<04-40 2001年09月13日(木)公開>
アレルギーっ子たちを診察していると、アレルギーを起こしやすい食品には、ダイオキシン類の残留の高い食品の多いことに気づきます。では、実際はどの程度の汚染があるのでしょうか?厚生省がおこなった食品中のダイオキシン類汚染実態調査平成8年、9年、10年、11年(インターネットを使って厚生労働省に接続し直接データを見る事ができます)から見てみましょう。
各検体はどこで生産され、どこで売られていたものかは記載がありませんので、どこのものを買ったら良いかという判断の材料にはなりません。環境庁が平成10年度に行った、ダイオキシン緊急全国一斉調査では、すべての市町村ではありませんが、全国各地の大気、土壌、降下ばいじん、魚類のダイオキシン類濃度が測定され公表されています。現状では、この値を手がかりにして推測するしかありません。インターネットで環境庁にアクセスすればこれらのデータが手に入ります。
厚生省のデータをみると、やはりアレルギーを起こしやすい食品(魚、牛肉、鶏肉、チーズ、牛乳)などは汚染が強く、アレルギーが少ない米や葉物以外の野菜類は汚染の少ない事がわかります。
肉類では、牛肉の汚染が高く、ついで鶏肉、豚肉と続きます。豚肉は汚染の高いものもありますが、全体的には汚染の軽いものが目立ちます。汚染度からみると、牛肉のアレルギー、ついで鶏肉のアレルギーが多く、きちんと育てられた豚肉は汚染が少なくアレルギーを起こしにくいことが想像できます。アレルギーっ子たちは牛肉や粗悪な飼料で飼育されたブロイラーは食べられず、汚染の少ない飼料で飼育された豚肉は食べても大丈夫であることとよく一致します。牛肉の汚染が高い理由の一つとして、飼育期間が長く、体脂肪への蓄積が多くなることが考えられます。
卵は使われた飼料によっては汚染の強いものがあると思われます。卵はアレルギーを起こしやすい食品であり、親である鶏肉の汚染が高いこと、さらに食物連鎖が1つ上乗せされているので汚染度はもっと上がると思われます。卵類で、輸入乾燥卵黄の平均値は国産牛肉なみ、全卵もその3分の1程度の汚染があり、鶏肉と同程度です。魚卵では筋子がサケの半分程度の汚染があります。
動物の肝臓(レバー)は豚肝臓の濃度が高く国産牛肉なみであり、その後に牛、鶏と続きます。自然界の動物の肝臓には高濃度の汚染のあることが分かっています。
小麦は平成10年度の調査で調べられていますが、米よりも汚染が強いことが分かっています。
ほうれん草や小松菜などは汚染が牛肉に匹敵するものがありますが、葉緑素や食物繊維を含む野菜類の汚染と、肉、牛乳、魚などの脂肪の汚染は意味が違います。野菜類は汚染されても、ダイオキシン類が葉緑素や食物繊維に頑固に結合しているため、食べても体内には吸収されず、そのまま便とともに排泄されますが、脂肪に蓄積されたダイオキシン類はそのほとんどが吸収されてしまうと考えられます。
茶の葉はダイオキシン濃度の高いものがありますが、平成10年度の厚生省の報告では、お茶の葉にお湯を注いでも抽出液の中にダイオキシンはほとんど出ないと報告されています。
汚染された食品を食べる場合、単品で食べることはありません。様々な食品の組み合わせで、汚染された食品が混ざっていると、同時に食べた食品もアレルギーを起こしやすくなる可能性があります。
ファーストフードの中にはダイオキシンで汚染されている食品があります。
1997年11月15日毎日新聞に掲載された記事です。有名ファーストフード店で購入したハンバーガー、ピザ、フライドチキン、アイスクリームを調べた、アメリカニューヨーク州立大予防医学アーノルド・シェクター教授の研究で、アメリカ人が食物を通して体内に取り入れるダイオキシン類のうち17〜53%はファーストフードを食べることによることが分かりました。
食品名 | ダイオキシン濃度(pgTEQ/g) |
---|---|
ハンバーガー | 0.03−0.28 |
ピザ | 0.03−0.29 |
フライドチキン | 0.01−0.31 |
アイスクリーム | 0.03−0.49 |