読売新聞−2001年(平成13年)05月10日(木)

気流

「アルバイトして母親助けたい」  中学生 金島 佳緒 13  (東京都足立区)

 「高校生のバイト本当に有意義か」(3日)の投書には、アルバイトは「高校生の小遣い稼ぎ」とありましたが、そういう人たちばかりではないと思います。
 私の家は3年前に両親が離婚して、母L子家庭です。母は一人で昼も夜も働いて、私と弟を養ってくれています。私は高校生になったら、絶対にバイトをして母の助けになるつもりです。
 最近は離婚する人たちが増えて、片親になってしまう人も少なくないでしょう。そういった人たちは、バイトをしないと生活するのが難しいと思うのです。親に負担をかけないで大学に行きたいと思っている人もきっといると思います。
 バイトは一見楽に見えるかも知れませんが、実はかなり大変だと、いとこから聞きました。社会に出て稼ぐのと同じくらい大変で、安易ではないからこそ、お金のありがたみも分かるのだと思います。
 遊ぶためにバイトをする人もいるとは思いますが、私のような事情の人も、やはりいるのだと知っておいてほしいのです。私はまだ子供で、何も分かっていないと言われるかも知れませんが、私の言い分も理解してもらえるとうれしいなと思います。

「高速道路路肩でくつろぐ人たち」 バスガイド   荒川よ志恵 60 (福島県いわき市)

 仕事で「弘前さくらまつり」を見学した帰り道、東北自動車道の秋田と青森県境辺りの路肩に一台のワゴン車が止まっていた。故障でもしたのかと見ると、二人の女性が道路の外に出て、山菜を採っていた。
 これまでも、高速道路の路肩に車を止めて、ハンドルに足を乗せて眠っている人、外に出て背伸びをする人などを見かけたことがある。その度に、事故が起こらないことを祈っている。
 こうした人たちには、自分たちだけでなく、後続の車にも迷惑をかける恐れがあることを知ってほしい。楽しいはずのドライブや旅行が「暗転」することのないよう、周囲への思いやり運転を肝に銘じ、休日を楽しんでほしいと願う。

「高校生指導する夫の仕事に誇り」 主婦 江藤 尚子 33 (神奈川県津久井郡)

 高校教師の夫は、陸上部の指導に情熱を燃やしている。土日もほとんど休まないが、気力、体力ともに充実している。思えば、昨年の今ごろ、夫は少し疲れた様子を見せていた。それは、初めて民間企業での一年間の研修に参加し、教員生活から離れたためだったようだ。
 研修先の職場には恵まれたものの、休日は、以前のように学校の部活動の指導に行きたいと言い出した。私は夫の気持ちが理解できず、「せめて研修の一年間は、家族と一緒に過ごしてほしい」と訴えた。話し合って、土日のどちらかだけ指導に行くことになった。週末、夫はまるで恋人に会いに行くようにいそいそと出掛けていき、どんどん元気を取り戻していった。
 今年のひな祭り、部員のお母さんから、私と娘に花束が届いた。涙が出るほどうれしかった。さらに、夫が部員を家に呼びたいと言い、十三人の部員が小さな我が家に来てくれた。私は初めて夫の仕事のすばらしさを理解できたような気がした。この一年間は、私たち夫婦にとって忘れられないものとなった。

「涙があふれ出た嫁いだ娘の手紙」 無職 内田美知子 57 (千葉市)

 娘が遠方へ嫁いだ日、娘のふとんの中に手紙を見つけました。何だか、涙があふれてきましたが、気を静めてから封を開けました。 そこにつづられていたのは、糖尿病のため毎日病院に通いながら自分を産んでくれたことへの感謝の気持ち、子供のころ摂食障害になって心配をかけたことへのおわび、自由に好きなことをさせてもらって今日の自分があること、はからずも遠く離れることになって心配している気持ちなどでした。
 私の方こそいろいろ失敗をしては迷惑をかけてばかりで、と涙で一気には読めませんでした。「お母さんのような母親になれるように頑張る」とも書かれてあり、娘を持った幸せを感じます。
 返事には、「この手紙は、目にごみが入った時、ごみを流し出すために、大切に持っているね」と書きました。

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