毎日新聞−2001年(平成13年)05月18日(金)
小児科医を受診した3歳以上の子供の約6%が、心の問題が原因でだるさや腹痛などを訴える「心身症」や「神経症」と診断され、その疑いがある子供も含めると約10%に達することが、厚生労働省の研究班(班長、奥野晃正・旭川医大名誉教授)の全国調査で分かった。こうした調査は全国初という。19日に仙台市で開催される日本小児科学会で発表される。
研究班の衛藤隆・東大教授によると、「心身症の子が増えた」と感じている小児科医は多いが、具体的データはなかった。研究班は実態把握のため99年10月、全国の主な小児科病院565施設にアンケート用紙を配り、同月中のある一日の外来患者全員の症状などを尋ねた。454施設から回答を得た。
3歳以上の患者のケースを分析した結果、1万3318人の患者のうち5.6%にあたる746人が、感染症など身体的にはっきりした原因がないのに、だるさ、頭痛、腹痛などを訴え、担当医から「心の問題あり」と診断された。また心の問題と断言できないが、身体症状の原因となる病気が見つからない子供が3.9%おり、心身症の可能性が高いとみられた。
「心の問題あり」と診断された子供は思春期に近づくにつれ増え、男子で最も多かったのが14歳の15.7%。女子は15歳の25%が最多で、14、16歳も20%を超えていた。
また、患者全体の33%が、「寝つかれない」「朝起きられない」など睡眠に関する問題を訴えていた。 【高木昭午】