<06-23 2001年08月12日(日)公開>
ヒトが哺乳動物として生活能力を高く持ち続けるためにも、適度な運動は必要です。特に、気管支喘息を発症すると、毎日の適度な運動は肺の働きを強くするため運動をすることがすすめられます。問題はどんな運動を毎日の生活の中にどのように組み込んでいくかということです。アナフィラキシーが場合、運動によってアナフィラキシーを誘発することがあるため、運動する本人がきちんと理解し、十分な注意が必要です。
アレルギーのある食べ物を食べた後に運動をすることで急に激しい症状を起こすことがあります。嘔吐・激しい咳・呼吸困難・じんましんから始まる全身の発赤やむくみ・激しい頭痛・血圧の低下・意識の喪失などが起こるアナフィラキシーというアレルギーの病気の中では最悪の状態です。これが生じた場合は直ちに救急処置が必要となるため、迅速で適切な対応が望まれます。突然に起こるため、アレルギー検査を事前におこなっていない限り予測することは不可能です。食物にアレルギーを持っていれば、アトピー性皮膚炎の子でも気管支喘息の子でもアレルギー性鼻炎の子供でも、いつ起こっても不思議ではありません。予防法は、「運動する前にアレルギーのある食べ物を食べない」ということしかありません。パンやフライ(パン粉を使用)、ラーメンなど小麦製品が原因のことが多く、次にエビなどの魚介類にみられます。ほとんど症例はアレルギーがあることを知らずに食べて運動し初回のアナフィラキシーを経験しますが、原因と対処がわかった後は起こさなくなります。運動する前に食べない、食べたら運動しないことが唯一の予防法です。
もし、アナフィラキシーに出会ってしまったら、速やかに救急処置をおこない、早めに医療機関を受診することが大切です。アナフィラキシーを起こしたか、または、起こしつつある子供は絶対に一人にしないでください。何が起こるか予想がつきません。必ず、誰かが病状を見守るようにしてください。以前、アレルギーの原因物質を学校で食べてしまい具合が悪くなったため、一人で帰宅途中に道端で倒れ、その場で発見された時は手後れだった例がありました。このような不幸な出来事は避けたいものです。すでに食物アレルギーの原因となる食物がわかっている場合は予防ができますし、起こりうる症状が予測されているため、もし間違って食べてしまっても早急に対策をとることができます。
食物アレルギーのあることがわかっていない場合が問題です。重篤な症例は、ほとんどが事前に食物アレルギーのことは認識がなく、原因食物を大量にたべ、過激な運動を無理にしてアナフィラキシーを起こす例が大半です。この場合は、初回発作を予防することはほぼ不可能です。救急処置のみが助ける方法になります。
運動誘発性喘息にしても、食物依存性運動誘発アナフィラキシーにしても、発病するかどうか、およびその重症度は、その時の体調に左右されます。しかも、様々な悪条件の重なりが病気を起こしやすくさせます。次のような悪い条件が重ならないように注意しましょう。
●花粉症(特にカモガヤなどイネ科花粉に注意)やダニ・カビのアレルギーなど他のアレルギーを起こしている時。
●新学期、新入学、就職など生活が急変した時。
●部活やスポーツ、仕事などで疲れがたまっている時。
●寝不足。
●発熱や咳など感染症を起こしている時。特に、下痢・腹痛・嘔吐など腸の病気を起こしている時。
このような時、またはその直後は、食べたものを消化吸収する力が落ちていたり、体内に入ってきた異物を処理する能力が落ち、異常な反応を起こしやすく、注意が必要です。
特に、注意して欲しい時は、中学・高校入学直後のイネ科花粉飛散時期(5月〜7月)です。この時期は、生活が親の手を離れ本人の考えによって決まること、新入学で不慣れな学校生活のため自分で自由に生活時間を組み立てられず無理なスケジュールをこなすことが多いこと、食べ物や日常の生活が親の手を離れ、4月・5月と新入学の様々な行事に振り回され疲れがたまってくる時期であること、スギ花粉が終わりその後に続くイネ科花粉症を起こすこと、春の衣更えのためダニやカビのアレルギーの状態になり体調が悪くなることなどが重なり最悪の状態になります。実際、アナフィラキシーを起こし救急車で運び込まれる例はこの時期に集中します。