読売新聞(岩手県版)−2000年(平成12年)10月02日(月)
教育 |
しらけちゃう? スポーツ観戦も親離れ
秋の訪れとともに、体育祭の時期がやって来た。笛や太鼓の鳴り響く応援練習も始まった。今月末の体育祭に向け、校内は一段とムードが盛り上がっている。
毎年のことながら、「応援団」は生徒たちのあこがれの的だ。今年もチアガールの選考にもれた生徒が泣いていた。これから放課後遅くまで、各団ことに趣向を凝らした練習が続く。
時同じくして、シドニー・オリンピック。テレビも新聞もメダルラッシュに沸き上がっている。スポーツに全く興味がない私でも、サッカーのテレビ中継ぐらいはと、家族に付き合って観戦したが、点が入る度に絶叫するアナウンサーのはしゃぎ方についていけず、しらけてしまった。
女子マラソンの翌日、保健室の常連生徒の間でオリンピックのことを話題にしてみた。意外なほど、中学生たちはオリンピックに関心を持っていないので驚いてしまった。「自分がやっている競技なら見るけど、後はあんまり興味ないし……」という生徒がほとんどなのだ。
サッカー部の2年生は「家族と見ていると、ルールなんか知らないくせに、親たちは選手に向かってえらそうに命令する。ウザイから部屋で見る」という。個室のテレビで見たらしい。
受験を控えた3年生の女子も、「母親と一緒にマラソンの応援してたら、『だからお前も頑張れ』って視線が飛んできた」そうだ。そして、やっぱり、「一緒に見なければよかった」という。
まだまだ幼稚な1年生の男子でも「このごろ毎日お父さんが早く帰って来るのでテレビゲームができない。つまらないから、オリンピックなんて早く終わってほしい」という。
みんなと一緒に盛り上がるからこそ楽しいスポーツ観戦だと思うのだが……。
しかし、自分たちの体育祭には泣いたり笑ったり、毎年子供たちはあれほど懸命になるのだから、あながち冷めているばかりではないはず。親離れの時期を迎えた子供たちは、「家族と一緒に応援する」ということ自体、しらけてしまうのかもしれない。 (柚)