読売新聞−2001年(平成13年)05月14日(月)
東京都は、低所得者層の介護保険の利用を促進するため、新たな助成制度を導入することを決めた。国の介護保険の助成制度は、対象が社会福祉法人と自治体が運営する事業に限られている上、手続きが煩雑で利用者がほとんどいない。このため、都は助成の対象を民間事業にまで広げ、手続きも簡素化することにした。介護保険で都道府県レベルでの助成制度が設けられるのは初めて。今年度中に実施する。
現在の国の制度は、生計困難と認定された低所得者が、特別養護老人ホームやホームヘルプサービス、デイサービスなどを利用する際、運営主体が社会福祉法人か自治体である場合に限って、利用者負担の半額から全額が減免される。しかし減額分の一部は事業者側の負担になる上、手続きが複雑なため、介護保険制度がスタートして以来、ほとんど利用されていない。
このため、都福祉局では、国の助成制度を独自に拡充。株式会社やNPO法人が運営する介護事業まで対象を広げ、事業者負担分を都と区市町村が肩代わりして手続きも簡略化する。
都内の介護保険サービス事業者約5,500団体のうち、株式会社などの営利法人、NPO法人は約2,300あり、都では新制度の導入で助成制度の利用者が大きく増えると見ている。
都の方針について、民間事業者は「民間の利用促進が図られて良い」(都内の大手事業者)、「区市町村によってバラバラの助成制度が統一され、ありがたい」(同)などと歓迎している。