アレルギーっ子の生活

<06-21      2001年08月09日(木)公開>

【除去食の解除】

 アトピー性皮膚炎や気管支喘息などアレルギーの病気があり何らかの食品を除去食していた場合、元々の病気が良くなってくると再び食べ始めようということになります。この時がアナフィラキシーを起こしやすい1つの時期になります。

アナフィラキシーを起こしたことがない場合

 年令が高くなり、腸管の粘膜・皮膚の働きがしっかりしてくると食べ物のアレルギーは起こりにくくなります。今まで食べると症状が出ていた物が少しぐらい食べても触ってもだいじょうぶになります。そんな状態になったら、回転食の方法を使って、食べても構わないでしょう。ただし、動物性のものや、油が多く含まれアレルギーを起こしやすいもの、仮性アレルゲンなどは状況をみながら少しずつ食べるようにします。

 元々、本来のヒトが食べてきた植物は(穀物や野菜、海草など)は旬も考えて、連日〜2、3日おきに食べることが可能です。特にお米はお腹の中の状態が良いと、連日食べても大丈夫のようです(甘い物が多かったり、他のアレルギーが強い状態だとお米も食べられないことがあります)。油脂が多い物(豆や魚貝、豚肉等)はその時の状況(新鮮で良い物が手に入るか、現在の症状が強いかどうか、他の感染症などの病気を起こしていないか、体調〔特にお腹の状態〕が良いか、疲れがたまっていないかなど)も考えて、食べる間隔・量を加減します。

 ヒトの食性に合わない牛乳・多量の卵・多量の肉・多量の魚・などのアレルギーを一度起こしてしまった物や、多量の油・多量の砂糖の摂取は生涯気をつける必要があります。絶対にアレルギーを作ってしまった以前の食べ方に戻さないこと。まずは、ご両親が、それらの食品を取らないと栄養失調になるとか、牛乳を飲まないとカルシウムが不足するとか、牛乳を飲むと背が高くなるなどの間違った知識は捨てて正しい解決法を覚えること、そのことを本人に伝えることが大切です。卵や牛乳、大豆油、米油、小麦、ピーナッツ、チョコレート(カカオ・ココア)、ソバ、キウイなどは大人になっても何らかの形でアレルギーが続きます。お米や野菜を中心に新鮮で添加物や農薬が少ない食品を選び、適切に調理し、正しく食べることを身につけることが生涯を健康に生き抜くために必要です。

 2〜3回食べてもなにも症状が出ないと「もう大丈夫」と思い込み、急激に食べる回数・量が増え、耐えられる限界を超えるとアナフィラキシーやアナフィラキシーショックを起こしてしまうことがあります。

 アトピー性皮膚炎や気管支喘息などが落着き、あたかも治ってしまったような状態になり、食べ物や環境整備にあまり気をつけなくなってきた頃、良くなって1〜2年目頃が危ない時期です。過去のアレルギーがあったものを、食べる量がどんどん増え、ある時突然起こります。アレルギーのあるものを家族の方や本人が充分知っていること、アレルギーを起こした時のような食べ方には戻さないようにすること、体調の悪い時には食べないことが大切です。

 目の前にある食べものに何が含まれ、どのように作られたか、アレルギーなく食べられる食品か、今の自分の体調にあった食べ物か、これを食べるとその結果はどうなるかなどを理解した上で安全に食べることができるのはいつ頃でしょう? 人の食べ物は、動物達が食べている未調理未加工の食べ物と違い、口に入る直前の姿は原材料とはかなりかけ離れています。食べ物の原材料までさかのぼって考えることができるようになるのは少なくても小学校4年生ぐらいの抽象的な思考能力が必要です。それ以下の子ども達は、食べることで体験した視覚、味覚、舌ざわり、臭いなどをもとに考えることができますが、目の前に無い物まではなかなか考えが及びません。さらに、この頃(小学校高学年)になると、腸の状態がしっかりとしてくるためか、体調が良い時は、少量のアレルギーのある食べ物だけで急激にアレルギー症状は悪くならなくなります。したがって、除去食を解除し、自分で食べ方を判断できる、体調に合わせて食べ方を調節できるようになるのは、早くても小学校高学年でしょう。それまでは、親や周囲の大人達が食べられる食品をアレルギーっ子達に与えなければいけません。特に、集団給食など、アレルギーっ子達が自分で食品を選べる権限を持たない食べ方は、お奨めできません。中学校までの集団給食の間は、親が体調を見ながら作ったお弁当が最高の食べ方です。特に、アナフィラキシーを起こした事のある食品は注意が必要です。

アナフィラキシーを起こしたことがある場合

 一度アナフィラキシーを起こしてしまった食品はおそらく食べることは避けた方が無難です。悪い条件の重なりでアナフィラキシーを再発してしまうことが多いからです。アナフィラキシーを起こさなくても気管支喘息やじんましんなどを起こしてしまうことが多いのです。ソバやピーナッツ、ラパス貝などの嗜好品は生涯食べなくても済む食品です。卵や牛乳、小麦などは成人になって食べ物に対して一定の理解ができ、腸管の粘膜の状態がしっかりしてくると多少食べても症状が起きなくなるでしょう。しかし、再び多食が始まれば、または悪条件が重なればアナフィラキシーを再発してしまいます。

 大人の方でアナフィラキシーなど激しいアレルギーを起こした食品は生涯注意を払うことになります。今までの食物に対する考え方を切り替え、自分の体にあった食べ方を作り出すことを心がけましょう。

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