アレルギーっ子の生活

<06-03      2001年07月05日(木)公開>

【アレルギーっ子とアナフィラキシー】

アナフィラキシーの原因

A.IgEの関与するもの
●抗生物質:ペニシリン、セファロスポリン、テトラサイクリン製剤など
●異種蛋白:異種血清、ホルモン製剤(ACTH,PHT,インシュリン、バゾプレッシン)、酵素製剤(アスパラギナーゼ、キモトリプシン、ペニシリナーゼ)、昆虫毒(ハチ、アリ、ヘビ、アブ、クラゲ)など
●薬物:アレルゲン抽出液、筋弛緩剤、エストラジオール、ハイドロコルチゾン、プレドニゾロン、局所麻酔剤、ワクチンなど
●食物:卵、牛乳、小麦など穀物、貝類、豆類、魚、柑橘類、チョコレート、バナナ

B.免疫複合体、補体の関与するもの
 血液、血漿、免疫グロブリン製剤、造影剤など

C.アラキドン酸代謝産物の調節をするもの
 アセチル酸、非ステロイド系抗炎症剤、ベンゾエイド、タートラジン

D.直接ヒスタミンを遊離するもの
 麻薬剤、麻酔剤、造影剤、マニトール、デキストラン、ポリミキシンBなど

(松原ら:小児科診療52:2271989より作成)

 アナフィラキシーとは、1902年フランスの生理学者シャルル・リシェーによって提唱されたものです。予防のために(抵抗力をつけるために)と注射されたある物質を、再び注射するとかえって激しい症状を起こしてしまうことから、抵抗(フィラキシー)の反対(アナ)という意味でつけられた言葉とのこと。無防護とか失護という意味があります。

 アナフィラキシーはアレルギーっ子にとって最もなりたくない病気です。原因となるものを食べる、触る、吸い込む、注入されることによって突然起こる全身の反応です。アレルギーっ子なら誰でも起こす可能性がありますし、もとの病気がアトピー性皮膚炎でも気管支喘息でも、アレルギー性鼻炎やアレルギー性鼻炎など何でも起きる可能性があります。血圧が下がってしまい、生命の危機を伴うときはアナフィラキシーショックと言われます。アレルギー疾患の中で最悪の病気です。アナフィラキシーは下の表のような症状が起こります。

 これらの症状は、原因物質(右の表)との接触(食べる・触る・注入される・吸い込む)の後、@早い場合は数分から多くは30分から2時間ほどで始まり数時間で終息していく即時型(はっきり型)の場合と、A5〜6時間以上経てから始まり数日続く遅延型(かくれ型)の場合が混在して起こります。重症な場合、多くが@の反応が短時間に急激に起こり、病院到着の前に致死的な状況になってしまいます。

 アナフィラキシーが運動によって起こされる場合、運動誘発性アナフィラキシーといいます。

 さらに、運動誘発性アナフィラキシーがある食物を食べることによって起こる場合には、食物依存性運動誘発性アナフィラキシーといいます。

アナフィラキシーの症状

じんましん、最初に顔面蒼白、全身の紅斑・紅潮(赤くなる)
全身の浮腫(むくみ)
吐き気、嘔吐、下痢・腹痛、血便
咳、喘息、喉頭の浮腫(むくみ)、呼吸困難
胸痛、動悸、不整脈
めまい、頭痛、血圧低下
意識喪失・意識混濁、けいれんなど

「アレルギーっ子の生活」最新ページへ戻る       第6章『アナフィラキシー』のindexページに戻る       前ページ(No.06-02)に戻る       次ページ(No.06-04)に進む