<05-25 2001年11月13日(火)公開>
アレルギーっ子の親たちは、やはりアレルギー体質を持っています。体質は遺伝するので当たり前といえば当たり前のことですが、これが生活環境や食べ方を改善しようと実行する時に、大きな影響を与えることがあります。
治療を進める時に大切なことは、一定の先を明るくイメージして、「きっと、こうなって、明るい明日が待っているのだ」と力強く一歩一歩前に進んでいくことです。人生谷あり山あり、苦しい時はぐっとこらえて、時々は息抜きをしながら、楽天的に前に進めば良いのです。ところが、アレルギーがあると、なかなかそうはいきません。
例えば、アトピー性皮膚炎がひどくてなかなか治らない時、環境整備や食事療法をしようと思ってもなかなかうまくいかない時など、様々な壁にぶつかった時、親たちのアレルギー状態が良い時は難なく乗り切れるのですが、アレルギー状態が悪い時、例えば、スギ花粉症の季節が終わった直後や、イネ科の季節が終わった直後、ダニが増加したフトンに寝た後、アレルギーのある食品を食べてしまった時などは、親の頭の中もパニック状態になってしまうことがあります。本に載っている素材が全て揃わず、一つでも素材が欠けてしまうと何の工夫もせずにできないと諦めてしまったり、急に嫌気がしてアレルギーっ子にだめな食品を食べさせてひどくなり病院に駆けつけたり、全てを放棄して怪しげな民間療法に飛びついてしまったり、主治医の先生に治療方針で言い争いになってみたり、子供に八つ当たりしてみたりと、妙なことになってしまうことがあります。
アレルギーっ子の親は自分のアレルギーの状態もよく理解して、今頑張ってやる時なのか、今は少しおとなしくしてじっとしていた方が良いのか、きちんと判断して行動しましょう。アレルギー状態の時に悩みはじめると、解決方法の出口を見つけることが難しくなります。今は、あまり深く考えず、「まあ、今はいいや!」と諦めることもたまには大切です。時期が来れば、また楽しくアレルギーっ子との付き合いが始まります。「アレルギーっ子との付き合いは災難ではなく、楽しく生きがいとして突き進む私の生きる道の一つなのだ」と思えるくらいのたくましさと、「のんびり楽しみながらやっていこう!」という大らかさを持ちたいものです。
胎児期の初期または生後でも、環境汚染化学物質(PCBやダイオキシンなどの環境ホルモン物質)を含む食品を食べていると、予想されなかった出来事が急に起きた場合にその状態をなかなか解決できなくなってしまうことが、ネズミの実験で報告されています。この報告を読むと、ネズミの状態がアレルギーっ子のお母さん達のパニック状態とダブってしまいます。アレルギーっ子の食事日誌を書いてもらう時同時にお母さんの食べたものを書いてきてもらうようにしています。そして、親の食べ方も改善するようにお願いしています。どんなにアレルギーっ子がきちんと食事を改善しても、親の食事が変わらなければ、アレルギーを治していくことができないのです。子供が小さいうちは、生活の推進力は親の生き方なのです。親がまず正しい生活方法と食べ方を覚え、実行し、手本となり、子に伝えてあげて欲しいのです。
参考文献 | H.Daly:Reward Reactions Found More Aversive by Rats Fed Environmentally Contaminated Salmon.Neurotoxicology and Teratology 13:449-53,1991 |