毎日新聞−2001年(平成13年)05月16日(水)
【ワシントン共同】
プラスチック原料や塩ビ製品の添加剤に使われ、内分泌かく乱物質(環境ホルモン)とされるビスフェノールA(BPA)には「これまで影響がないとされていたよりもはるかに低い濃度で、生物に影響を与える確かな証拠がある」とする報告書案を、米国立衛生研究所の専門家委員会が14日、公表した。
専門委は「生物への影響を示す実験を再現できないケースもあった」としながらも、米環境保護局に、化学物質の安全性検査法を再検討するよう勧告。「ごく低濃度でも生体に影響が出る」との環境ホルモンの問題点が確認された形で、日本でも、化学物質の生体影響の検査体制の見直しを求める声が強まりそうだ。
BPAを妊娠中のマウスに投与すると、体重1`当たり1日2から20ナノc(1ナノは10億分の1)という超低濃度でも、生まれた雄に前立腺重量の増加などの影響があるとした。これは、米環境保護局が、影響が出る最低濃度としている同50_cよりはるかに低い。 また、BPAほどではなかったもののノニルフェノールや農薬のメトキシクロルにも、比較的低濃度で、次世代の子供の免疫機能変化などが動物実験で観察されている。
ビスフエノールA ポリカーボネートなどのプラスチック材料や塩ビ製品の添加剤として大量に生産されている工業製品。生体内でホルモンに似た働きをして生物の生殖機能などを乱す内分泌かく乱物質(環境ホルモン)の疑いが濃いとされる。 【共同】 |