上がり、コンコンコンコンコンと咳が続き、ヒーーーと息をひくことが特徴です。透明な粘調な痰を吐き出します。問題は、1歳前の乳児では典型的な咳をせず、呼吸の止まる場合があることです。突然死を起こす場合もあります。早めの予防接種(3種混合ワクチン)が大切です。

マイコプラズマ感染症

 肺炎や気管支炎などを起こす細菌の仲間ですが、4年に1回、オリンピックの年に流行することで有名です。38℃〜39℃程度の熱が2〜3日出た後に、咳がなかなかおさまらず、聴診しても肺炎の音は入らないが、念のためとレントゲンをとってみると、肺炎が見つかります。または、咳が出てなかなか熱が下がらないのでレントゲンをとってみると肺炎!ということもあります。重症になると、治療のために抗生物質でマイコプラズマを殺菌すると、菌体成分にアレルギー反応をおこし、じんましんがでたり、肝臓の働きが悪くなることがあります。マクロライド系の薬が効くので、気管支炎やへんとう腺炎に普通に使うセファム系やペニシリン系の薬ではこじらせてしまうことがあります。オリンピックの年になかなか治らない咳と熱が続く時はマイコプラズマ感染を考えます。お医者さんに相談して下さい。

黄色ぶどう状球菌感染症

 生活環境のどこにでもいる細菌による感染症です。アトピー性皮膚炎があったり傷がある皮膚は抵抗力が落ちているため、その部分に感染します。毒素を作りかゆみや赤みを起こさせます。ひどい場合は化膿し、とびひや膿瘍を作ります。アトピー性皮膚炎の場所にこの菌が増殖し続けていると、菌が作り出している毒素にアレルギーを起こし、アトピー性皮膚炎はさらに悪化します。A群溶血連鎖状球菌や単純ヘルペス感染と同様に毎日入浴し、湯上りのタオルを毎日交換するなど皮膚を清潔にし、超酸性水やイソジンなどの消毒法との併用で症状は軽減します。抗生物質が効かないMRSA(耐性ぶどう球菌)が問題になっています。

ヘルプアンギーナ

 コクサッキーウイルス、エコーウイルスなどによるウイルス感染症です。潜伏期2〜4日。夏を中心に、突然の高熱ではじまり、のどに口内炎ができます。喉が痛く、食べられなくなることがあるため、脱水に注意します。熱は1〜4日で下がります。

溶連菌感染症

 A群溶血連鎖状球菌による細菌感染症で、扁桃腺炎・皮膚感染症・猩紅熱(しょうこうねつ)等を起こし吐き気・嘔吐・腹痛・下痢、頭痛、発熱などの症状がでます。この菌は毒素を作るため、皮膚の赤み、かゆみ、粘膜のむくみ・赤みなどを起こし、じんましんやアトピー性皮膚炎、気管支喘息などアレルギーの病状を悪化させます。溶連菌がのどなど体のどこかで増殖し、溶連菌が作り出した毒素によってアレルギーを起こすと、よくなってから数日後に手指や手のひらの皮がむけることがあります。皮膚に感染した場合は、赤みやむくみが強くなります。アトピー性皮膚炎がある場合、のどや皮膚に常に感染を起こしている可能性があります。皮膚を清潔にしてイソジンや超酸性水などを使ったの消毒方法を併用し、菌の感染を極力避けることで湿疹の症状はかなり軽くなります。感染後しばらくして腎炎やリウマチ熱などを起こすことがあります。一度感染したあとは、症状がないときでも溶連菌の定性反応陽性のことが多く、喉や歯の歯垢の中にしばらくの間住み着いているようです。うがいやお茶を飲んで菌を落としましょう。歯磨きをしっかりして歯の汚れをとるようにしましょう。繊維の多い野菜をよくかむことで歯の表面が磨かれ、感染が少なくなります。甘いものは菌を増やすので、なるべく食べないようにしましょう。家族内にひとりでも感染者がいるとほぼ確実に家族全員が感染しています。そして、そのまま感染は続きます。そして、アレルギーを起こした時や疲れ寝不足、甘いものを食べ過ぎたときなどで抵抗力が落ちた状態になると増殖して病気を起こすようです。家族全員で注意が必要です。家族の中のひとりを治療しても、他の家族からまた感染してしまいます。

単純ヘルペスウイルス

 ヘルペス属の単純ウイルスによる感染症です。感染すると神経の中に潜みつき、宿主であるヒトの抵抗力が落ちるとウイルスが増殖して病気を起こします。赤ちゃんで初めて感染するとアフタ性口内炎という病気を起すことがあります。口内炎がいっぱいできて痛みが強く、高熱が1週間ほど続きます。脱水を起こし点滴したり、入院になったりする場合が多くみられます。アトピー性皮膚炎の赤ちゃんがアトピーの部分に感染するとカポジ水痘様発疹症という重症の病気を起こしてしまいます。宿主のヒトの抵抗力が落ちた時に、神経に潜んでいたウイルスが増えてなる病気が口唇ヘルペスです。口の横や顔などにぷつぷつと小さな水ブクレができます。日光に当たったり、こすったり、疲れがたまったり、アレルギーを起こしたりして抵抗力が落ちるとでてきます。アトピー性皮膚炎の部分にこのウイルスが感染してアトピーが治らなくなっている場合があります。単純ヘルペスは脳に飛んで脳炎を起こすことがあり、きちんとした対応が必要です。大人の方で口唇の横にプツプツができている人はそれを触った手で赤ちゃんに触らないこと。触ったら手を洗うこと。

サイトメガロウイルス

 ヘルペス属のウイルスでほとんどの人が赤ちゃんの時に感染し、軽いカゼ様の症状を起こすだけです。ところが、牛乳アレルギーなどのアレルギーがあり抵抗力が落ちていると肝炎を起こすことがあります。

EB(エプシュタン・バー)ウイルス感染

 EBウイルスもヘルペス属のウイルスでサイトメガロウイルス同様に知らないうちに扁桃腺炎を起こして感染してしまいます。また、抵抗力がない状態で感染するとリンパ節炎や、肝炎、心筋炎、心外膜炎、慢性疲労症候群などを起こすことがあります。

手足口病

 エンテロウイルスによる感染症。潜伏期2〜7日。春から秋に多いのですが最近では年中みられます。摩擦が起こりやすい場所に1〜3ミリメートルほどの固くて白い水が入ったプツプツができます。手のひら、足の裏、口の中にできるので手足口病の名前がつきましたが、他の摩擦しやすい所にもできます。例えば、肘、膝、お尻などにもできます。熱が出ない場合もあります。髄膜炎などの合併症もあり、安静が必要です。1週間ほどで治ります。

流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)

 ムンプスウイルスによる感染症。潜伏期14〜21日。耳たぶの下(耳下腺)やあ耳下腺は耳たぶの下にハート型に腫れますごの下(顎下腺)が腫れます。熱はある場合もない場合もあります。唾液が出にくく口の中が乾くので、水分の少ない食べ物は避けます。7〜10日ほどで腫れが引きます。腫れが引いて元気が出たら生活をもどします。熱が再び出て頭痛や吐き気が強い場合は髄膜炎を起こしている事が多く、病院を受診します。他のウイルスや細菌でも腫れることがあり、正確な診断は血液検査をしないとわかりません。

風疹

 風疹ウイルスによる感染症。潜伏期14〜21日。首や喉のリンパ節が腫れ、細かい発疹が顔から足の方に広がります。同時に発熱することがありますが、無熱のこともあります。正確な診断は診察だけでは難しく、血液検査が必要です。3日間発疹が出るので三日ばしかとも言われます。妊娠初期に感染すると先天性風疹症候群という病気を胎児に起こすので、女の子は妊娠前に感染するか予防接種を受けるかしていなければいけません。発疹が消えて元気があれば、生活を平常にもどします。

水いぼ(伝染性軟属腫)

 ウイルスによる皮膚の感染症で、1〜5ミリほどの中に白いクリーム状のものが入ったイボができます。プールなど水を介して他の人にうつるので水イボと言われます。アトピー性皮膚炎がひどいところ、ステロイド軟膏を頻回に使ったところにできやすい傾向があります。半年から1年半ほどで免疫がつき、自然にとれます。あまりに大きくなったり、範囲が広くなってしまったときは皮膚科で取ってもらうこともできますが、痛いのであまりおすすめできません。引っ掻いて、なかのクリーム状のものがまわりの皮膚につくとそこに飛びます。掻いてつぶさないようにして、自然に治ることを待ちましょう。イボの周りが湿疹になってしまうことがあり、あまりひどいときはとることも考えます。超酸性水やイソジンの消毒では治すことはできませんが、周りに飛び散らないようにすることができます。

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