アレルギーっ子の生活

<06-11      2001年07月21日(土)公開>

【運動誘発性アナフィラキシーおけるイネ科花粉・小麦の影響】

運動誘発性アナフィラキシー例における小麦アレルギー イネ科花粉飛散期(5−7月、9-10月)は多い
運動誘発性アナフィラキシー例におけるイネ科花粉IgE陽性者 

 運動誘発性アナフィラキシーの方を診察していると発症しやすい季節があるように思えます。特に、宮城県で飛散が多いイネ科の花粉症、および同じ科の食物である小麦との関係が以前から気になっていました。そこで、季節、イネ科花粉症とアナフィラキシー発症の月をグラフにしてみます。すると小麦が原因の場合も、イネ科花粉IgE陽性の場合もイネ科花粉が飛散する5月から7月、9月から10月頃にアナフィラキシーの発症も集中しています。運動誘発性アナフィラキシーは小麦が原因の場合が多く、小麦を食べたら運動を控える、運動する場合は運動前に小麦を食べないことがアナフィラキシー予防に必要と言われています。花粉症との関係からみると、さらにイネ科花粉が環境中に飛散している時は特に注意が必要ということになります。運動誘発性アナフィラキシーは12才から20才に集中するためこの年令のイネ科花粉症の方はアナフィラキシーを起こす危険度がさらにまします。

 小麦によるアナフィラキシーの例は一年中いますが、イネ科花粉との関係ではやはりイネ科花粉との関係がありそうです。特に、運動誘発性アナフィラキシーの場合はその傾向が著明になるようです。

 最近、ダニに汚染された小麦でアナフィラキシーを起こした例の報告がありました。ダニにアレルギーのある人がダニの抗原で汚染された小麦を食べ、ダニ抗原を腸粘膜から吸収し、アナフィラキシーを起こしたのです。小麦のアナフィラキシーはこんなことも考慮に入れておかないといけないかもしれません。

小麦が原因の症例

 同じようなことが花粉でも起こる可能性があります。鼻から吸い込んだ花粉を鼻水と一緒に飲み込むことで食物アレルギーと同じように反応する場合が考えられるからです。しかし、この点はまだ研究が進んでいません。

「アレルギーっ子の生活」最新ページへ戻る       第6章『アナフィラキシー』のindexページに戻る       前ページ(No.06-10)に戻る       次ページ(No.06-12)に進む