アレルギーっ子の生活

<10-01      2002年01月31日(木)公開>

【環境汚染物質簡易測定方法】

 生活する室内や、屋外の汚れの程度を調べておくと、今しなければいけないことが見えてきます。簡単な方法をいくつか紹介しますので測ってみると良いでしょう。

寝具中のダニ抗原量

 寝具やジュータン、タタミなどのダニ抗原の量を調べることができます。(株)LCDに連絡して測定用のセットを送ってもらいます。掃除機のすきま用ノズルと本体の間に集塵フィルターをはさみ、寝具やジュータンの1m四方のほこりを5分間かけて吸い込みます。採れたほこりを(株)LCDに郵送するとダニ抗原量を測定してくれます。3,000円(2ヶ所)〜5,000円(4ヶ所)。

アレルギーを作ってしまう量=2μg/ホコリ1g以上
アレルギー症状を起こしてしまう量=10μg/ホコリ1g以上

 測定セット入手先:〒537大阪市東成区中道2−9−2     (株)LCD   電話06−971−1338

室内および押し入れ・タンス内ホルムアルデヒド

ホルムアルデヒド用検知管を使って、室内のホルムアルデヒドを簡単に測定することができます。日本の許容濃度0.5ppm。室内濃度指針値0.08ppm以下。

1.短時間用検知管  ガステック社製気体採取器セット(GV−100S) 約2万円

ホルムアルデヒド用検知管(91LL)
10本1,700円。

1回100ccの空気を検知管内に引いて5回繰り返し、約8分間でその場のホルムアルデヒドの濃度を測定できます。
測定範囲 0.05〜1.0ppm 検知限度 0.03ppm。
ホルムアルデヒド用検知管(91L)
10本1,700円。
1回100ccの空気を検知管内に引いて5回繰り返し、約5分間でその場のホルムアルデヒドの濃度を測定できます。
測定範囲 0.1〜32.5ppm 検知限度 0.05ppm

2.長時間用検知管ガステック社製長時間検知管「バッシブドジチュ−ブ・ホルムアルデヒド(91D)」 10本 2,500円
;
;検知管の一方を折り、空気中に1〜10次か放置し、変色でホルムアルデヒドの濃度を測ります。測定範囲は0.1〜20ppm   ガステック社製パッシブドジチューブ・ホルムアルデヒド(91D) 10本2,500円。検知管の一方を折り、空気中に1〜10時間放置し、変色でホルムアルデヒドの濃度を測ります。測定範囲0.1〜20ppm

測定方法 くびれた部分を折り、室内または引き出しや密閉空間に放置します。ホルムアルデヒドが存在すると、拡散により試薬が反応して黄色がピンク色に変色します。1時間後に、変色域を読み取るとその値がppm値となります。値が低い場合は続けて放置して測定を続けます。10時間まで測れます。例えば、10時間放置した場合は10時間後に値を読み取り、その値を10で割るとppm値がでます。5時間放置した場合は5で割ります。値はすぐに読み取って下さい。時間が経つと変色域が消えてしまいます。

3.タオルを使ったホルムアルデヒドの簡易測定方法
 この検査は自宅の室内空気(寝室や居間、子ども部屋)、押し入れの空気(寝具への吸着)、衣類の保管場所空気(衣類への吸着)を簡易に調べるためのものです。正確な値は出ませんので、少しでもホルムアルデヒドが検出された場合は、室内空気と健康の関係を明らかにするために、さらに詳しい検査が必要になります。測りたい場所に24時間タオルを干すか収納しておき、タオルに吸着したホルムアルデヒドを測定しますので、検知管でそのまま測定するよりはホルムアルデヒドの検出率が高くなります。タオルつまり洗濯物についたホルムアルデヒドを測定するため、衣類の汚れによって起こる皮膚の損傷や、汚染された衣類から揮発されたホルムアルデヒドを吸い込んだために起こる、鼻の粘膜や気道への影響を見ることができます。

測定方法その1

準備:きれいに洗って乾燥してすぐの手ぬぐいタオル(小さいタオル)4枚。空気のもれがないポリ袋4枚。輪ゴム4本。

 洗って乾燥したばかりのタオルを1枚、ポリ袋に入れて輪ゴムまたは細い針金で口をしばって下さい。短時間用検知管(91LLまたは91L)をポリ袋の口に差し込み、中の空気を気体採取器で吸引して測定するか、または長時間用検知管(91D)の端を折りポリ袋内に放置してホルムアルデヒドを測ります。洗いたての衣類にホルムアルデヒドが付着しているかどうかを調べるためです。この時すでに値が高い場合は干した場所が汚染されています。タオルに汚染がないことを確認できたら次の測定をします。もし、最初から高い値が出る場合は測定方法その2で測定します。

室内(寝室)の空気の調査 24時間の間、タオルを寝室の壁のどこかにかけておきます。その後、ポリ袋に入れて口をしっかり縛り@と同様に測定します。
押し入れの空気 24時間の間、押し入れの中にタオルをしまっておきます。その後は同様にして下さい。
衣類の収納場所の空気 24時間以上、いつも衣類をしまうタンスの引き出しや衣装ケースにタオルをしまっておきます。その後は同じです。
室外の測定 24時間以上、室外にタオルを干して置いてから同様に測定します。ディーゼル車の排気微粒子がタオルに付き、ホルムアルデヒドを発生させるため空気の汚れがわかります。

測定方法その2(室内汚染のみ)

 洗い立てのタオルを、最初から測定したい場所に干して乾かし、24時間以上放置してタオルにホルムアルデヒドを吸着させてから測る方法もあります。

準備:手ぬぐいタオル(80cm×30cm程度のタオル地の小さいタオル)1枚を準備します。空気のもれないポリ袋1枚。輪ゴム1本。

@タオルをきれいに洗い、十分にすすぎます。洗ったタオルを測定したい部屋でハンガーにかけて干し、乾燥させます。
A乾燥したらそのまま同じ場所に、24時間以上干しておきホルムアルデヒドを吸着させます。その後、ポリ袋に入れて空気が漏れないように輪ゴムで口をしばります。
Bタオルには干している間に室内に揮発したホルムアルデヒドが吸着されています。このホルムアルデヒドを短時間検出型検知管(91LL)を使って測定します。空気が漏れないように注意してポリ袋内のタオルの間に検知管の先端を差し込み、入口をしっかり針金で縛って密封し、タオル内の空気100mlを5回吸引し、測定します

合板から出るホルムアルデヒドの簡易測定法

 室内で使う予定の合板からホルムアルデヒドが揮発するかどうかを調べることができます。

 合板を10cm×10cmほどに切り、ポリ袋に入れて、500mlほどの空気と一緒に密封し数時間放置します。その後、ポリ袋内に検知管の先を差込みホルムアルデヒドを測定します。

 すでに室内で使われている合板も切り出せれば測定できます。切り出せない場合は、ポリ袋の開口側を合板面にテープで貼り付け、ポリ袋内の空気に合板のホルムアルデヒドを揮発させます(数時間から数日)。ポリ袋内に検知管を差入れ、ポリ袋内の空気を測定します。 

室内のホルムアルデヒドの室内濃度指針値は0.08ppm以下ですが、外国では0.05〜0.1ppm以下を室内基準にしているところがほとんどです。

ガステック社製気体採取器セット(GV−100S)・検知管の入手先:
有限会社ライフデザイン
〒220-0032 横浜市西区老松町8番地 野毛パーク606号
                    電話 045-232-5490/FAX 045-232-5495
屋外空中浮遊物質(ディーゼル排気微粒子)

 空気中の浮遊粒子状物質(SPM)の量を簡易装置で測ることができます。測定できる粒子は2μm以下のディーゼル車排気微粒子(DEP)が中心です。

 装置はろ紙(右図)を2本の1mlのディスポーザブル注射器の筒の間にはさみクリップで固定し、検査したい20リットルの空気を通します。DEPの量によってろ紙が黒く染まります。専用のカラースケールで色を測ってDEP濃度を測定します。

また、上記の測定装置はセット化されたものが1997年から売り出されています。

空気の汚れチェッカー

酸性雨調査研究会:空気の汚れチェッカー解説書(1997)より




測定用セットの入手:
「空気の汚れチェッカー・粉じん測定キット」:合同出版教材事業部 
                             電話03-3294-3506 FAX03-3294-3509
SPMキット」:有限会社ラックオフィス 
130-0025 東京都墨田区千歳1-6-5-402 電話03-3846-4651 FAX 03-3846-4653

文献:伊瀬洋昭:色差評価による簡易粉じん測定法.第22回日本環境学会研究発表会講演要旨集、1996

二酸化窒素の測定

国や自治体などの大気汚染測定局でおこなわれている測定法(ザルツマン法)と同じ原理で二酸化窒素の簡易測定ができます。

二酸化窒素測定用スポイト式比色計 ARC-N5型35,000円(税別)
入手先:
(株)アグネ技術センター 
 〒107-0062 東京都港区南青山5-1-25 北村ビル
           電話03-3409-5329 FAX03-3409-8237
エコアナライザーNOx 28,000円
入手先:
ワーカーズコープ エコテック 
〒211-0007  川崎市中原区上丸子天神町386 金子ビル1F
          電話044-722-9543 FAX044-722-9544

参考文献:アグネ技術センター編:空気の汚れをはかる―二酸化窒素簡易測定の手引き、アグネ技術センター、1997

水道水中塩素

オルトトリジン試薬を使って水道水中の残留塩素を測定します。塩素と反応して黄色になります。

オルトトリジン入手先:
浄水器を扱っている会社に頼むと分けてくれます
ワーカーズコープ エコテック
〒211-0007 川崎市中原区上丸子天神町386 金子ビル1F
                   電話044-722-9543 FAX044-722-9544
「残留塩素測定パックテスト」 合同出版教材事業部まで
燃やすとダイオキシンが発生する塩素を含む合成樹脂かどうかを見つける方法

 塩素を含む合成樹脂・プラスチック類かどうかを判断して、なるべくその製品を使わないようにすればダイオキシンの発生を減らすことができます。塩化ビニール・塩化ビニリデンと明記されていればいいのですが、残念ながらほとんどの製品には表示がありません。塩素を含む合成樹脂・プラスチック類を見つけ出すにはどうしたらいいのでしょうか?

@表示

マークでわかる選別法
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;@単独で燃やすとダイオキシンが出ないもの
;
; 高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ペット樹脂、ポリスチレン
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;→ポリエチレン・ポリプロピレン・ポリスチレン・ペット樹脂は単独で燃やしてもダイオキシンが出ないが、他のゴミと一緒に燃やすとゴミの中の塩素と反応してダイオキシンが出てしまう。ゴミの分別が重要
;
;
;
;A燃やすとダイオキシンが発生してしまう
;
; 塩化ビニール樹脂
;
;
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;出典:日本子孫基金:家族を救うチェックリストポスター「ダイオキシンを断つ」、1997
;
;   宮田秀明:ダイオキシンから身を守る法、成星出版、1998  合成樹脂製品のどこかに図のようなマークが入っていたらわかります。数字だけが書かれているものもあります。1、2、4、5、6は単独で燃やすとダイオキシンが発生しない樹脂です。ただし、ゴミ焼却場では塩素の含まれる様々なゴミと一緒に燃やすため塩素と反応してダイオキシンが発生してしまいます。3は塩化ビニールでダイオキシンが発生します。塩素の含まれる樹脂(塩化ビニールや塩化ビニリデン)は買わない・使わない、合成樹脂(プラスチック)はきちんと分別して出して他のゴミと一緒に燃やさないことが、ダイオキシン発生を抑えるためには大切です。

A銅線を使った塩素検査

 調べたいプラスチックの中にハロゲン(フッ素・塩素・臭素・ヨウ素など)が含まれていると、熱した銅線をプラスチックに押し付け、銅線の表面にハロゲン化銅を作り再び炎の中に入れると鮮やかな緑色の炎色反応を起こします(バイルシュタイン反応)。この反応を使ってプラスチック中に塩素が含まれるかどうかをみることができます。ただし、ハロゲンがあれば発色するので、塩化ビニールや塩化ビニリデンだけでなく、フッ素樹脂、フロン、クロロプレンゴム(合成ゴム)、パラジクロロベンゼン(有機塩素系防虫剤)、DDT(有機塩素系殺虫剤)、BHC、ヨードチンキなどでも反応します。食塩(塩化ナトリウム)を含む試料はナトリウムの強い黄色の炎色反応のためそのままではハロゲンの有無を判定できません。

<準備>ガスコンロ、カセット式コンロ、アルコールランプなど。

試料:シート・板・線など、どのような形のものでも可。ナイフで削った試料でもできます。

※注意 試験中に有毒ガスが出るので換気に充分注意しておこなうこと。もちろん、ごく微量のダイオキシンの他、様々な有機塩素化合物や塩化水素ガスも発生します。食品などで汚れているものをそのまま試料に用いると、間違った判定を下す原因になったりナトリウムの炎色反応で判定が困難になったりしますので、事前に汚れを洗い落として下さい。

<試料操作>

@銅線の先が赤くなり炎に色が着かなくなるまで加熱する。炎は芯の部分(還元炎)でなくその外側の酸化炎の部分を用いる。
A銅線が赤いうちに試料と十分に接触させる。
B銅線の先を再び加熱し炎の色を観察する。緑色の炎が現れたらハロゲンが含まれていると判断する。

以上、日本子孫基金の塩素検査キット取り扱い説明書から抜粋しました。

実験材料・資料等の入手先:
JOF(日本子孫基金)
〒102-0083 東京都千代田区麹町2-5-2 金森共同ビル2F
TEL/FAX03−5276−2253

銅線と操作の詳しい説明、炎の色を撮った写真のセットが350円
家族を救うチェックリストポスター「ダイオキシンの原因を断つ」が250円
「ダイオキシン発生源塩素チェッカー」合同出版教材事業部まで  
合同出版教材事業部による環境簡易測定器具(2000年5月現在)
商品名 内容 価格
ダイオキシン発生源塩素チェッカー 2本入 1キット/350円
空気の汚れチェッカー〔粉じん測定キット〕 1キット/3,500円
陰イオン界面活性剤測定セットMBAS(0.1〜5ppm) 50検体分 4,000円
酸性雨測定パックテスト(pH3.6〜6.2) 10検体分 1,500円
河川の水のpH測定パックテスト(pH5.0〜9.5) 10検体分 1,500円
残留塩素測定パックテスト(0.1〜5ppm) 10検体分 1,500円
COD測定パックテスト(1〜100ppm) 10検体分 1,500円
COD測定パックテスト(0〜8ppm) 10検体分 1,500円
亜硝酸測定パックテスト(0.02〜1ppm) 10検体分 1,500円
硝酸イオン測定パックテスト(1〜45ppm) 10検体分 1,600円
リン酸イオン測定パックテスト(0.2〜10ppm) 10検体分 1,600円
おいしい水検査〔全硬度・残留塩素〕 5検体分 1セット/1,600円
ホルムアルデヒド測定パックテスト(0〜2ppm) 5検体分 1,200円
井戸水検査〔pH・鉄・COD・亜硫酸・全硬度〕 1検体分 1,300円
空気の汚れ「はかる」くん(取扱説明書つき) 10回測定分 1セット/800円

ユニメーターを使用した大気測定用の器具と試薬
大気・水質測定併用ユニメーター 1台  42,000円
最新式大気捕集管No.6(測定用ろ紙セット済) 1個 220円
分析用ザルツマン試薬(1本 250ml) 50検体分 500円
試薬付ろ紙(型ぬき済) 50検体分 500円
捕集管ナンバーラベル 50本分 300円
ピペット 1本 200円
捕集管架台(50本用) 1台 700円





ユニメーターを使用した水質測定用の器具と試薬
水質測定特別仕様セット 1セット 24,500円
COD測定試薬 100検体分 10,000円
硝酸性チッ素測定試薬 100検体分 1,000円

 残留農薬測定セット(OHMICRON社製)
 対象農薬・価格はパンフをご請求下さい。酵素免疫法を利用した超感度測定。簡単な操作で野外でも結果を出せます。米国FDA、AOAC、EPAその他広く民間機関で利用されています。

問い合わせ先:合同出版教材事業部まで
http://www.godo-shuppan.co.jp
〒101-0051 東京都干代田区神田神保町1-52
 電話03(3294)3506 FAX03(3294)3509

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