毎日新聞−2000年(平成12年)10月16日(月)
滋賀県が講座を開講
滋賀県は、知的障害者がホ−ムヘルパー3級資格の取得を目指す養成講座を、16日から全国に先駆けて開講する。就労支援策の一環として、福祉サービスの″受け手″が″担い手″になる可能性を探る。障害者政策の発想を転換する試みとして注目される。
国の緊急地域雇用特別交付金を活用。委託を受けた社団法人・県社会就労事業振興センターが今年度と来年度に、半年間の養成プログラムを無料で計3回実施する。主に家事を担当する3級の研修は通常50時間だが、受講者の理解度を配慮して90時間に設定した。
初回の受講生は県内の作業所などに勤める12人で、20代が中心。年内に講義や実技研修を終え、修了者は年明けから、同センターと雇用契約を結びヘルパーとして試験的に勤務する「モデル就労コース」、福祉施設でヘルパー助手として研修する「助手養成コース」の2コースに分かれる。
就労の場は未開拓だが、同県障害福祉課は「周りが十分な支援体制を組めば、福祉現場への就労の可能性は広がる」と話している。
知的障害者の保護者らでつくる「全日本手をつなぐ育成会」の志賀象二事務局長は「民間ではなく、地方公共団体が積極的に支援することが画期的。他の都道府県への波及効果にも期待したい」と話している。
【宇城 昇】