毎日新聞−2001年(平成13年)05月16日(水)
和歌山市の元旅館女将が担当ケアマネジャーに殺害された強盗殺人事件を受け、県は来月に予定する介護保険サービス事業者向けの説明会で、倫理規定の設置を進めるよう指導する方針を囲めた。説明会では当初、仕事に追われるケアマネジャーが働きやすい環境づくりを呼びかける予定だったが、事件を受けて急きょ、内容を追加した。 【高山祐】 |
説明会は来月、県内7保健福祉事務所でそれぞれ行われ、サービス事業者の代表者やケアマネジャーらが参加。県はその説明会で倫理規定設置を呼びかける。
県介護保険室によると、県内のサービス事業者は427あり、計3055人のケアマネジャーが所属するが、倫理規定の設置を義務づける法令や規則はなく、一部の特別養護老人ホームで金銭管理の徹底を定めた規則を設けている程度で、大半の事業者に規定はない。
しかし、和歌山の事件で同室は「ケアマネジャーは個人情報を知り得る立場。多少のトラブルは想定したが、強盗殺人事件までは想像できなかった。介護保険の信頼を失墜させた」と衝撃を受けており、事件防止と、利用者への信頼回復を目指し、事業者に倫理規定設置を指導していくこととした。
介護保険制度の開始1年を迎え、利用者の相談業務などにあたる市民団体・県社会保障推進協議会が17、18の両日、「介護保険なんでも110番」を開設する。制度の利用者の疑問や不満に答えるほか、今回から「時間に追われて十分な介護ができない」などヘルパーの労働相談も受け付ける。
同会によると、最近は複数の事業者に登録した「登録ヘルパー」の労働条件悪化が問題となっている。登録ヘルパーはサービスごとの契約だが、報酬が低く2、3社の掛け持ちが多い。複数社の仕事が集中すると、1社と契約するヘルパーのように1日8時間労働が守られず、長時間の勤務が続くケースが出てきているという。
110番では介護関係者やケアマネジャー、労働問題想参院が相談に乗る。022‐223‐0977【飯山太郎】