<07-02 2001年11月18日(日)公開>
アトピー性皮膚炎があると痒みが強いため、どうしても掻いてしまいます。掻き始めると痒みはもっとひどくなり、ますます掻き、ついには皮膚を壊してしまいます。皮膚が壊れるとそこに細菌やカビ、ウイルスなどの感染を起こし、さらにアトピー性皮膚炎は悪化していきます。この悪循環を後押しして、さらに悪化させているのは爪です。アトピー性皮膚炎で来院される子供たちの爪が伸びていることをよく見かけます。爪が伸びていると掻いた時に皮膚を傷つけます。また、爪で掻くと皮膚が爪と皮膚に間に入ります。この皮膚には、細菌やカビ・ウイルスなどが感染しているめ、その爪で他の場所の皮膚を掻くと、掻いて傷つけたところにも細菌やカビ・ウイルスが感染し、アトピー性皮膚炎の範囲が広がってしまいます。爪はこまめに切って丸めておき、多少掻いても皮膚が壊れないようにしましょう。
掻くことが減れば、皮膚の損傷は少なくなり、細菌やカビ、ウイルスの感染も軽くなります。大きな子供や大人のに場合は、痒くなった時に自分で意識的に掻くことを止めることができれば良い訳です。掻くことは爽快感(気持ちの良さ)を伴うため、止めることはなかなか至難の業です。掻きたくなった時は、なにか楽しいこと、その子が好きなことを思い出して気分を変えて、掻くことを押さえるように訓練することが大切です。ただし、テレビゲームは夢中になってやっているうちは良いのですが、長時間やりすぎると頭が疲れ、ゲームを止めた後に掻きむしりを止められなくなるので注意が必要です。テレビゲームは、1日30分以内にするようにお話しています。
他にも、消毒をしたり冷たいタオルで冷やしたり、色々と工夫をすると良いでしょう。
小さな子の場合、この訓練は難しいため、どうしても掻くことが止められなければ飲み薬やかゆみ止めの軟膏を使用します。
赤ちゃんの場合は、腕の部分の衣類を腰あたりの服などに大きめの安全ピンで固定してしまい、手は自由に動くが顔など痒みの強い場所にはいかないようにします。掻きむしることを抑えるため、手袋をしている赤ちゃんがいますが、手は使うことで発達するので、できれば手袋で覆ってしまうことは避けたいと思います。手袋をする場合は寝ている間だけにします。布の縫い目や性状によっては、手袋をしたためにかえって皮膚の損傷がひどくなる場合もあります。
痒みを抑えるためには、食べ方を改善し、環境整備を行うことが大切です。