朝日新聞−2001年(平成13年)8月28日(火)

覚せい剤使用、妻3人死なす
3人目、控訴審も実刑

 覚せい剤を使用中に妻(当時31)を殺害したとして、殺人罪などの罪に問われた無職佐藤毅被告(64)の控訴審判決で、東京高裁は27日、懲役12年を言い渡した一審・水戸地裁土浦支部の判決を支持し、「短絡的な犯行で酌量の余地はない」として被告側の控訴を棄却した。高橋省吾裁判長は「(佐藤被告は)過去にも2回、覚せい剤使用中に妻を死なせており、覚せい剤の害悪を十分に知りながら、再び安易に使用した」と述べた。
 判決によると、佐藤被告は96年10月、覚せい剤を使用中に茨城県土浦市のアパートで妻と口論になり、ドライバーやアイスピックなどで背中や首を刺し、失血死させた。
 佐藤被告は77年1月と78年10月にも当時の妻を死なせた。77年の事件では傷害致死罪に問われ、心神耗弱の主張が認められて執行猶予つきの有罪判決を受けた。78年の事件では殺人容疑で逮捕されたが、心神喪失だったとして不起訴となった。
 弁護側は今回の事件でも「覚せい剤中毒で心神喪失状態だった」と主張したが、判決は「虚偽の弁解をしているとの疑いが払しょくできない」と述べ、主張を退けた。

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