読売新聞−2000年(平成12年)10月28日(土)

生活

月経前症候群−2週間前から心身の不調

    大半の女性は「我慢」 体調の変化知れば症状和らぐことも

 月経の前に、体や心の調子が悪くなり、日常生活に支障をきたす「月経前症候群(PMS=Premenstrual Syndrome)」。自分の症状がPMSと知らずに我慢している女性が多いという。体の周期を知り、対処することで、症状が和らぐ場合もある。セルフケアを心がけたい。

PMSの主な症状 身体症状(下腹痛、腰痛、頭痛、肩こり、むくみ、おりものが増える等)、精神状態(イライラ、怒りやすい、攻撃的になる、憂うつ等)、社会的症状(いつも通り仕事ができない、面倒くさくなる、月経がいやになる、家に引きこもる等) PMSとは、月経の2週間ほど前から起こる不調で、身体症状、精神症状、社会的症状の3つが挙げられる。症状の出方や程度には個人差がある。排卵後のホルモンバランスの変化に伴って起こると考えられているが、詳しい仕組みは解明されていない。

 日清製油研究所が、20歳代から40歳代の女性約240人に、PMSの代表的な症状をあげて、アンケート調査をしたところ、93%の女性が「自分にあてはまる症状がある」と答えていた。そのうち60%が、症状が「気になる」と答えたにもかかわらず、対策を取っているのはわずか20%。大半の人は我慢しているという結果になった。

 日本家族計画協会(東京・市ヶ谷)の松本清一会長は「PMSという言葉自体を知らない人も多く、何となく具合が悪いまま、やり過ごしている」と指摘する。松本さんや看護職員、心理学の研究者らで作る「月経研究会連絡協議会」では、先月から、保健婦を対象にした公開講座を開き、PMSの啓発を進めているが、まだ一般にはあまり知られていないのが現状のようだ。
 松本さんは「理由のわからない不快な症状が、PMSによると知るだけで、症状が軽くなるケースもある」と、女性が自分で体調や気分の変化をチェックする「PMSメモリー」の記入を勧める。

 横浜市に住む会社員(32)は、「むくみ」や「乳房が張る」など思い当たる症状があり、自分の月経周期と、体や心の変化を数か月にわたって記入してみた。「体調が悪いと『もしかして病気?』と不安に思う。体が周期的に同じ症状を繰り返しているのを知って楽になった」と話す。
 さらに、月経前になると、イライラしやすくなることも分かった。「そろそろだと思うと、人付き合いに気をつけてます」と、体の声に合わせて、生活を自己管理するようになったという。

 食事やストレス、運動などもPMSの症状に関係することがわかっている。月経研究会連格協議会では、月経周期をつけるノート「PMSメモリー」と生活を見直すセルフケアのヒントを書いた冊子を発刊、希望者に有料(1189円、送料、税込み)で送付している。問い合わせは、日本家族計画協会(03・3269・4727、月曜から金曜)

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